【面接官の手引き】採用面接の流れや新卒・中途面接の質問例77選、準備など解説

採用面接の面接官として、どのように準備して、面接するとよいのか迷う方は多いでしょう。本記事では面接の質問を新卒と中途採用でどのように行うと効果的なのか、面接時のチェックシート(評価シート)の作り方、気を付けたいポイントなど面接官として知っておきたい内容をまとめました。

目次

採用面接で面接官が行うべきことは2つ

・自社とマッチする優秀な人材を見抜いて採用すること
・自社の魅力を応募者に知ってもらうこと

採用面接の目的には、業務上必要なスキルや能力、自社に合う価値観を備えた人材であるかを見極めるだけでなく、自社の魅力を伝えて入社後のミスマッチをなくし、早期退職を防止することも含まれます。面接は、応募者を選ぶ場である一方、応募者から選ばれる場でもあることを忘れてはいけません。応募者から「この会社で働きたい」と思ってもらえるよう、自社の代表として誠実な姿勢で臨むことが重要となります。

【基本】採用面接の流れ

1. アイスブレイク
2. 自己紹介・会社説明
3. 企業側からの質問
4. 応募者からの逆質問
5. 事務連絡

面接は上記の5ステップで進めていくことが一般的です。面接を行う際には流れを把握してイメージしてみると良いでしょう。また、企業によって流れは異なるので確認もあわせて行いましょう。

1. アイスブレイク

アイスブレイクは、応募者の緊張を和らげる冒頭のコミュニケーションのことです。話しやすい雰囲気をつくって、応募者が本領発揮をしやすくするとともに、準備してきた応答以外のことが聞けるため、応募者の性格をつかむことにも使えます。天気や食事など答えやすく、選考とは直接関係がないと応募者が感じられる話題を選ぶとよいでしょう。

2. 自己紹介・会社説明

まずは、面接官の自己紹介を行い、その後会社説明を行います。応募者が知っている会社情報は、ホームページや求人票の情報のみであり、正確に理解しているとは限りません。入社後に「抱いていたイメージと違う」など、ミスマッチを起こさないためにも、会社説明は非常に重要です。今後の展望なども説明するようにしましょう。

3. 企業側からの質問

・応募者の自己紹介
・応募者の志望動機
・応募者の自己PR
・応募者の人間性・性格・価値観
・応募者の入社や働くことへの意欲
・応募者のキャリアプラン(中途採用)

企業側からの質問は面接の中でとても重要なパートと言えるでしょう。応募者の履歴書や職務経歴書に基づいて質問を行い、自社で活かせる経験やスキルを備えているかを見極め、価値観や入社意欲も探ります。一問一答ではなく、必要に応じて回答を深掘りする質問することで、応募者の考えをさらに引き出すことが可能です。ここで使える質問例は次章で記載していますのでご参考ください。

4. 応募者からの逆質問

逆質問は、企業側からの質問終了後に応募者が企業に質問することを指します。応募者が抱いている疑問や不安を解消したり、企業理解を深めてミスマッチを防ぐことにつながります。また、応募者の質問に対して丁寧に回答することで、応募者の「志望度」が高まる可能性もあります。更に応募者がどれだけ自社に興味があるのか測る指標としても用いることができます。

5. 事務連絡

事務連絡では、選考結果の連絡期間や連絡方法など応募者へ伝えておくべき内容を伝えます。事務連絡をもって、面接は終了となります。面接終了後は応募者を見送るまでは、緊張を解かないようにして、印象よく終えましょう。

【新卒・中途】採用面接で使える質問例77選

採用面接のイメージ
・志望動機を聞く質問例
・自己PRを促す質問例
・人間性・性格・価値観を見極める質問例
・キャリアプランを知る質問例

本章では、面接を行う際に役立つ質問例を目的に分けて新卒・中途用あわせて77例を載せています。ぜひご参考ください。

志望動機を聞く質問例

【新卒採用の場合】
・当社をどこで知りましたか?
・当社にどのようなイメージを持っていますか?
・なぜこの業界で働きたいのですか?
・どのような基準で応募企業を決めていますか?
・当社のビジョンや企業文化に共感する点はありますか?またそれは何ですか?
・関心や興味を持っている当社の取り組みはありますか?
・当社の製品やサービスに魅力を感じる理由は何ですか?
・当社が業界で他社よりも優れていると考える点は何ですか?
・自身のスキルや経験を活かせると思う理由は何ですか?
【中途採用の場合】
・前職を退職した理由は何ですか?
・なぜ転職しようと決意したのでしょうか?
・当社を志望する理由は何ですか?
・この業界へ転職する理由は何ですか?
・この職種を希望する理由は何ですか?
・前職(現職)と当社の違いは何ですか?
・会社選びで重視していることは何ですか?
・過去の職歴やスキルを活かせると思う点は何ですか?
・当社の競合他社と比べて、優れていると考える点は何ですか?
・自身の成長やキャリアにおいて、当社に期待する点は何ですか?

