
ヒストリア
武藤 和宏 代表CEO
【PROFILE】人材・採用領域で20年以上。大手人材会社エグゼクティブ部門で2020年度通期MVPを受賞、ディレクターを歴任。事業会社で営業責任者と自社採用責任者を兼務。採用難度の高い役員・専門職・管理職の採用や、成長企業の採用体制づくりを支援。採用要件の設計から、選考設計、紹介会社との連携、候補者の意思決定支援まで一貫して担当。2026年、ヒストリア合同会社を設立。
「いい人がいない」。採用がうまくいかない理由として、この言葉を数え切れないほど聞いてきました。
人が採れないと、企業はまず媒体を増やす。紹介会社を足す。スカウトの通数を積む。それでも決まらなければ、市場が厳しいと結論づける。私が疑うのは、この順番です。
人材ビジネスと事業会社の人事で二十年以上、採用を見てきました。繰り返し目にしたのは、採用担当者が社内の誰よりも動いているのに、採用そのものが会社の意思決定から切り離されている光景です。
なぜこの人を採るのか。入社後に何を任せるのか。決まらないまま募集が始まる会社は多い。どこまで条件を動かせるのか、誰が最後に決めるのかも曖昧なまま選考だけが進み、採用担当者はひとりで候補者と紹介会社の前に立つ。
候補者は、企業が思う以上に見ています。選考が進んでも役割がはっきりしない。面接官によって話が違う。返事が遅い。ただ、違和感を覚えても企業に伝えてはくれません。選択肢の多い人ほど、曖昧さに付き合う理由がない。「他社に決めました」とだけ言って去ります。会社に本当の理由は残らず、同じ採用が繰り返される。
本書で示した「採用司令塔」は、新しい職種の名前ではありません。経営、現場、人事、紹介会社などに分散した情報と意思決定をつなぎ、「誰を、なぜ、どう採るのか」を会社として決められる状態をつくる機能です。
その分断が自社のどこで起きているかは、人事責任者にはよく見えているはずです。経営が考えていること、現場が欲しがっている人、そのときの採用市場。この三つは、意外と揃っていません。では、そこを誰がつなぐのか。本書で考えたのは、そこです。
「採れなかった」という結果だけを見るのではなく、その前に、会社の中で何が決まっていなかったのかを見る。採用を、人事の業務から会社の意思決定へ取り戻す。そのことを考えて書いた本です。

武藤和宏 著
1,000円+税












