
ライフワークスタイルラボ
竹下 仁 代表
【PROFILE】1960年 生まれ。1990年 塗料メーカー、総合スポーツ用品開発販売会社を経て、明豊ファシリティワークス株式会社へ就職。2003年 取締役に就任し、PM部門の責任者となる。2010年 株式会社ティーズブレインを設立、代表取締役に就任。2017年 株式会社ライフワークスタイルラボを設立、代表取締役就任。東京大学大学院准教授との産学連携による研究を始め、オフィス学・組織学を通じた働き方改革、意識改革、働く環境・機能改革の研究を行う。
30年以上にわたり、組織運営やプロジェクトマネジメント、そして企業のオフィスづくりや組織変革に携わってきました。その中で多くの人事責任者や経営者とお会いしてきましたが、不思議なほど同じ言葉を耳にします。
「制度は変えたんですけどね」
評価制度も変えた。1on1も導入した。パーパスも策定した。研修も増やした。それでも組織は思ったように変わらない。まるで最新カーナビを搭載したのに、なぜか目的地に着かないような話です。
もちろん制度は大切です。しかし長年の現場経験で、一つの事実に気づきました。人は制度の影響以上に「働く環境」に敏感だということです。環境が自分にどのような影響を与えるかを感じ取り、行動を選択しています。
例えば、「部門の壁をなくそう」と言いながら部署ごとに分断された場所で働いている。「挑戦しよう」と言いながら失敗を認める空気がない。「コミュニケーションを増やそう」と言いながら会話できる場所がない。これでは制度を実現する環境が存在していないのと同じです。
人的資本経営が重視される今、人事部門には制度を設計・運用するだけでなく、「組織がどう動くか」を設計する視点が求められているのではないでしょうか。
本書では、見落とされがちな「働く環境」に焦点を当てています。環境とは単なるオフィスデザインではありません。人と人との距離感、偶発的な出会い、コミュニケーションの導線、企業文化を体現する場そのものです。
制度や施策を「何をするか」だけで捉えず、「それによって人がどう動くのか」「その行動を生み出す環境になっているのか」という制度と人の間にある「働く環境」に目を向けることで、これまで見えていなかった組織の姿が見えてくるかもしれません。
数多くの組織変革に関わってきましたが、「これが正解だ」と言い切れるほど組織づくりは簡単ではありません。だからこそ現場で起きていることを皆さんと一緒に考え伴走し続けています。本書が、自社の組織づくりをもう一度見つめ直すきっかけになれば幸いです。

竹下仁 著
フローラル出版
1,800円+税











