インポスター症候群

インポスター症候群とは自分が仕事やプライベートで何かを達成したこと、成功したことを自分のなかで肯定できず、過小評価してしまう傾向のことです。英語で「Impostor syndrome」(インポスター・シンドローム)と呼ばれ、1978年に心理学者のポーリン・R・クランスとスザンヌ・A・アイムスが提唱しました。インポスター(Impostor)は「偽物」、「詐欺師」を意味することから「詐欺師症候群」とも呼ばれており、一般的に男性より女性のほうが陥りやすいといわれます。

たとえば会社で業績を上げて褒められたとしても「自分の力で達成したのではなく運が良かっただけ。わたしにそんな能力は無い」とネガティブに捉えてしまい、自分はあたかも仕事ができるかのように周りを欺く「詐欺師」だと思い込み、「いつか失敗したら批判される」と不安に襲われる、そのような心理状態になるのがインポスター症候群の特徴です。海外ではFacebook初の女性役員として知られるシェリル・サンドバーグ氏や俳優のトム・ハンクス、『ハリー・ポッター』シリーズでハーマイオニー役を演じたエマ・ワトソンなどもインポスター症候群による悩みを告白しています。

海外では性別に関わらず働く人の約70%がインポスター症候群を感じているという調査結果があるのに対して、日本では男性より女性に多いといわれます。子どもの頃から「出る杭は打たれる」の言葉に倣い、個性より協調性を重んじるように教わり「女性は女性らしく」と育てられた背景が心理的要因となり、社会に出てからも「目立ってはいけない」「成功したら嫌われる」と考えてしまう傾向にあるとされます。また日本では謙遜する文化があるため、聡明で有能な女性ほど周りに配慮して自分を卑下しようという気持ちが働いて成功に不安を感じることから「成功恐怖症」などと呼ばれます。

働き方改革により企業でも女性活躍推進を課題とするなか、実は有能な女性社員がインポスター症候群に陥って本来の力を発揮できていない可能性があります。人事がインポスター症候群を正しく理解してカウンセリングなどをおこない、自分を過小評価している社員が正しく自己評価できるようにアドバイスすることにより人材を育てることは急務といえるでしょう。

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