人材採用

売り手市場化で採用手法の見直し必至(雇用情勢・新卒採用編)

再び採用スケジュールが変わる新卒採用、人材不足が慢性化している中途採用、多様な労働力の活用などの課題に対して、従来型の採用手法では人材確保が難しくなっている。2016年の日本の雇用情勢と企業の人材採用数の予測を、企業の人材採用を支援する主要人材コンサルティング会社100社を対象にアンケート調査で聞いた。(雇用情勢・新卒採用編)

日本人材ニュース

企業を取り巻く人材採用マーケットの現状

本誌が実施した企業の採用を支援する人材コンサルティング会社への調査では、2016年の日本の雇用情勢は良くなるという回答が68%、横ばいが29%、悪くなるが3%となった。

企業の採用計画の予測も同様に、増加するが約7割を占めている。今年は昨年以上に売り手市場化が進み、人材採用はますます困難を極めることになりそうだ。

最も企業の採用に影響を与えそうなのが景気拡大による人材需要の増加だ。中国経済の不安定化を指摘する声もあるが、産業全体が好調なことと東京オリンピック開催までのインバウンド需要などで国内外の人材需要はさらにひっ迫しそうである。

人材採用では今後の労働力人口の減少も考慮に入れていかなければならないだろう。生産年齢人口(15~64歳)は2013年に7901万人で前年比116万5000人の減少となり、32年ぶりに8000万人を下回った。

2015年7月時点ではさらに減少して7715万9000人と前年同月比96万7000人減(マイナス1.24%)となった。特に若年労働力の不足は深刻だ。

大学などへの進学や就職の年齢でもある18歳人口はこれまで約120万人を維持してきたが、5年後の2021年から減少傾向に転じ、2030年には約20万人減少して100万人にまで低下すると推計されている。

●2016年 日本の雇用情勢・人材採用の増減(回答集計)

日本人材ニュース

新卒採用は昨年以上に売り手市場化

今春入社の新卒採用活動は、広報開始3月、選考開始8月、正式内定10月という採用活動のスケジュール変更で企業も学生も大混乱に陥った。特に3月から8月まで5カ月の広報活動期間は、企業からも学生からも“長すぎる”という声が上がっていた。

この期間に行われた学生への選考に対して企業側が形式的に指針を守ろうとしたため、メールの文末に「今後のご活躍をお祈りいたします」と入れて暗に不採用を通知する「お祈り」メールやスケジュールを連絡しないことで不採用を知らせる「サイレント」という言葉が就活生の間で流行するほどだった。

採用担当者も学生対象の全国各地のイベントへの参加で休みなく活動する状況で疲弊していた。指針を守らず8月以前に面接を実施して内定を出しても、結局は有力大手企業の内定出しが優先されたために次々と内定辞退が出て、内定者の2割も残らなかったという企業もあった。

大手企業の多くは8月に入り即座に内定を出したが内定を複数抱えた学生が予想以上に多く、10月1日の正式内定までに内定辞退が続出することとなった。こうした混乱で採用計画数を採りきれなかった企業は、採用活動がさらに長期化している。

企業の新卒採用にかかわった人材コンサルティング会社のある担当者は、「野球に例えれば3月からの広報活動はオープン戦、8月の選考活動は公式戦。今回はオープン戦が長すぎて企業も学生も疲れすぎてしまった。それに比べて公式戦はあまりにも短かったことが、スケジュール変更の失敗につながった」と指摘する。

この反省を踏まえて昨年12月、経団連は3月広報開始、6月選考開始、10月正式内定という新たな「採用選考に関する指針」を発表した。 選考開始が昨年に比べ2カ月早まり、これにより広報活動期間が2カ月短縮されて3カ月間となる。大手企業の内定出しは6月初めに集中することが見込まれる。

今回のスケジュール変更について、就職情報を提供するディスコで新卒紹介を手掛ける桒原博之キャリタス就活エージェント部長は、「企業にとっては広報活動短縮による母集団減少、他社との選考バッティング増加が予想される。選考時期の見直し、面接官のレベルアップなどの体制強化、待遇の見直しがポイントとなる。一方で、16年卒で大量発生した内定辞退は減少する」と指摘する。

