内定承諾書は、企業から内定を受けた求職者(主に学生)が、内定意思を明らかにして入社を宣誓する書類を指します。「内定誓約書」と表現される場合もあります。内定承諾書を通知する際は、「内定通知書」「労働条件通知書」など、ほかの内定書類もいっしょに渡すことが多いです。
内定承諾書には、ふたつの目的があります。ひとつ目の目的は「内定証明」です。内定していることを書面に残すことで、求職者側の安心感につながります。(内定承諾書以外に「内定通知書」が発行される場合もあります。)
ふたつ目の目的は「内定辞退の抑制」です。優秀な人材であれば、他の企業からも内定を受けている可能性があります。そのため、内定承諾書を提出してもらうことで、人材が他者に流出することを防ぐ(入社を念押しする)企業が多い傾向にあります。
内定承諾書によって入社を宣誓すると、正当な理由なく入社を拒否できない拘束力が発生します。内定承諾書そのものに法的拘束力があるわけではありませんが、内定承諾書を提出することで内定に合意したとみなされるためです。つまり、内定承諾書を提出すると、労働契約が成立します。
ただし、入社を拒否できないとしつつ、法的には民法627条の定めるところにより、「雇用契約は解約申入日から2週間経過することで終了する」とされています。(雇用期間の定めがない場合)内定に合意した場合は労働契約が成立しているため、内定承諾書提出後の内定辞退も民法627条に則って可能ではあります。
ただし、内定承諾書が提出されると、企業側はPCなどの設備や名刺などの備品を含めた入社準備を進めます。内定承諾後は、企業側も費用をかけて受け入れ態勢を整えていくため、内定承諾後に入社辞退することは控えましょう。仮に内定承諾後に内定辞退する場合は、ひとりのビジネスパーソンとして誠意ある対応が求められます。
なお、内々定の場合は、労働契約は成立しておらず、企業側・求職者側どちらからも辞退可能です。また、内定承諾後も、内定者が単位不足で大学を卒業できなかったり、心身の故障で労働に支障があったり、犯罪行為があったりした場合は、内定が取り消される場合もあります。