春闘

春闘とは、春季連合闘争の略で、企業と労働組合のあいだで労務に関する条件や規定などを協議・交渉するための取り組みを指します。4月の新年度に向けて2〜3月に交渉のピークを向かえるため、春闘と呼ばれています。東証一部上場など大手企業の春闘が先駆けて実施され、決定された賃金相場や変更された労働条件を元に、中小企業でも交渉がおこなわれます。

春闘のスケジュールとしては、12月頃から複数の産業における労働組合が集まり交渉の方針についての話し合いが始まり、翌年1月までにはおおかたの方針が決まります。2月に入ると労働組合側から条件が企業に伝えられ春闘に突入し、3月には大手企業において妥協点のすり合わせ結果が発表されます。その結果を元に中小企業でも交渉がおこなわれ、4月に新年度の始まりとともに条件改定が実施されます。

春闘で交渉される具体的な内容は、賃金の改定や労働環境の見直しなどです。従業員の年齢や勤続期間によって給与が上がる定期昇給、企業全体における賃金の底上げともいえる給与のベースアップ、長時間労働の是正や時間外労働への適切な対応を協議する労働環境の見直し、仕事だけでなくプライベートも充実するような従業員のクオリティライフ向上を実現させるための取り組み、大企業との格差是正など、労働者の権利を守るために多岐に渡る議題について交渉がおこなわれます。

大手の春闘によって得られた結果は、中小企業の労働条件にも大きな影響を与えます。適切な対応をおこなえるよう、あらかじめ人事体制を整えておくとよいでしょう。最も大切なのは、人事評価の透明性です。近年はスキルを重視した評価方法が増えていますが、年齢や在籍期間に関係のない差が生まれると、従業員の間で不公平感が発生してしまいます。対策として人事評価の方法に分かりやすい基準を設けることで、納得感を得られるようになります。

また、同一労働同一賃金の制度を採用し公平性をアピールすることができれば、新規の採用もしやすくなるはずです。変化が激しく価値観も複雑化している時代ですから、働き方の多様化を推奨するなど柔軟に対応することで、従業員の満足度を向上させることも可能になります。

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