リクルートワークス研究所が算出した2016年3月卒業予定の大卒求人倍率(修士含む)は1.73倍となり、前年の1.61倍からプラス0.12ポイント上昇した。 全国の民間企業の求人総数は前年の68.3万人から71.9万人と3.6万人増加(前年比5.4%増)。学生の民間企業就職希望者数は、前年42.3万人からほぼ横ばいの41.7万人(前年比マイナス1.5%)で完全な売り手市場となっている。

本誌の調査でも2017年卒の採用活動では2016年卒以上の求人数増加が予想され、売り手市場化で学生の大企業志向も一層強まるだろう。そのため採用に苦戦している企業では採用手法の見直しは必至だ。

新卒採用支援会社のヒューマネージ齋藤亮三社長は、「ここ数年、学生一人当たりの就職活動量は減少傾向にあり、早期から志望先を絞り込んでいるため、昨年も第二クールの母集団形成で苦戦する企業が多かった。学生の価値観が多様化している点も踏まえると、『多様な情報提供』で『多様な学生』の関心を『多数の接点』で捉えることが大切だ」

「採用期間が短くなる2016年は、Webセミナーを活用して情報提供を行う企業が増えている。また、一部大手企業を除いて、複数の就職情報サイトを戦略的に活用することも効果的と考えている」と採用手法の見直しを提案する。 学生に対して認知度の低いBtoB企業や中小・ベンチャー企業で2016年卒の採用が成功した企業を見ると、自社の魅了の発信と経営者や働く社員への共感を前面に打ち出して、インターンシップや会社説明会に早期に取り組んだ企業だった。

自社の魅力を伝えて共感を生むことで意欲の高い優秀な学生を採用できていたし、そのような企業では内定辞退も少なかった。もはや求人票に出ている賃金や処遇だけが魅力の採用活動では意欲の高い学生は確保できない。経営者、社員が様々な機会を通して会社の魅力を全社で伝えていくような採用活動に取り組む必要がある。

●平均エントリー社数累計

日本人材ニュース

●就職内定率

日本人材ニュース

●内定保有社数分布(8月)

日本人材ニュース

●内定保有社数

日本人材ニュース
(出所)「2016年卒マイナビ学生就職モニター調査8月の活動状況」「2016年卒マイナビ大学生就職内定率調査」を基に本誌作成

主要人材コンサルティング会社に聞く 「企業の人材需要と採用の課題」(前半)

①企業の人材需要
②企業の人材採用の課題
③人材業界の展望、自社の事業展開

マンパワーグループ 
池田匡弥 取締役代表執行役社長

①マンパワー雇用予測調査:16年第1四半期結果では、調査対象の1177機関中、23%が「16年1月から3月の雇用計画について15年10月から12月に比べて増員する」と回答している。これは、08年第2四半期以来の最高値を記録した前年同期比でプラス3ポイントとなっており、特に「建設」「サービス」関連業種では、年間を通じて活発な雇用活動が期待される。日本企業の雇用意欲は引き続き堅調に推移すると予測する。

②中国経済の減速傾向により、近隣諸国および世界各国の人材採用が慎重になっている中、加速する少子高齢化や、慢性的な人材不足および需要と供給のミスマッチが日本企業の重点課題となっている。16年、企業は課題に対応する人材採用を実施するために「人材育成や柔軟な外部人材の活用を前提とした人事戦略の策定」および「候補者に選ばれる組織への変革」が求められると見ている。

③日本の少子高齢化や、慢性的な人材不足(需要と供給のミスマッチ)、2020年の東京オリンピックに向けた準備など、日本の課題に対応可能なサービスを積極的に展開予定。

