ノーワークノーペイ

ノーワークノーペイは、労働なくして賃金なしの原則を意味する言葉です。労働契約法6条では、労働契約が成立するには労働者が労働力を企業に提供し、企業はその対価として賃金を支払うことに対して、労働者と企業側が合意することではじめて成り立ちます。つまり、労働者は労働を企業に提供しなければ賃金を受け取れず、企業としても労働力の提供を受けていなければ賃金を支払う必要がないという原則です。欠勤や休暇などは労働者が労働力を提供していない状況の代表例です。しかし法律では細かな解釈の仕方までは規定されていないため、どのように対応するかはそれぞれの企業が就業規則でルールを定めて対応をしています。

たとえば欠席や遅刻、早退などで労働力を物理的に企業に提供できない場合、企業は該当する日数や時間数を計算し、給与から差し引いても問題ありません。出産についての休暇や育児休暇、介護で休暇を取得、裁判に出廷するために休暇を申請する場合も、企業は無給として原則給与を支払わなくてもよいことになっています。また、ストライキなど争議行為をおこなう際も、期間中は労働力の提供はされていないため、賃金が支給われることはありません。

労働者が労働しないのであれば企業はその分の賃金を支払わなくても問題ありませんが、労働力が提供されていない分をどのように差引くかはしばしば問題となります。賃金の差引をおこなう際は、賃金の性質が二分されていることに注目します。賃金は、職能手当や家族手当など労働者の職務や能力に対して支払われる保障的賃金と、労働力の提供に対して支払われる交換的賃金があり、減額がおこなわれるのは交換的賃金のみであるという考え方です。仕事に対する能力は労働時間に関係なく企業に提供されているものであるため、保障的賃金から減額はできません。

なお、労働力を提供できない責任が労働者ではなく、企業側にある場合などについては、賃金や休業手当が支払われることになります。たとえば年次有給休暇は法律で定められているため、労働力の提供がなくても賃金の支払いが発生します。また、企業から違法行為を強要された際に労働力を提供しない場合、企業側の責任であるため賃金は支払われます。

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