経営者JP
井上 和幸 代表取締役社長・CEO
【PROFILE】早稲田大学卒業後、リクルート入社。人材開発部等を経て、2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。リクルートエグゼクティブエージェントにてマネージングディレクターを歴任後、2010年に経営者JPを設立。著書に『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『係長・主任のルール』(明日香出版社)等がある。取材・コメント・出演実績として、「日本経済新聞」「朝日新聞」「読売新聞」「週刊東洋経済」「プレジデント」その他業界誌等多数。
3年目に入ったコロナ禍は感染の収束が未だ見えない中ではありますが、2022年に入って以降、ストップしていた海外現地法人での責任者ポジションについての選考が活発に動き出すなど、経営幹部層での中途採用はコロナ後の出口戦略も意識した活動が顕在化していると感じます。
CMO、CHRO、CTO、CFOなどのポジションニーズはコロナ下においても一貫して根強く、加えて直近では事業開発責任者の依頼が業界・企業ステージを越えて急増しています。DX推進、M&A、新規事業、SCM改編といった変革を推し進めようという各社の本気を感じています。
またSDGsを推進する責任者関連の求人増、役員クラスや社外取締役で女性の登用を希望される話が増えていることなどは、時代テーマを反映していると言えるでしょう。
求職者サイドは、この時期に改めて自身の今後のキャリアを考えた上で、自分らしく貢献できる場、社会的テーマ・課題解決につながる事業にコミットしたいという意識の高まりを強く感じます。40代で要職にある幹部の方が、初めての転職に踏み切る相談が目立って増えているのも、今という時代を反映していると感じます。
しかしその一方で、着任したばかりの企業から半年、1年という短期で離職、再転職する幹部の方も非常に多くなっています。コロナ下での擦り合わせ不足や最終意思決定時の妥協なども関連しているでしょうが、この事象は幹部人材のキャリアリスクと共に、企業における採用幹部の機能不全や再度の欠員リスクを増大させています。選考中に懸念や不透明な部分を感じた際の「勇気ある見送り」決断が重要です。
経営幹部層においても、優秀人材にオファーが集中する傾向は非常に強くなっています。3月のまん延防止等重点措置解除に伴い行動制限もだいぶ解かれ、対面での面接比率も増えてきましたが、選考スピード勝負となっている状況を鑑みれば、今後もオンライン面接を織り交ぜた機動力ある選考で、プロセスをスムーズに進める企業に分がある状況は当面続くでしょう。