セレンディピティ

セレンディピティ(英語:serendipity)とは、何かを探しているときに思いもよらず素晴らしいものを発見すること、幸運に巡りあうことを表わした言葉です。意味が似ている言葉シンクロニシティ(英語:synchronicity)は、だれにでも起こりえる、思っていることが現実になる「偶然の一致」を指すのに対して、セレンディピティは主体的な行動によって素晴らしい結果を得る「偶然の産物」を意味します。創造につながる偶然を思わせることから科学や芸術の場面で使われていた言葉ですが、近年はビジネスの世界でもその考え方が応用されています。

セレンディピティは18世紀のイギリス作家、ホレス・ウォルポールが知人にあてた手紙の中で用いた造語で、彼が読んだペルシアのおとぎ話『セレンディップの三人の王子たち』をベースに発想したといわれます。セレンディップ王国(現在のスリランカ)の3人の王子が旅に出て、降りかかる数々の難題を解決するという物語です。3人の王子は父親である国王から教育を受けて、知識や才能を持ち合わせていました。ウォルポールによる造語・セレンディピティは「賢明な行動があればこそ幸運に巡りあう偶然や予想しなかった素晴らしい発見をする」ことを言わんとしていると解釈され、20世紀後半から広がりました。

アイザック・ニュートンが庭のりんごの木から実が落ちるのを偶然に見たことから「万有引力の法則」を発見したことや、イギリスの細菌学者アレクサンダー・フレミングがブドウ球菌の研究をしていて青カビを発生させてしまい偶然にも抗生物質であるペニシリンを発見したことなどは代表的な例とされます。付箋紙として定着したポスト・イットやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のTwitterなども、偶然の産物であるセレンディピティの好例として知られます。

単なる偶然ではないという認識から、セレンディピティを起こりやすくするために「好奇心やチャレンジ精神を持つ」、「多様な価値観を持つ人と出会うことで新たな気づきを得る」、「ポジティブにとらえることで視野を広げる」などの方法が考案されています。ビジネスシーンでも参考にされており、最近はインターネットの普及とともに「予測できないこととの出会い」を求める消費者行動を表わす「セレンディピティ消費」というマーケティング用語まで登場しました。

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