プライマリー・アシスト 
石山知良 代表取締役社長

①経済環境に不透明感があるが、若年労働力の不足は常態化し続ける。特に中小企業は労働力確保難が続き、新卒の大手を志向する動きは変わらない。女性活躍推進法の施行に伴い、女性のキャリアップについてはチャンスが開かれると考え、採用需要も増える可能性があるが、全体の人材需要を活性化するまでには課題があると感じる。また障害者雇用促進法の改正により、障がい者を受け入れる環境の整備や、採用活動を積極的により推進する動きが一部で見られている。

②新卒採用は、来年度も就活スケジュールの変更が発生し、採用側、就活生ともに振り回される年度になる。今年度同様に、就活協定ルールが有名無実化しており大手が解禁前に活動を開始することが予想される。中途採用については、今年度横ばいから微増の求人傾向は続き、引き続き人材サービス業界の活況は続くと思われる。採用の量から質への課題は年々増加しており、採用側と求職者「個」をしっかりと捕らえる人材会社が強みを発揮していくと考える。

③「健康経営」が広く認知され、ストレスチェック実施の初年度と重なり「健康経営」への取組みが浸透されていく。これまで医療職の配置を考える企業の多くは、上場企業もしくは従業員数の多い企業が中心だったが、2016年度はその裾野が拡がる初年度になると考えている。 産業医・保健師をはじめ、医療職の活躍の場が企業にも拡がっていく。産業保健・企業健保向けに特化した会社として、サービスメニューを拡大し差別化を強化していくとともに、西日本地区の営業展開として、春先に関西支社(大阪)を設立する。

アデコ 
板倉啓一郎 人財紹介事業本部長

①労働者の過不足状況を判断する雇用人員判断D.I.を見ると、15年の数値は前年に続きマイナス(「不足」超)で、かつその幅も大きくなっており、企業の人財需要が高止まりしていることが伺える。16年も業種・職種を問わず、引き続き堅調に推移すると見込まれる。労働力人口の減少傾向が続く中でスキルや経験を積んだ人財に対するニーズは特に高く、40代、50代のシニア層の転職が伸びている。

②少子高齢化や若年層の離職率の高さから、中途採用を増やすべき。その際、優秀な人財を採用するためには、在宅勤務やモバイルワークなど、場所を選ばない働き方ができるような仕組みを作ることが重要。また、中国や台湾を筆頭にアジアにおける生活レベルは年々上昇しており、均一化が進んでいる。グローバルかつボーダーレスな現在の市場においては、国籍を問わない採用などを通じて社内のダイバーシティを高めることが成長につながる。

③情報の洪水状態が続く中で、人が介在する人財紹介サービスは今後も伸びていく。ダイバーシティが進むマーケットに対し、自らの組織を多国籍化したり、完全フレックス制をはじめとした柔軟な勤務体系を整備することで、企業に対しても多様な提案を行う。また、職種軸をベースとした組織での360度式コンサルティングを引き続き推進し、コンサルタントの専門性を高め、求職者と企業双方により付加価値の高いサービスを提供する。

経営者JP 
井上和幸 代表取締役社長・CEO

①幹部人材市場においては、一方での採用加熱・争奪戦と、業績を上げられない幹部の降格・退出圧力とが、両面非常に強くなる予兆を感じている。変革であれ拡大であれ、あるいは新規事業創出であれ、その具体化を急ぐ局面・経営者の意識の高まり(危機感)を、ここへきて非常に強く感じるようになっている。業種・規模・社歴に差はないようだ。 当たり前のことではあるが、16年は真に実務力・リーダーシップのある経営幹部へのアサインメントがこれまで以上にドラスティックかつスピード感を増し、「名ばかり」幹部についての処遇待遇を含めた風当たりはより一層厳しいものとなるだろう。

②こうした中で、日本におけるポータビリティのある幹部人材の質・量の不足問題が、経済界的にもより大きくフォーカスされる年となると思う。事業執行の巧拙が、それを率いるマネジメント人材の有無によって、より一層左右されるようになる。 各社の幹部人材の抜擢・採用・配置それぞれの力量に応じて、急成長する企業、急落する企業が日々めまぐるしく入れ替わるだろうが、全体的には、社内・社外いずれにおいても、充分な幹部人材の供給力がないため、満足できる幹部が配置できないことでのボトルネックに、多くの企業・経営者がフラストレーションを高める一年とならざるを得ないだろう。

