シンギュラリティとは、技術的特異点と訳される言葉です。人の知能に人工知能が追いつく境界線を意味します。人の知能に到達した人工知能は、人の能力を超えて加速度的な進化が起こるとされています。
シンギュラリティは1993年に米国の数学者ヴァーナー・ヴィンジ氏によって提唱された考え方で、内容は30年後の2023年にシンギュラリティが実現し、人間の時代が終了するというものでした。2023年の現代ではまだシンギュラリティは実現していませんが、米国の発明家であるレイ・カーツワイル博士は2045年にシンギュラリティが起きると提唱しており、現代における有力説のひとつとみられています。
2045年にシンギュラリティが起きる根拠として、ムーアの法則と収穫加速の法則があげられています。ムーアの法則とは、インテル創業者のムーア氏によって提唱されている法則で、18ヶ月ごとに2倍の容量のメモリチップが生産されるとする考え方です。
収穫加速の法則とは、技術の進化が直線的な成長ではなく、カタカナのノの字のように期間が長期化するほど成長速度が加速するという考え方です。
ムーアの法則と収穫加速の法則の組み合わせで人工知能の技術進歩が加速し、2045年までに人の知能を超えると予測されています。ただし、ムーアの法則のように定期的に倍々で容量を増やすには、「技術として限界がある点」、「技術加速のタイミングはだれにも予測できない点」において、2045年までにはまだ達成できないのではという説もあり、2045年のシンギュラリティ発生は確実とはいえません。
シンギュラリティ達成の時期は明らかになっていませんが、人工知能が人間の生活に影響を与えることは確実視されています。レジ打ちやタクシー運転、店舗窓口業務や飲食店の注文受付などは、将来人間からAIにとって代わる職業とされています。
仕事がAIに完全移行するのはまだ先のことのように思われますが、シンギュラリティの前段階とされる業務のデジタル化はすでに多くの企業で進められています。給与計算などの会計業務から事務や営業などの日常業務まで、デジタルツールを使わずには進まない業務は身の回りに多くあるはずです。
いずれも導入前は数々の懸念がありましたが、導入後は使うのが当たり前になりました。世に出てくる最新のツールをいかに使いこなすかが、今後の人間の仕事になることが予想されます。業務のデジタル化に慣れることや機械のマネジメント体制の構築は、シンギュラリティに対する企業の準備としてできることのひとつです。
