ジレンマ

ジレンマは、「好ましくない二者択一を迫られる板ばさみ」「窮地」、論理学における「両刀論法」を意味する英語「dilemma」に由来した外来語です。有名な逸話に「ヤマアラシのジレンマ」や「囚人のジレンマ」などがあります。ビジネスシーンでは、「イノベーションのジレンマ」がよくたとえに出されます。さらに人事関連や経営に絡むジレンマなどがあるため、企業は自社の状況と比較して教訓にすることが重要です。

「ヤマアラシのジレンマ」は、恋愛をはじめとする人間関係におけるジレンマです。ドイツ出身の哲学者ショーペンハウエルの寓話に出てくるヤマアラシのエピソードに由来しており、精神分析学の創設者であるフロイトが集団心理学の説明に用いたことで広く知られました。ヤマアラシが寒さをしのごうと身を寄せ合って温めようとしても、身体に針があるためお互いを傷つけあってしまい、何度も繰り返して傷つけずに温めあうちょうどよい距離感を見つけるというものです。

人間関係でも相手と親しくなるほど執着しすぎて息苦しさを感じさせてしまうものの、やがて息苦しさはなく寂しさも感じない適度な距離感を知ることがあります。そのような葛藤をたとえたのが「ヤマアラシのジレンマ」です。

新たな考え方や技術を取り入れて、新しいサービスや製品などを生み出すことをイノベーションといいます。「イノベーションのジレンマ」は、大手企業ほどイノベーションを起こすのが難しくなり、ベンチャー企業に抜かれるという経営理論をたとえたものです。

大企業の多くはすでに利益を出すための経営基盤が固まっているため、既存製品の性能や既存客へのサービスを向上しようと持続的イノベーションに取り組み、リスクをともなう革新的な技術に目を向けた破壊的イノベーションを起こそうとしません。破壊的イノベーションの機会を逸しているうちに、ベンチャー企業から市場を奪われるのが「イノベーションのジレンマ」で大企業ほど陥りやすいとされます。

企業では、利益を上げ続けるために長期的な経営視野を持たねばなりません。しかし目の前の赤字を回避するため従業員を解雇したものの、業績が回復して以前よりも高い賃金で雇用する羽目になってしまうのが「経費削減ジレンマ」です。

ほかにも新人を育てなければいけないが教育する時間がない「人材育成のジレンマ」などがあるため、あらゆる事態を想定して計画をたてる必要があります。

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