③上記の日本における経営人材不足(質・量)問題に、これまで構築してきた4事業での統合的なソリューションに更に磨きをかけ、事業執行力・組織動員力のある経営人材・リーダー人材を育成し、輩出する。 適材適所を常に実現するためのサポート、また経営者・リーダー各位の、これからの時代を踏まえたキャリア形成支援をより多くの方に提供できるよう、体制の拡充と専門力向上のための投資を実施する予定だ。

アクティベイト 
海老一宏 代表取締役社長

①人口構成の変化により、中高年の人材の価値が少しづつ高まると思われる。現在60歳以下で最も多い年代は42歳であるが、その先の30代、20代と激減していることから、企業は必要な人材ニーズを40代、50代で考えざるを得ない。 企業はまずは40歳前後の採用を考えてくると思われる。有能な40代のスペシャリストの奪い合いが出てくる可能性がある。

②中途採用の活発化により、特徴の少ない(企業イメージ、年収など)企業の採用は難しくなるだろう。また、探しにくい求人に人材会社が群がることは誰もメリットがないため、一部リテーナーや専属契約などを検討することが必要になると思われる。

③大手人材サイト経由での人材確保が難しくなってきている。相対的に経費が上昇しているため採算が悪化してくる。この傾向が今後も続くと予想されるため、独自の人材確保が明暗を分ける可能性がある。

レックスアドバイザーズ 
岡村康男 代表取締役

①昨年同様、人材需要は旺盛であるものの、首都圏の正社員採用においては若干落ち着いてくると思われる。一方、地方では若手の人材採用難が続き、企業による採用の巧拙が事業推進に影響してくるだろう。全体的には採用年齢が比較的高くなってくると予想する。

②企業間で採用力の差が顕著だ。かつて通用した採用方法では採れない企業が増えている。成長意欲のある企業は採用が最優先課題であることを自覚しており、ターゲット毎の採用ノウハウを高めている。経営トップや社内の有能な人材が採用活動に深く関われる企業が組織拡大に成功する可能性が高いと考える。

③会計分野の人材紹介を柱にしつつ、採用に苦戦する中堅法人、中小企業向けの採用支援サービスを予定。

絆コーポレーション 
小川潤也 代表取締役

①新卒採用を考える企業が今まで以上に高まる。出身地での就職をアピールする活動は非常に重視される。一方、中途採用では、中堅層の拡充を目指す企業にとって優秀な30代の採用は最重要課題として、経営戦略として位置づけるところも出てきそう。

②事業の中核を担える人材の採用が今まで以上に盛況になる。しかし、今までの採用方法には限界があると感じている状況で、新しい採用手法の模索が更に進むと考える。紹介手数料のベースアップなど採用経費の見直しを視野に入れる必要も出てくるか。

③M&A仲介サービスの実施(東京の会社と提携をしたサービス)

アンテロープキャリアコンサルティング 
小倉基弘 代表取締役

①金融業界のプロフェッショナル採用については13年初頭より上昇傾向ではあったが、15年8月頃から踊り場に来ている状況である。16年についても前半は同じ傾向が続くものと思われる。景気動向が強くなるようであれば中盤頃から再度、上昇に転じる可能性がある。コンサルティング業界については引き続き強含みで推移するがミニバブル的な要素もあるので転換期が来るかについては注視している。

②金融プロフェッショナルについては大量採用をしている状況ではないので(リテールセールスの一部は除く)一定レベルの人材を見極めた形でのオファーが出る傾向が続くであろう。しかしハイスキル/ハイクオリティ人材については自社の魅力を訴求する、面接プロセスを早める、給与水準をコンペティティブに設定する等の努力が無ければ採用は難しくなる。コンサルティング業界は特に総合系を中心に大量採用が続いているため、休日も含めた採用セミナーの開催、業界に強いエージェントとの共同による採用活動を強めていく必要がある。

