リーダーシップ研修とは?どんな効果がある?研修内容や料金相場も紹介

本記事ではリーダーシップ研修に焦点を当てて、その概要や注目されている背景、リーダーシップの定義などについて解説します。併せて、リーダーシップ研修の対象者や実施率、効果や内容などについてもご紹介します。

リーダーシップ研修とは

リーダーシップ研修:リーダーシップを発揮すべき人材に対して行う、リーダーとしての知識やスキルを修得させるための研修

リーダーシップ研修とは、管理職やチームリーダーといった企業の中でリーダーになるべき人材に対し、リーダーとしての役割を果たすための知識やスキルを習得させるための研修のことです。

必要な人材に適切なタイミングでリーダーシップ研修を行うことで、企業全体としても組織力が向上し、経営目標の達成に繋がることが期待できます。

リーダーシップ研修は、入社してからある程度の年数が経ち、比較的高いポジションにいる人材に対して実施されることが一般的ですが、企業によっては、「リーダーの素質がある」と判断した若手に対して研修を実施することもあります。

ドラッカーの教えからみる「リーダーシップ」とは

ピーター・ドラッカーによるリーダーシップの定義
1. リーダーシップは「仕事」である
2. リーダーシップは「責任」である
3. リーダーシップは「信頼」である

近年、リーダーシップの定義として、ピーター・ドラッカーの定義が用いられることが多いです。

1. リーダーシップは「仕事」である

ドラッカーは自らの著書の中で、「リーダーとは目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である」と述べています。

すなわち、リーダーシップとは、これらを仕事として発揮することであり、決して先天的な才能や資質ではないというのが、ドラッカーの主張です。

2. リーダーシップは「責任」である

ドラッカーはリーダーの要件として、「リーダーシップを、地位や特権ではなく責任と見ること」を挙げています。

つまり、リーダーシップとは人を管理・支配する権力ではなく、責任として認識することであり、仮にプロジェクト等が失敗に終わった場合には、その最終的な責任はメンバーではなくリーダーがとるべきであるというのが、ドラッカーが提唱するリーダーの要件です。

3. リーダーシップは「信頼」である

さらに、ドラッカーはリーダーに関する唯一の定義として、「つき従う者がいるということ」を挙げています。

ここでの「つき従う者」とは、強制力をもって従わせた者ではなく、信頼によって自らの意思で従う者のことを指し、部下からの信頼を集められる人間こそがリーダーであるというのが、ドラッカーの主張です。

なぜリーダーシップ研修が注目されているのか

・社会の変化スピードの加速
・労働人口の減少による人材不足
・年功序列の撤廃と成果主義
・「VUCA(ブーカ)」時代の到来

日本でリーダーシップ研修に注目が集まっているのには、社会情勢の変化や社会的な課題との関係性があります。

そこで本章では、リーダーシップ研修が注目されている背景について解説します。

社会の変化スピードの加速

インターネットの普及やテクノロジーの進化により、現代社会においては変化のスピードがますます加速しています。

そのような変化の波にうまく乗ることができれば、大きなチャンスを掴める可能性がある反面、変化に対応できなければ、次第に淘汰されていくリスクも含んでいるでしょう。

そのため各企業には、変化に柔軟に対応でき、組織を牽引する人材が必要であり、リーダーの育成が急務となっているのです。

労働人口の減少による人材不足

日本は現在も少子高齢化が加速しており、労働人口の減少による人材不足は深刻な問題です。

限られた人材で組織のパフォーマンスを向上させるためには、組織に必要な人材の育成が急務と言えますが、優秀な人材を育成するためには、リーダーの存在が必要不可欠です。

そのような時代背景もあり、多くの企業からリーダーシップ研修が注目を集めています。

年功序列の撤廃と成果主義

近年は市場のグローバル化に伴い、日本でも従来の年功序列制度から成果主義に移行しつつあります。

しかし、成果主義は短期的・個人的な成果に目が行きがちで、中長期的な成果や組織としての経営目標が疎かになる危険を含んでいます。

そのため、成果主義においては、各人の目標を全社的な経営目標に導けるようなリーダーが必要であり、そのような人材を育成するために、リーダーシップ研修への注目度が高まっているのです。

「VUCA(ブーカ)」時代の到来

VUCAとは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取ったもので、先行きが不透明で将来の予測が困難な状況を意味する造語です。

変化のスピードが速く、将来が予測できない現代社会においては、自らビジョンを示し、それに向けて行動できるようなリーダーの育成が必要であり、リーダーシップ研修が注目されています。

リーダーシップ研修の対象者

一口にリーダーシップ研修と言っても、その対象者はさまざまです。そこで本章では、リーダーシップ研修の対象者について解説します。

管理職

リーダーシップ研修の中でも最も企業ニーズが高いのが、新たに管理職に登用された人材を対象にした研修です。研修を受けることで、リーダーとしての自覚を持てるようになるだけでなく、管理職という立場へのプレッシャーを軽減することにもつながります。なお、場合によっては、既に管理職に就いているものの、リーダーシップ能力に自信が無い人材も研修の対象者になることがあります。

