スキームは、英語で「scheme」と書き、「計画」「構想」などを意味します。本来は「枠組みをもった計画」を意味するギリシャ語が語源とされ、日本でもビジネス用語として使います。ただしアメリカでは、「悪巧み」「陰謀」というネガティブな意味で受け取られる可能性があるため注意が必要です。似たような言葉に「予定を立てる」という意味合いを持つプラン(plan)や、「枠組み」を意味するフレームワーク(framework)があります。それに対してスキームは、さらに踏み込んだ「目標を達成するための具体的な方法や枠組み」というニュアンスで使われます。
ビジネスシーンでは多くの場合、「事業スキーム」や「販売スキーム」というように複合語として用います。
たとえば新規事業を構想する抽象的な計画が「事業プラン」で、その事業を成功させるための具体的な計画が「事業スキーム」になります。どのような事業を行い、どこを到達点にするのか、事業コンセプトとビジョンを明確にしたうえで事業を進める範囲と、収益化する方法、競合に対してどのような強みを打ち出すかなど具体的な事業計画書を作成して、金融機関など外部に説明を行います。
販売スキームとは、企業が商品やサービスを提供する際に、販売の面から商品メーカーや消費者まで全体を見据えた枠組みで、販路拡大や販売方法を検討するときに用います。
またM&Aスキームは、企業が「Mergers(合併)とAcquisitions(買収)」を行うときの手段や方法を示したものです。買収における株式譲渡や事業譲渡、合併における新設合併と吸収合併、そして会社分割といったスキームに分類されます。
ほかには自社のリスクを考慮して最大の投資効果を上げるための投資スキームや、融資・借入・社債発行などによって事業に必要な資金を調達する方法を示した資金調達スキームなどがあります。インターネットの普及により2000年代から広がったクラウドファンディングは、ウェブサイトで自分の夢や想いを発信して、応援を呼びかけて資金を募る手法から資金調達スキームのひとつといえます。
スキームを第三者に理解してもらうために作成するのが「スキーム図」です。事業に関わる情報を整理して要素を洗い出し、「ヒト・モノ・カネ」の関係性を記号や矢印などで図解化することにより、文章だけで説明するよりも直感的に分かってもらうことが可能です。