ノーマライゼーションとは、障がい者や社会的マイノリティを含めた多様な人々が、社会において平等に活動し、障害がない人たちと同じ権利と機会を持って生活していくことを目指す理念や考え方です。ノーマライゼーションは、1959年にデンマークが世界で初めて法律に導入した考え方で、その後は欧米諸国を中心に世界的に広まっていきました。
日本においては、厚生労働省が「障害のある人もない人も、互いに支え合い、地域で生き生きと明るく豊かに暮らしていける社会を目指す」ことをノーマライゼーションの理念として提唱しています。
ノーマライゼーションを実現するためには、障がい者や社会的マイノリティの人たちだけに限らず、性別、年齢、人種、宗教などあらゆる人々が自由に行動し、自己決定し、自己実現できるような環境や支援の提供が必要です。
とくに、障がい者に対してのノーマライゼーションは、障がい者が社会において自立して参加できるよう、社会や環境を変えることが求められており、障がい者自身が望む生活を送るための支援や、自分自身で自己決定を行えるような環境作りが重要といえます。
たとえば、障がい者が自由に動けるように障壁のないバリアフリーな建物や交通機関を整備することや、不都合がなくだれでも使いやすい製品を作るユニバーサルデザインの考え方は、ノーマライゼーションの具体的な取り組みのひとつといえます。
障がい者に対するノーマライゼーションは、障害のある人々を分離して扱うことなく、社会全体が彼らを支援して受け入れることを目指すため、障がい者の権利やニーズに対して理解を深め、適切な支援を提供することが重要です。さらに、障がい者をはじめとする社会的マイノリティの権利を保護し、社会全体が彼らを受け入れるための意識改革が求められます。
日本におけるノーマライゼーションの理念は、いまだ十分に認知されているとはいえない状況です。地域で障がい者を受け入れる体制作りを進めることや、企業が進んで障がい者を雇用できるような制度を作ることが必要です。そして、障がい者に対する「障害のある人」というイメージを変え、心理的な壁をなくしていくことが、今後ノーマライゼーションを目指すうえでの課題といえるでしょう。