③プロフェッショナルに対する長期的なサポートという軸をぶらさず、サービスラインを横展開していくことになる。既存の金融、コンサルティング業界向けサービスについてはカスタムメイドのサービスを増やしキャンディデイトの満足度が更に向上するような施策を実行する。

リス 
木村亮郎 代表取締役社長

①正社員から、パートアルバイトに至るまで、どの雇用形態も人材需要は大きくなるが、全般的に採用が難しくなる傾向から、正社員の募集が多くなり、特に、正社員の人材需要が高まる。また、増員を行う企業が多いため、その増員した人材に、最大限のパフォーマンスを発揮させることができるマネジメント人材の需要も、さらに高くなる。同様に、若手だけでなく、40歳以上のミドル層の活用を考えられている企業も多く、各業種、職種で即戦力の、プロフェッショナル人材が求められる。なお、派遣法改正を受けて、派遣業界は大きく影響が出てくる年になるものと思われる。

②どのような職種であっても、同じ職種で複数の企業が採用を考えている状況になる。すると、企業と人材の1対1のマッチングだけではなく、その人材は、自社を、競合他社と比較していると考えなければならない。したがって、経営戦略と同じように、採用戦略が大切になります。転職市場のマーケッティングを行い、自社の位置づけ、強み弱み等の分析から、アピールするポイントを抽出して、それを人材に情報発信し続けなければならない。また、転職人材の需要が高まると、採用と共に、自社の優秀な人材の離職阻止も課題となる。

③人材サービスは、さらに二極化する。一つには、最大限の求人情報と、最大限の人材情報を、可能な限り集め、マッチングさせる「量」で勝負するサービス。もう一方では、企業の求めるスキル・経験だけでなく、社風やなぜその募集があるのかを深堀し、人材についても、スキル・経験だけでなく、価値観や、性格等までしっかりと理解し、提案していく「質」を重視したサービス。このいずれかでなければ、価値を見出されなくなる。当社は72万人の登録者をベースに、エージェントNEOや広告事業で前者にチャレンジし、全国での拠点展開をベースに、人材紹介や人材派遣事業で、後者にチャレンジしていく。

パソナ パソナキャリアカンパニー 
久保昭仁 常務執行役員 人材紹介部門長

①若年層の採用が激化している影響もあり、中高年や女性の戦力化に注目が集まっている。雇用形態や就業形態(時短など)にも柔軟に対応する企業が多くなると考える。

②優秀な人材の採用が難しいため、リテンション(報酬や研修)に力を入れる会社が多くなると考える。採用企業としては「選ばれる会社」になることが求められる。

③海外情勢(ヨーロッパ、中東、ロシア、中国など)の影響がどれだけあるかがポイントだと考える。今や国内企業も海外の影響を直接・間接に関わらず大きく受ける時代。サービス提供において、顧客満足度を高めるための改善努力をし続けることが大切だ。

アイムファクトリー 
久利可奈恵 代表取締役

①IT人材の雇用については明るく増加傾向だ。ミドル層から若手まで幅広く活用されておりエンジニアは人材不足が続く。若手採用は企業の教育制度などでどれだけ早く戦力化できるかが鍵だが中小企業は引き続き課題となるだろう。

②IT業界については、求人媒体で獲得することはより難しくなり採用コストも上がっている。採用方法なども多様化が進んでおりスピードや質が鍵となるため、企業によっては苦戦を強いられるところも多くなってくる。ターゲットゾーンの幅を柔軟にかつ組織にフィットさせる方法をいかに見つけるかが人手不足の解決策になるかと思う。また、15年までにポテンシャル層のエンジニアを雇った企業も多く、マネジメントのできる人材の雇用も盛んとなるだろう。