志望動機を問うことは、応募者の入社意欲や関心度がわかるだけでなく、自社の価値観に合っているかの判断にもつながります。中途採用の面接であれば、応募者が業務上必要なスキルや能力を備えているか、また応募者が希望するキャリアチェンジの条件を見極めることができ、ミスマッチを防ぐ重要なポイントとなります。

自己PRを促す質問例

【新卒採用の場合】
・あなたの強みは何ですか?またそれが活きたエピソードがあれば教えてください。
・あなたの弱みは何ですか?またそれをどう対処しますか?
・これまでで成功したと思えることは何ですか?
・学生時代に最も打ち込んだことを教えてください。
・自分がリーダーシップを発揮した場面を教えてください。
・難しい状況に直面したとき、どのように対処してきましたか?
・チームでのあなたの役割や達成した成果について教えてください。
・目標達成するために、今までどのような行動してきましたか?
・自分自身を成長させるために、どのような取り組みをしていますか?
・あなたはどのような点で、当社に貢献できると思いますか?
【中途採用の場合】
・あなたが持つスキルや知識で、どのようなところが当社で活かせると思いますか?
・あなたの強みは何ですか?また、それが活かされた経験について教えてください。
・あなたの業務で挙げた成果を教えてください。
・これまでの業務での失敗はありますか。そして、その経験から学んだことや成長した点を教えてください。
・業務で難しい状況に直面したとき、どのように対処してきましたか?
・前職(現職)でどのような目標を持っていましたか?
・仕事を行う際に工夫している点はありますか?
・目標達成するために、どのような行動してきましたか?
・チームでのあなたの役割や達成した成果について教えてください。
・現在チャレンジしていることはありますか?ある場合、そのチャレンジを教えてください。

自己PRは、応募者が業務上必要なスキルや能力を備えているかを見極めるだけでなく、その人が自身をどのように認識しているかを把握することもできます。強みやこれまでの困難に対してどのように向き合ってきたかを聞くことは、自社へ貢献ポイントや応募者の環境適応力を判断するポイントにもなるのではないでしょうか。

人間性・性格・価値観を見極める質問例

【新卒採用の場合】
・自分自身の特徴はどんなところだと思いますか?
・チームで動く際、リーダー、サポートどちらの役割が多いですか?
・自分がリーダーシップを発揮した場面を教えてください。
・チーム内で意見の相違があった場合、どのように解決を図りますか?
・過去に大きな失敗をしたとき、それをどのようにカバーしましたか
・自身の価値観に反する業務を指示された場合、どのように対応しますか?
・他人に接する際のポリシーがあれば、教えてください。
・影響を受けた人や目指している人はいますか
・情報収集にはどのようなツールを使うことが多いですか
・最近、感動したことを教えてください
【中途採用の場合】
・上司や先輩と接するとき、どのようなことを大切にしていますか
・後輩と接するとき、どのようなことを大切にしていますか
・職場で苦手な人と一緒になった際にどのように接しますか
・一緒に働きたいと思える人はどんな人ですか?
・自分のキャリア目標を教えてください。それがどのように自身の価値観や考えに関連していますか?
・周りからどのような人物と評されることが多いですか
・チームで動く際、リーダー、サポートどちらの役割が多いですか?
・チーム内で意見の相違があった場合、どのように解決を図りますか?
・自身の価値観に反する業務を指示された場合、どのように対応しますか?
・最近、何か学んだことはありますか?

