2024年4月1日、多くの企業で2024年度新入社員の入社式が開かれた。
2023年5月に新型コロナウイルスが5類に移行され、コロナ禍が明けてから久しぶりの入社式ともあり、マスクの無い新入社員の笑顔を久しぶりに見た人も多いのではないか。
テレワークを縮小し出社が増えた企業も多く、隣の席に新入社員が配属される人もいるだろう。世代が違う彼らは一体どのような時代を生きてきて、どのような常識を持ち合わせているのか。2024年新入社員の特徴について日本人材ニュース編集部が解説する。(文:日本人材ニュース編集部)
【2024年度 新入社員】生きてきた時代と現状
2024年度の新入社員の多くは以下のような時代を生きてきた世代だ。
・2001年(平成13年)~2002年(平成14年)生まれ(※留年や浪人をせず、4年制大学を卒業した場合)
2001年は、小泉純一郎内閣発足(4月26日)、アメリカ同時多発テロ(9月11日)などが起きた
・小学校1年生の頃にリーマンショック(2008年9月15日)が起きる
・小学校4年生の頃に東日本大震災(2011年3月11日)が起きる
・2020年大学入学(※留年や浪人をしなかった場合)、入学と同時に新型コロナウイルス流行。
生まれた時からインターネットに触れてきた、いわゆるZ世代。
小学生の頃にスマートフォンやSNSが普及し、情報収集・発信を身近に行ってきた。中高生の頃にYoutubeが普及し、テレビから動画へ。インフルエンサーと呼ばれる情報発信に長けている人が多いのもこの世代だ。
親が就職氷河期世代のケースが多く、自身も幼少期にリーマンショックが起きるなど不景気を経験。
大学生の頃にコロナ禍に突入し、オンライン授業などを余儀なくされてきた。就職活動時期にはコロナも5類へと移行し、徐々に通常の生活を取り戻してきた。
2024年2月1日時点の就職内定率は91.6%で、前年同期を0.7ポイント上回った。
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大学生就職内定率の推移
2024年度新入社員の初任給は、賃上げと共に引き上げる企業が目立った。
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【2024年度 新入社員】接し方のポイント
ALL DIFFERENT(旧ラーニングエージェンシー)が実施した「働くことに関する新入社員意識調査レポート」(2023年4月19日)によると、「自分のキャリアアップにつながる理想の上司」について聞いた質問では、「間違いを指摘して正してくれる上司」と回答した割合が最も多く57.4%、次いで「自分のことをよく見てくれ、声をかけてくれる」(41.1%)、「具体的に手順を細かく教えてくれる」(40.9%)と続く。要するに丁寧に指導してくれる優しい上司である。
広告関連業の人事課長によると、「最近の新入社員は教科書通りにやることはすごく得意だし、ある意味で優秀だと思うが、ただし共通するのは、失敗を恐れる優等生という感じだ」と言う。
Z世代は最初に手にした携帯がスマホであり、コミュニケーションの手段としてインターネットやSNSを利用することが主流であり情報収集が得意だ。一方、SNSを通じて小学校~大学などの横のつながりは広いが、上下の人間関係のコミュニケーションに不得手な人も多いと言われる。しかも大学時代はコロナ禍で対面のコミュニケーションが極端に減った。
上下関係のコミュニケーションに不安を覚えることが多いため、「丁寧でやさしく指導してくれる上司」を心掛ける必要があるだろう。
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【2024年度 新入社員】退職を食い止めるには?
新入社員が退職する最大の原因を一つに絞るとしたら、「思っていたことと違うこと」だろう。つまり「イメージと現実のずれ」だ。
その中でも最も大きく感じるずれは、「仕事のイメージ」だ。新入社員は、ついこの前まで学生で、仕事の経験が無いため、ずれの中でも仕事のイメージのずれが最も大きくなる。
仕事のイメージのずれが大きすぎると「私には向いていない」「ずっと続けたいとは思わない」と感じ、早期退職につながる。
そこで有効なのが「仕事の伝え方」を変えることだ。学生に限らず、人は「自分が知っていることの延長線上に、知らないものを想像する」性格がある。例えば営業の仕事を「コンビニの接客アルバイトの延長」で捉えたり、企画の仕事を「サークルのイベント運営の延長」で考えたりする。
そのため、「アルバイトやサークル活動との違いと共通点」に注目し、学生時代に経験することの多いアルバイトやサークル活動の仕事の中で、仕事内容の中で何が近くて何とは遠いかを解説するようにすると、新入社員のなかで仕事内容がイメージしやすいだろう。
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エンゲージメントを高めるためにも丁寧な対応を
2024年度新入社員の特徴を紹介してきたが、もちろんすべての新入社員がこのような特性を持つわけではない。
「今年の新入社員はこうだから」という固定観念を持つのではなく、接し方のヒントや話題の一つとして参考にしてもらいたい。
近年、若手社員のキャリア観は多様化しており、入社前から転職を視野に入れている場合も多い。そのため、少しでも長く働き成果を出してもらうためにも、社員のエンゲージメントを高めることが重要視されている。そこで、効果的な会話がつながりを深める一つの策になるかもしれない。
たかが会話されど会話。新入社員とのささいな会話や接し方が彼らのマインドを変化させる可能性があるため、丁寧な対応を心掛けたい。