従業員代表とは、従業員の中から選出された代表者のことです。労使協定を締結するにあたり、労働組合がない場合において、企業の使用者側と従業員代表によって労使協定を締結することが労働基準法で定められています。そのため適正な方法で従業員代表を選出する必要があります。
労使協定とは、企業の使用者側と労働者側が、労働状況や労働環境などについての取り決めを書面化した協定のことです。
労使協定は、労働基準法の制限内では働きにくいなど不都合が生じる場合、柔軟に働きやすくできるように新たな基準を設ける取り決めで、労働者側が納得していない状態で決定することなく、使用者側と労働者側の両者が同意していることで成立します。
従業員代表の役割は重要で、使用者側も正しい理解がなければ、労使協定違反となり罰則となる可能性があります。
例えば、労働基準法では1日8時間、1週間で40時間の労働制限がありますが、時間外労働の労使協定を締結させることで、上限を引き上げ残業が可能になります。ただし時間外労働にも、2~6ヶ月平均で80時間以内、年間720時間以内などと制限があるため、その制限の範囲で使用者側と労働者側で同意した時間を設定することになります。いわゆる36協定と呼ばれる協定です。
労使協定には36協定以外にも、フレックスタイム制度、年次有給休暇の時間単位での付与や計画的付与などがあります。労使協定の中には、所定の労働基準監督に届出が必要になるものもあり、届出されていない場合には労使協定の効力は認められないため注意が必要です。
従業員代表の選出する方法は、協定を締結させるための従業員代表を選出する目的を明確にして、代表者を立候補などで選出し、投票や挙手、回覧などによって選出します。回覧する方法は、従業員代表として選出された人に同意する旨を書面化して回覧をおこない、従業員全員から承認の有無について署名してもらう方法です。尚、使用者側が従業員代表を指定することはできません。
従業員代表の選出で気をつけるポイントは、管理監督者は従業員代表になることはできないことです。また選出された従業員代表に対して企業側は、従業員代表であることやなろうとしたこと、従業員代表として行った正当な行為について、不利益を被らないように配慮しなければなりません。