人間性・性格・価値観を問うことは、応募者が自社の社風や職場に合致するか環境適応力を知るために行います。また、業務上必要なスキルや能力を備えているかだけでなく、長く働くことができるかの判断にもつながります。

キャリアプランを知る質問例

【新卒採用の場合】
・弊社に入った場合にやりたい仕事はありますか?
・希望の職種に慣れなかった場合にはどうしますか?
・キャリアプランはありますか?もしあれば詳しく教えてください。
・3年、5年、10年後の目標はありますか?
・あなたは管理職になりたいと思いますか?
・ジェネラリストとスペシャリストどちらになりたいか希望はありますか?
・海外で働きたいと思いますか?
【中途採用の場合】
・現在までのキャリアを振り返り、それを踏まえたキャリアプランを教えてください。
・自身のキャリアで達成したい目標や成果を教えてください。
・前職(現職)の経験で得たスキルや知識を当社でどのように活かせると思いますか?
・当社に入社したらどのようなキャリアを歩んでいきたいと思っていますか?
・自己成長やスキルの習得のため、どのようなことに取り組んできましたか?
・3年後に当社どのようになっていたいですか?
・自分自身は、マネジャー、プロフェッショナル、どちらのタイプだと思いますか?
・応募した職種、職務以外で興味を持っているものはありますか?それはなぜですか?
・自分自身のキャリアで重要な価値観は何ですか?
・自身の成長やキャリア進展のため、当社にどのようなサポートを期待していますか?

キャリアプランは、将来の目標やビジョンのことであり、今後の成長スピードに大きく影響を及ぼします。また、持っている目標やビジョンが、自社で達成できるかという観点は、長く働くことができるかを判断するポイントにもなります。

採用面接で回答内容以外に着目すべき3つのポイント

採用面接のイメージ
・社会人としてのマナー
・面接官が見ていないところでの態度
・コミュニケーション能力の高さ

応募者が自社にふさわしいかは面接の回答以外の部分でも見極める必要があります。こちらはオフラインだけでなくオンラインでも大切な着目ポイントをなるため把握しておきましょう。

社会人としてのマナー

時間を守ることや清潔感のある身だしなみは、社会人としての基本です。面接には、時間前行動を心がけ、余裕をもって面接に臨めているか。服装や身だしなみでは、清潔感があるだけでなく、自社のルールに照らし、許容範囲のものであるかを確認するようにしましょう。

面接官が見ていないところでの態度

面接前の控え室での姿勢や態度および事務連絡時の対応シーンでは、応募者の素の面を垣間見ることができます。面接官以外の社員への挨拶、話し方、お礼の言葉などをしっかり行動を観察しましょう。控え室での印象と面接中の態度にギャップがある場合には、特に注意が必要な状況と言えます。

コミュニケーション能力の高さ

コミュニケーションスキルは、業務を円滑に進めることだけでなく、自社で上手くやっていけるかを判断するためにも、確かめておきたいポイントです。具体的には、しっかりと受け答えができているか、的外れな回答をしていないか、面接官が聞いていないことをしゃべり続けていないかといったことが挙げられます。

適切な採用面接を行う前に必要な準備

面接をスムーズに行うためには事前準備が必須といえます。

求める人材像を明確にする

求める人材像を明確にすることは、面接においてどのような質問をするとよいかを明確にすることにもつながります。これまで挙げてきた質問例を参考にしながら、応募者の回答をさらに質問で掘り下げ、応募者の価値観や本音を引き出し、求める人材に合致しているか自社で活躍できる人材かを見極める手段として活用しましょう。

採用基準を設定する

採用基準を設定することは、面接の合否を決める際に、面接官の主観を排除し、合否の公平さを担保する効果があります。公平さの担保以外にも、求める人材像の明確化で挙げた通り、面接においてどのような質問をするとよいかを明確にし、どのような質問をするか面接官の迷いがなくなり、面接での方向性を統一することにもつながります。

採用基準の設定方法について詳しくはこちら
【採用担当必見】採用基準とは?人材を見極めるための設定手順

面接評価シートを作成する

面接評価シートは、面接での評価項目・評価基準・質問項目をまとめたシートです。シートにまとめることで、面接で確認する内容や評価方法が明確となり、スムーズな面接かつ、公平な合否判断にもつながります。企業ごとに評価項目・評価基準・質問項目は異なるため、次章を参考に自社に合ったシートを作成しましょう。

面接中のNGな行動・質問などを面接官同士で共有する

面接は、応募者を選ぶ場である一方、応募者から選ばれる場でもあります。応募者に不快感や不信感を与えないよう、面接中の行動や質問には注意しましょう。とりわけ恋愛や結婚、宗教、生活状況など、個人的な事柄に深入りせず、面接評価シートの質問項目を参考にし、応募者の価値観や本音を引き出すことに集中しましょう。

