「輪番制」とは、複数人でひとつの業務を交代で担当する仕組みのことです。たとえば、工場での生産ラインの監督や、店舗の営業時間内のカウンター業務などが挙げられます。このような場合、一人が担当し続けることは大変な負担となるため、複数人で業務を分担する輪番制が導入されることが多いです。
輪番制を採用するメリットとしては、人員確保がしやすく、欠員対策になることです。複数人が業務を交代で担当するため、欠員が生じた場合でも、代替となる人員を比較的簡単に確保できます。たとえば、一人が病気で欠席した場合でも、別の担当者が代わりに業務を引き継げます。これに対して、一人で業務を担当している場合、欠勤や急な辞退などの場合、補充の人員を急遽確保することが難しく、業務の継続性が損なわれることがあります。そのため、輪番制は人員確保の観点からも有効な制度といえます。
また、輪番制は、業務負荷を分散させられるため、担当者が一人で業務をこなす場合に比べ、担当者の負担軽減にもつながります。業務負荷が均等に分散されることで、担当者が疲れたり、ストレスを感じたりすることを防げます。担当者同士が連絡を取り合いながら業務を遂行することで、情報共有やコミュニケーションの促進にもつながります。
一方、輪番制では、担当者が交代するため、前任者から引き継いだ業務の状況を把握するまで時間がかかったり、担当者ごとに作業スタイルが異なるため、作業のばらつきが生じたりします。また、業務負荷が分散されるメリットがあるぶん、責任も分散されてしまうため、担当者の自分の作業に対する責任感が薄くなる可能性があります。
そのほか、担当者同士のスケジュール調整やコミュニケーション不足によるトラブルが発生する可能性もあります。たとえば、担当者が不在であることを事前に伝えず、他の担当者が代わりに業務を担当することになった場合、業務の継続性に問題が生じることがあります。これは、複数人で仕事をしているからこそのデメリットといえるでしょう。
導入にあたっては、定期的なミーティングの実施や、メールやチャットツールを活用、引き継ぎや報告の方法を明確にするなどの対策を行うことで、これらのデメリットを回避しながら運用することが大切です。
