ワーキングプアとは、働く貧困層と訳される言葉で生活保護が支給される補助の水準よりも低い給与での生活を強いられている人々のことを指します。ワーキングプアの具体的な定義はありませんが、生活保護を受給する条件が最低生活費として月額13万円、年額にして156万円と定められているため、左記の金額以下の収入で働いている人はワーキングプアに該当するといえます。
令和4年に発表された総務省の「労働力調査」によると、正規・非正規を問わず年収200万円以下の従業員は1,768万人とされており、日本の全労働人口6.870万人に対して25.7%に当たる労働者がワーキングプアに近い働き方をしていることになります。
ワーキングプアの方が過ごす生活の特徴としては、家電や衣服などの生活用品の購入を避けたり、食費や交際費がかかるような誘いを断ったりするなど、精神的な負担となるような無理な節約を強いられるケースが多くあります。固定費として大きな負担になる家賃支払いを避けて実家で暮らす方も多くいますが、雇用や収入が不安定なこともあり、継続的な貯金ができないでいるのが現状です。
現代の日本でワーキングプアが増えている背景として、非正規雇用として働く人が増えていることが挙げられます。総務省の「労働力調査」によると、非正規雇用の労働者は2011年には1,812万人でしたが、2021年は2,064万人と記録されています。2019年がピークではありますが、10年間の推移は右肩上がりとなっています。企業も解雇しにくい正社員を雇用するよりも非正規の雇用を多くしたほうが、人材調整しやすくコスト面でも負担が小さいため、非正規労働者の数は今後も増え続けることが予想されます。
ワーキングプアになりやすい職業の特徴としては、アルバイトやパート、非正規労働者などの割合が高く、高度な知識や技術、経験を必要としない点などがあります。例えば飲食店スタッフや警備員、清掃員などはワーキングプアになりやすい条件が多く当てはまる職業です。ワーキングプアから脱け出すためには、生活保護などの支援を受ける、専門機関などによる就労支援を受講するなどの方法があります。