AQ(Adversity Quotient)とは、ビジネスにおいて企業や個人が、逆境や困難に直面した際にどれだけ対処できるかを評価する指標のことです。AQは、米国ハーバード・ビジネススクール客員教授のポール・G・ストルツ(Paul G. Stoltz)が提唱しました。
AQは、IQやEQと同様に、人間の能力を測定する指標の一つであり、逆境に立たされたときにそれを乗り越える力を表しており、逆境指数とも呼ばれます。IQ(知能指数)やEQ(感情指数)とは異なり、AQは後天的に伸ばせると言われています。
AQは、4つの要素から構成されています。具体的には、コントロール(自分自身や周囲の状況をコントロールする能力)、承認(自分自身や他者から承認されることへの価値観)、挑戦(新しいことに挑戦する意欲)、建設的な反応(逆境に対して建設的な反応を示す能力)の4つの要素です。これらの要素を総合的に評価することで、AQを算出します。
AQのメリットとしては、逆境に適応するための能力を評価し、改善点を把握できる点が挙げられます。また、逆境に強い人材の発掘や、人材育成のためにも活用されます。
AQを高める方法は、自分自身に対して挑戦的な状況を作り出し、それらに対処することが有効です。また、自己肯定感を高めることも重要です。EQが高い人はビジネスの場でも円滑に人間関係を築くことができます。
さらに、逆境に対する考え方や反応を変えることでもAQは高まります。たとえば、逆境をチャンスや学びの機会と捉えたり、自分がコントロールできる部分とできない部分を区別したり、自分の力で解決しようとしたりするとよいでしょう。
逆境に立ち向かうための目標や計画を立てたり、逆境に耐えるためのメンタルトレーニングやストレスマネジメントを行ったりすることも有効です。 一方で、AQを高めることが全てではなく、状況によっては適応することが難しい場合もあります。AQは適応力を評価する指標であるため、人間性や職務能力など他の重要な要素を見落としてしまう可能性もあるため、注意が必要です。そして、AQは逆境に対する反応を測るものであり、能力や性格を測るものではありません。そのため、AQが高いので優秀である、またはAQが低いので劣っているという単純な判断は避けるようにしましょう。