改正労働契約法とは、期限のある労働契約を繰り返し更新している労働者が、期限の満了をもって雇止めになる不安を抱えないための法律です。労働契約法が成立したのは平成20年3月のことです。以前は多くの従業員が正社員として働いていましたが、派遣やパートなど働き方の多様化が進んだことで、法律の整備が追いつかず多くの労働紛争が発生していたことが制定の背景となっています。
労働契約法には、雇用主が労働者を雇用する際に結ぶ労働契約に関する基本的な基準や規則などが定められています。しかし、労働契約法が成立した後は、派遣社員や契約社員など期限のある労働契約で働いていた従業員が、期間中に雇用主から一方的に解雇を言い渡され、契約更新はするもののいつまでも正社員になれないため、契約更新のたびに雇止めに遭うのではと不安な声があがっていました。そこで期限のある労働者を保護するために、平成24年8月に成立したのが改正労働契約法です。
改正労働契約法のポイントは、無期労働契約へ転換・雇止め法理の法定化・不合理な労働条件の禁止の3点です。無期労働契約へ転換では、通算で5年以上の労働契約更新がある場合、労働者自ら無期限の労働契約の申し込みをできるようになりました。
雇止め法理の法定化では、雇止め法理とは、正当な理由がない場合の雇止めは無効になることです。通常であれば期限となれば更新しなくても問題ありませんが、法改正により労働者が契約更新を期待するに値する理由がない限り、企業の都合だけで更新を止めることはできません。
不合理な労働条件の禁止とは、契約社員や派遣社員と正社員との間で労働条件の格差があってはいけないという規則です。職務内容はもちろん休日の取得や職能や立場によって支給される手当など、正当と認められる理由がない限りは同一であることが定められています。
企業としては、無期限労働契約を希望する方にどう対応するかを検討する必要があります。人手不足を解消するために希望者がいれば無期限に転換、転換を避けるために正当な理由を用意し雇止め、基準を設定して条件を元に転換と雇止めを実施するなどです。雇止めをする際は、一方的にならず労働者の合意を得ることが大切です。