自身の意思では決定を下せない内容を、上司や関係各所へ共有し承認を得ること稟議といい、稟議の仕組みを用いることを稟議制や稟議制度といいます。
起案したい内容がある従業員が稟議書を作成し、上司や関係各所へと回覧し、承認されればさらに上位者へと回覧されます。稟議内容に対する最高責任者が承認することで、稟議が認められたことになります。
稟議制には、意思決定にかかる手間を省けるといったメリットがあります。通常、起案したい内容がある従業員が物事を決定させる場合には、会議をおこなう方法がありますが。しかし会議参加者の時間が割かれることや、会議設定にも時間や手間がかかります。稟議制を用いることでコストカットにつながり、効率的に進められるメリットがあります。また普段では接点のない、従業員と上位者のコミュニケーションにもなり得ます。
一方、稟議制は責任の所在について意識が薄いといった点や、承認者が長期不在によって稟議が進まないなどの問題があることも事実です。
しかしながら、近年では稟議制をウェブシステム化している企業も増えています。稟議制をシステム化することで、稟議に期限を設定しその期限が過ぎるとアラームで知らせたり、さらに上位者へ移行したりする方法や、稟議の内容や可否について履歴を残し後からでも検索しやすくする方法などがあります。時間短縮や責任回避の懸念点が改善され、より便利になっています。
稟議制で決定する内容は、会社の経費がかかる、契約を締結させる、人を採用するなど、発生頻度の高い内容の場合が多いです。そのため独自のルールを設けている企業が多く、稟議する内容によって分類し具体的な事例や金額設定を定め、ケースによってどの部署やどの上位者まで承認が必要か定めるなど、スムーズな稟議ができるよう工夫されています。
稟議書には、稟議についての目的や理由、得られる効果やかかる経費などについて明記し、場合によっては見積書などの参考資料を用意することもあります。
稟議制をルール化することで明確になり、従業員が意思決定のプロセスを円滑に活用しやすくなります。そのため、企業にとって稟議制は過去の事例を元にして、企業の規模に適した金額設定など、明確な規定化が大切です。