③ITエンジニアの採用は引き続き、積極的に行われるだろう。人材の争奪戦は続くので当社としても集客、マーケティングに力を入れ採用活動を強力にサポートできるよう努めていく。ITエンジニア専門の紹介会社としてフリーランスから正社員、派遣まで幅ひろくサービスを提供していきたいと考えている。

ディスコ 
桒原博之 キャリタスエージェント事業部 部長

①17年卒の新卒採用見込みは、企業規模や業界を問わずやや増加傾向にあり、採用意欲は底堅い。中途採用はグローバル化に伴う人材ニーズが引き続き高く、加えて新卒採用を補てんする第二新卒を中心としたポテンシャル採用が増加していくのではないか。

②新卒採用については、16年卒に続き17年卒でも採用スケジュールが変更となり、選考活動時期が8月から6月へと2カ月早まる。当社調査では学生はスケジュール変更について「賛成」が「反対」の倍近くなっている。企業の採用ニーズの高さを感じていることと合わせ、例年より楽観視しており、大手志向の高まりを感じる。企業にとっては広報期間短縮による母集団減少、他社との選考バッティング増加が予想される。選考時期の見直し、面接官のレベルアップなど体制強化、待遇の見直しがポイントとなる。一方、16年卒で大量発生した内定辞退は減少する。

③2年連続となるスケジュール変更をきっかけに、新卒採用の仕組み自体に課題があるのではと考える風潮が強まるのではないか。どんなルールとなっても、求職者が求めるときに価値の高い情報を提供する必要がある。すべてのサービスを「User First」にこだわって展開していく。それが企業の採用を成功に導くと考える。

セールスキャリアエージェント 
斎藤信人 代表取締役社長

①当社は全業種を対象にしており、各国の国政や問題による採用需要への影響は業種・職種により様々で、微増・横ばい・微減はあれど、採用需要全体としては増加傾向にある。ただ、その需要は年々シフトしており、IT化・グローバル化が進む中で、各職種の専門性を求められる時代背景が強まっているため、より戦力性が高い優秀な人材に採用ニーズが集中している。その傾向は15年上期から強まり、今年度・来年度とより顕著となると予想している。

②前述の背景から、採用に関しての意識の低さが企業の採用課題を浮き彫りにしている。採用に関して、会社全体が危機感を持って取り組んでいるか否かが、優秀な人材確保の成否につながる。例えば、会社の規模関係なく、社長・役員が前面に立って採用にあたっている企業は採用を成功させている。今後の採用課題として、「ダイレクトリクルーティング型の採用手法をどう成功させるか」と予想するが、成否は、最高決裁者が直に対応・取り組むことが出来るかであると考える。

③より戦力的な人材に採用需要が集中するため、そういった人材にリーチできていない人材紹介会社は今後厳しい展望であると予想する。そのため、当社としては各業界で「必要な核となる仕事」にあたっている方々に独自の手法とリストでアプローチし続けており、その層は、部門責任者からスタッフクラスまで幅広く対応できるようネットワークを構築している。

プロッソ 
牛久保潔 代表取締役社長

①当初、人材需要は引き続き旺盛なまま推移し、これまで契約社員として採用していた枠を正社員に変更したり、採用を行ってこなかったシニア層を契約社員として採用する動きも少しずつ増えてくるものと考える。一方、中国経済の減速や国際紛争が悪化が激しくなる場合には、マイナスの影響を受けやすい分野においては、特に中途採用の分野から、急激な減速が起こる可能性を考えておく必要があるものと思う。

②雇用形態の使い分けや離職率のコントロール等、社内の問題に手を付けないまま、外部から新たな人材を採用することで、現場の人材需要に応えようとしている企業を多く見受ける。採用を取り巻く競争環境が厳しさを増す中、社内外の様々な切り口から、採用力を高めていこうという動きが強くなるものと考えている。

③採用したい人材の質、数、コスト、タイミング等、それぞれの顧客の人材需要に合わせた採用戦略はもちろん、併せて目標離職率の達成と維持に向けた様々な施策やトレーニングを提案する。特に中途採用領域においては、中長期にわたる採用力の向上にも注力し、非転職希望者も含めた採用戦略を提案する。

