詐欺師症候群

詐欺師症候群とは、自身の能力によって成果を上げて評価を得たにも関わらず、自身のことを過小評価しすぎる傾向がある症状のことをいいます。

詐欺師症候群の心理的な特性は、「成功している事実を受け入れられない」、「周りから高く評価されても後ろめたく感じる」、「自分の実力ではなく周囲のお陰」、「たまたま運がよかっただけである」といったネガティブな思考が働き、精神的に不安を抱え思い詰めてしまいます。

その結果、成功している事実について「周囲をだましているだけであり、いつの日か自分が詐欺師ということが知られてしまうのでは」と自身を追い込み、心理的に負担に感じるようになることから詐欺師症候群といわれています。

詐欺師症候群は、1978年に発表された論文で紹介されました。周囲をだましている詐欺師という思考に至ることから、詐欺師やペテン師という意味のインポスター(impostor)という言葉が使われて、インポスター症候群といわれるようになりました。それが日本語に訳されて、詐欺師症候群とも呼ばれています。

詐欺師症候群の主な原因は、家庭環境が大きく影響しています。兄弟やクラスメイトなどと比較されて育ってきた場合には、自己肯定感の低い思考が根付くことによって、詐欺師症候群の原因になりやすいといわれています。

詐欺師症候群は、企業にとっては見逃せません。「チャレンジすることを恐れる」、「周囲の期待があっても応えられないのではと不安に感じる」、「周囲と比較して自分を卑下する」などの思考が働くため、優秀であっても成長するチャンスを逃し、モチベーションを発揮できないといった従業員の成長を妨げる問題となります。

詐欺師症候群の症状は、軽度なものから重度のものまでありますが、悪化すればストレス過多となり、仕事だけではなく日常生活にも支障がでるリスクもあります。そのため、詐欺師症候群の傾向を理解し、防止できるよう思考の変化が必要です。

詐欺師症候群を改善するためには、自分を認め他人と比較しないことです。できなかったことに焦点をおかず、一日できたことだけを振り返るくせをつけることが大切です。

企業としても周囲に頼りやすいような環境作りを行い、比較ではなく個人の評価を大切にすることが、詐欺師症候群を防止する取り組みとなります。

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