採用面接評価シートの作り方

採用面接評価シート
1. 自社の求める人材像を明確化する
2. 評価項目を選定する
3. 評価基準・合格ラインを定める
4. 面接での質問例をピックアップする

採用面接を行う際には面接評価シートを作っておくと便利です。面接評価シートは「評価項目」と「評価基準・合格ライン」を示したもので、面接のスムーズに行うことにつながります。

1. 自社の求める人材像を明確化する

自社の求める人材像を明確にすることは、面接においてどのような質問をするとよいかにもつながります。求める人材像を明確化する際は、抽象的にではなく、具体的を心がけます。年代・経験・スキル・人柄・価値観など、パーソナルな部分まで考え、誰が見ても同じ人物像を描けるようにしておきましょう。

2. 評価項目を選定する

評価項目は、大きく2つ。業務上必要なスキル・能力面、人物面に分かれます。業務上必要なスキル・能力面では、業界・職種の経験や保有資格の有無などを項目として入れましょう。まずは項目を出し、その後、優先順位をつけて絞り込むとよいでしょう。もう1つの人物面では、企業理念や価値観・風土、一緒に働くチームやメンバーの雰囲気・志向性との適応性を測れる項目を入れましょう。

3. 評価基準・合格ラインを定める

面接官の主観を排除し、合否の公平さを担保するためにも、評価基準・合格ラインは、定量的にしましょう。具体的に評価基準では、5段階などレベルを設けます。その上で、合格ラインを評価項目の中で一定段階以下が複数ある場合は除き、評価項目の合計が何点以上の場合にするなどを定めるとよいでしょう。

4. 面接での質問例をピックアップする

面接官によって、面接の質に差が生まれないようこれまで挙げてきた質問例を参考に、ピックアップしておきましょう。面接官が面接慣れしているとは限りません。質問例をピックアップしておくことは、面接での聞き漏れ防止にもつながり、面接に集中するためにも役立つのではないでしょうか。

オンライン採用面接を行うときの6つのポイント

オンライン採用面接のイメージ
・通信環境を整備する
・応募者に注意事項などを周知しておく
・アイスブレイクを長めに取る
・簡潔に質問する
・大きめにリアクションする
・情報漏洩に気をつける

感染症の拡大によりオンライン面接も一般的となりました。オンライン面接では対面面接にはない注意すべき点がありますので、6つピックアップして解説します。

通信環境を整備する

スムーズな面接を進めるため、通信環境の整備は必須です。接続トラブルが発生した場合、応募者からのイメージダウンにもつながる可能性があります。あらかじめ通信環境に問題ないかを確認し、万全の状態で臨むとともに、万が一に備えて緊急連絡先や対応方法を応募者へ伝えておきましょう。

応募者に注意事項などを周知しておく

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、Zoomなどを利用したオンラインでのミーティングや授業も増えましたが、まだまだ慣れていない応募者もいます。当日利用するツールやその使い方は、あらかじめ連絡しておきましょう。また、当日も接続に時間が掛かることを想定し、5~10分程度時間に余裕を持つことをおすすめします。

アイスブレイクを長めに取る

オンライン面接では、接続が始まるとすぐ面接官とのやりとりが開始され、応募者にとって、心の準備・切り替えしづらいと言えます。そのため、面接官には、アイスブレイクを長めに取り、緊張をほぐすことがお願いしておきましょう。

簡潔に質問する

オンライン面接では、通信状況によりタイムラグが発生するなど、声が聞き取りづらいことがあります。質問は簡潔にはっきりと伝えるようにしましょう。また、面接開始前には、聞き取りづらい場合には、聞き返してくださいなどとオンライン面接に配慮した一言を加えることは、応募者の安心にもつながります。

大きめにリアクションする

オンライン面接では、声の聞き取りづらさ以外にも、リアクションが伝わりづらいデメリットがあるため、注意が必要です。面接官には、いつも以上に大きなリアクションをお願いし、応募者が話しやすい雰囲気作りを意識してもらいましょう。

情報漏洩に気をつける

オンライン面接では、利用するツール録画機能にて面接の様子を録画することも可能です。録画機能を利用する場合には、必ず応募者に承諾を得るようにしましょう。なお、録画データは外部へ流出しないよう厳重に管理し、面接の評価などに利用し、データが不要になった際には、速やかにデータを削除しましょう。

準備を整え、流れをイメージして採用面接に臨みましょう

本記事では、採用面接に際して使える質問例や、把握しておきたい面接の流れや注意ポイント、準備しておきたいことについて包括的に解説しました。良い人材を見極めることは企業として欠かせません。ぜひ解説した内容を参考にして効果的な面接につなげてください。

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