ブラックピジョン 
ホック エムダド 代表取締役社長

①20代後半から30代のマネジャーから管理職層(特にデジタルマーケティング、EC、ソーシャルメディアマーケティング、IT/エンジニア)における需要が高まると考える。理由として、将来リーダーとして活躍する人材が不足していることが挙げられる。日本はデジタル業界においてアメリカ、欧州をはじめ、アジア内でも遅れをとる中、多くの企業が費用対効果を期待できる手法としてデジタル/インタラクティブマーケティングを行い、ECビジネスの確立を目指している。デジタル、EC、ITの専門かつバイリンガルという人材はマーケットの需要に対し、圧倒的に人数が少ない状況である。企業によっては事態を把握し、将来に備えて若年層の採用と教育を進めているところもある。ビジネス形態としてはBtoB、BtoCの双方に上記は該当するだろう。

②中途採用において、各企業は希望の条件(年齢、性別、業界、経験職種等)に完全にマッチする人材を求める傾向にあるが、実際、完璧な人材はほぼ存在しない。そのため、採用の際にこの候補者は伸びる(教育できる)と感じる場合、採用することをお勧めする。ヒューマンキャピタルは工場で生産できるものではないため、時間をかけて育てるしかないということを念頭に置かなければならない。採用側はモチベーションの高い候補者に機会を与え、自社の意に沿うスキルを持つ人材となるようトレーニングをすべきである。また、来たる2020年の東京オリンピックに備え、バイリンガル人材の需要は更に高まり、近い将来、バイリンガル人材の採用は非常に難しくなると考えられる。そのため、社内教育システムを整えておく必要がある。

③主にマネジャーからCレベル層(CEO、CTO、COO、CMO、ディレクター、管理職)を対象としており、この層の需要は2015年と比較して高まると考える。上層管理職関連の案件に特化しているため、取扱案件の機密保持上、サーチ活動における案件の宣伝・広告・メディアへの露出は一切行わない。2016年もこれまでと同様に、優秀で特に転職を希望してはいないが何かチャレンジングなポジションがあれば、といった人材のサーチに力を入れていきたい。上層管理職の場合、重要なのは職務内容そのものというよりは、リーダーシップスキルと企業文化とのマッチングであると考える。クライアント企業に対し、今後よりそういったフィット感のあるサービスを提供していきたい。

ヒューマネージ 
齋藤亮三 代表取締役社長

①求人倍率は雇用形態を問わず高止まりの状況だが、企業人事と話していると、いわゆるバブルの状態は過ぎ、落ち着きつつあると感じている。新卒採用は2年連続でスケジュールが変わる異例の事態。第一クールでは採りきれず、多くの企業が第二クールの採用を行うと予想されるが、昨年、学生の動きが鈍かったことを考えると、企業と学生とが“出会えず”、質・量を充足できない企業が増えるのではないかと懸念している。

②ここ数年、学生一人当たりの就職活動量は減少傾向。早期から志望先を絞り込んでおり、昨年も第二クールの母集団形成で苦戦する企業が多かった。学生の価値観が多様化している点も踏まえると、「多彩な情報提供」で「多様な学生」の関心を「多数の接点」で捉えることが大切。特に採用広報期間が短くなる16年は、Webセミナーを活用して情報提供を行う企業が増えている。また、一部の大手企業を除き、複数の就職情報サイトを戦略的に使うことも効果的と考えている。

③サービスの特長は「国際規格(ISO20000、ISO27001)に準拠したサービスとセキュリティ」「多様な採用を実現する豊富なサービスラインナップ」「シェア第1位だからこそ可能な、データに基づく科学的な指標」。この強みを活かし、採用プロセスの企画・設計~遂行まで行うパートナーとして、人事・採用担当の方々に併走する。また、これからの採用・人材戦略の課題を解決する独自のサービス創出に、引き続き取り組む。

アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
MONTHLY

ピックアップ

PAGE TOP