ピボット

ピボットとは「(機械の)旋回軸」や「旋回する」を意味する英語「pivot」が語源で、企業経営における「方向転換」「戦略の変更」を表現する際に使われる言葉です。バスケットボールで片足を軸にその場で方向を変えることを「ピボット」と呼びますが、そこから連想されたともいわれます。最近はアメリカのカリフォルニア州にあるシリコンバレーでITのベンチャー企業が路線変更する「ピボット戦略」を盛んに行うことから参考とする企業が増えています。

ベンチャー企業など新たに立ち上げた企業は革新的な技術やサービス、ビジネスモデルなどを導入することが多く、順調な時は一気に成長する可能性もありますが、むしろスタートしたときから計画どおりに進むことのほうが少ないものです。企業経営では何らかの壁に突き当たった場合に方向転換することをピボットと呼び、ベンチャー企業は進捗状況が思わしくない事業の展開を分析して原因を追究する場合や、新たに事業展開する可能性がある市場を見極める時にピボットをおこないます。

ピボット戦略の1つである「ピボットピラミッド」はアメリカのSelcuk Atli氏(スタートアップ企業のCEO)が提唱した考え方です。ピボットする対象を下の階層から「ターゲット顧客」、「課題」、「解決方法」、「テクノロジー」、最上層になる「グロース戦略」の5つに絞り、一番下の階層を変えると全てを変える必要があると指摘しています。

写真・動画共有ソーシャル・ネットワーキング・サービスとして成功した「Instagram(インスタグラム)」は、2010年に参入した当初は「Burbn(バーブン)」という名前のロケーション系サービスでした。利用者数が伸びないことからピボットして、写真の加工・共有だけに特価したところユーザー数が急増して世界的に有名なSNSに成長を遂げたのです。この事例はピボットピラミッドにおける「解決方法」の好例とされます。

このようにピボットを迅速に取り入れて、なおかつその機会をいかに多く創出できるかが成功につながるともいわれます。いかに優れたアイデアでも、実際に試してみなければ真の価値は分かりません。また企業にとって社員一人ひとりの能力やスキルをどう伸ばすか中長期的に計画する「キャリア開発」にもピボットの考え方は当てはまるといえます。

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