勤務間インターバル制度は、2019年4月より働き方改革関連法の一つとして制定されました。終業時から翌日の就業開始時間まで、一定の間隔を空けることを企業の努力義務として定めた制度です。従業員の労働環境が改善されることで、より働きやすい企業を目指すことが狙いです。
勤務間インターバル制度が導入された背景としては、タイムカードの打刻を調整して長時間労働を強いる風土、長時間労働による過労死の発生、十分な休憩のない中労働を続けることによる精神的・身体的な不安定が、社会問題として注目されていることが挙げられます。
2021年7月には、厚生労働省による過労死認定の基準が見直され、勤務間インターバルが11時間未満であることが過労死の原因の一つとして追加されました。例えば午前9時から午後6時までが通常の勤務時間の場合、5時間の残業をして退社が23時になると、翌日の午前9時に始業すると勤務間インターバルが11時間を下回ることになります。このような状況での就労が慢性的におこなわれている場合、従業員へ身体的にも精神的にも過度な負担がかかり、過労死の可能性を高める恐れがあります。勤務間インターバルを導入することで、健全な事業運営を実現できるようになります。
厚生労働省が推奨している勤務間インターバルの具体的な時間は9時間〜11時間以上とされています。ただし、過労死の原因の一つに勤務間インターバルが11時間未満とされていることから、11時間以上のインターバルの確保が現実的な基準となります。
勤務間インターバルを導入した企業は、助成金を取得することができます。「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」という名称で、9時間以上の勤務間インターバルの規定を導入することや、すでに9時間のインターバルを確保している場合は2時間の延長などが条件とされています。
勤務間インターバルを導入することで、従業員の健康確保、労働生産性の向上、優秀人材の獲得といったメリットを得られるようになります。十分な休息を設けることで精神的にも身体的にも健康を維持できるようになり、プライベートの時間も確保できるため、より働きやすい労働環境の構築を可能にします。仕事への満足度が高まれば定着率が向上し、対外的にもアピールでき人材採用にも効果的です。