中堅社員

次に企業ニーズが高いのが、将来的に管理職になる可能性のある中堅社員を対象にした研修です。早い段階からリーダーになれる人材を育成しておけば、急な欠員が出た場合などの不測の事態が発生しても、リーダー不在の状況を回避しやすくなるでしょう。また、早期にリーダーとしての自覚を持ってもらうことは、本人のモチベーション維持にも役立ち、生産性や業績の向上にもつながることが期待できます。

若手社員(次世代リーダー)

近年は、次世代リーダー(将来の経営者・幹部候補)を対象にした、若手社員向けの研修を行う企業も増加傾向にあります。少子高齢化や変化の激しい現代社会においては、企業の経営を担う重要なポジションに就けるような人材を早期に発掘・育成したいと考える企業も多く、次世代リーダー向けの研修が注目を集めています。また、早い段階で研修を受けさせることで、企業に対する若手社員の帰属意識が高まり、人材流出の防止にも効果が期待できるでしょう。

その他(看護師や医療従事者)

その他、近年は看護師やその他の医療従事者を対象とした、リーダーシップ研修にも注目が集まっています。多忙で緊迫した医療現場において、チームを統率しながら成果を出すのは容易なことではありません。加えて、看護師は慢性的な人材不足となっており、医

リーダーシップ研修の効果

リーダーシップ研修で身に付くもの
・リーダーとしての自覚
・リーダーとしての仕事の進め方
・リーダーとしてのコミュニケーション能力
・ビジョンを設定する能力
・メンバーを育成する能力
・ポジティブ思考
・意思決定力、判断力
・仕事に対する問題意識
・プレゼンテーション能力

リーダーシップ研修を通して、受講者はリーダーに必要なものを効率よく学ぶことが可能です。具体的には、リーダーとしての自覚や仕事の進め方、コミュニケーション能力やメンバーを育成する能力などが習得させる他、組織を牽引するための意思決定力や判断力、仕事に対する問題意識などを意識付けさせることによって、組織に必要な人材への成長を促すことが可能となります。リーダーシップ研修を実施することにより、目標達成力の向上や社内における労働環境の改善につながり、ひいては企業全体の生産性向上に期待ができるでしょう。

リーダーシップ研修の実施率

2020年にHR総研によって行われた人材育成に関するアンケートによると、リーダーシップ研修を実施している企業は、全体で約44%であり、これはコンプライアンス研修やハラスメント研修に次ぐ第3位の実施率となっています。

企業規模別で見ると、大企業では約60%の企業がリーダーシップ研修を実施しているのに対し、中小企業の実施率は約36%となっており、中小企業では大企業ほどには積極的に実施されていないのが現状のようです。

しかし、全体でのリーダーシップ研修の実施率は、前年度に比べ3ポイント上昇しており、リーダーシップ研修に対する注目度は年々高まっています。

参考:HR総研「人材育成(テーマ別研修)に関するアンケート(2020年)

リーダーシップ研修の内容

リーダーシップ研修の内容は、対象者や企業の種類によってさまざまです。そこで本章では、リーダーシップ研修の内容について解説します。

リーダーシップ研修のカリキュラム(例)

リーダーシップ研修のカリキュラムは、受講者の階層や研修を受ける企業によって変わってくるものの、リーダーとしての役割・仕事の進め方・コミュニケーション能力・メンバーを育成する能力の習得を中心に組まれているのが一般的です。中でも、リーダーとして求められる役割の認識に最も重点を置いている研修が多く、受講者にリーダーとしての自覚を持ってもらうことが重要視されています。

リーダーシップ研修の期間

リーダーシップ研修の期間は、研修の内容によって異なるものの、半日から2日間で実施するものが多数を占めています。半日で修了するような短時間のコースは、基本的に座学のみで、リーダーシップ研修の基礎項目を中心に学ぶことが一般的です。一方、日をまたぐようなコースでは、座学に加えグループワークやゲームなども取り入られていることが多く、より充実した研修内容となっています。

リーダーシップ研修の内容

リーダーシップ研修に限らず、研修においては振り返りが非常に重要です。研修の振り返り方法はいくつかありますが、リーダーシップ研修においてはレポートが多く採用されています。

レポートでは、単に研修の内容や要点をまとめてもらうだけでなく、研修の達成度や研修を通じて発見した課題、今後に活かすための計画などについても記述してもらうと、より深い振り返りが可能です。レポートの作成は時間と手間を要しますが、そのぶん受講者もより深い振り返りが可能となり、また、研修担当者や上司にとっても、フィードバックがしやすいというメリットがあります。

リーダーシップ研修を通して優秀なリーダーを育成しよう

変化のスピードが速く、将来が予測できない現代社会においては、リーダーの育成は各企業にとって急務となりつつあります。
人材育成には時間とコストを要しますが、優秀なリーダーは企業の成長にとって必要不可欠な存在です。
市場のグローバル化や少子高齢化の加速により、リーダーシップ研修の重要性は今後もさらに高まっていくでしょう。


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