【著者が語る】職場の紛争学 実践コンフリクトマネジメント

グローディア

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各務 晶久 代表取締役

わが国は人口減少時代に突入し、深刻な人手不足に陥っています。これに対処するには2つ方策が必要です。一つは生産性を上げること、もう一つは様々な雇用形態で多様な人材を活用していくことです。

しかし、日本企業は人材の多様化が得意ではありません。新卒一括採用、終身雇用といった日本型雇用慣行によって、同じ価値観を持つ均質集団を維持してきたからです。日本型雇用慣行はかなり崩壊しましたが、相変わらず職場では社員同士の「暗黙の了解」を前提にしたコミュニケーションが行われています。

このような環境下、子育てを最優先する主婦、夢を追うフリーターなど、様々な労働観を持つ人材が同居すると、大小さまざまな葛藤(コンフリクト)が増加し、これまでのように「暗黙の了解」が通用しなくなります。

その他にも、グローバル化、女性の就業意識の変化、ITによる世代間の意識ギャップの拡大など、「暗黙の了解」が通じなくなる要素は一昔前に比べ、格段に増えています。

しかし、職場での葛藤はどんどん増加しているのに、その対処は十分といえません。自分の価値観を一方的に押しつける上司は後を絶ちません。一方で、自分の価値観にそぐわない指導には「パワハラ」というレッテルを貼る部下もいます。

本書では実際に職場で起こった6つの対立事例を取り上げています。いずれのケースも価値観の違いから生じた対立を扱っており、皆さんの職場でも起こり得るものばかりです。

本書の目的は対立する双方が、その時どのようなこと考えていたのか、どういう価値観で物事を捉えていたのかを明らかにし、協調的解決に導くことです。これを「コンフリクトマネジメント」といいますが、日本ではまだ馴染みの薄い概念です。

職場の対立は、どちらが正しいかをジャッジしても、生産的ではありません。双方が協調して業務に当たる必要があるからです。対立はそれを乗り越えた時、組織文化を耕す肥やしになります。多様な価値観が同居できる職場づくりに、ぜひ本書をご活用ください。

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各務晶久 著
朝日新聞出版、790 円+税

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