QOLとは、クオリティ・オブ・ライフの略称で、英語のQuolity of Lifeの頭文字をとった言葉です。「人生の質」や「生活の質」といった意味があります。もともとは医療や福祉の分野において、治療中に生活を制限された患者が「いかに自分らしい生活を送るか」を問う意味で使われる言葉です。現在は医療・福祉分野に限らず、ビジネスシーンにおいても、従業員のやりがいや生きがいに直結する重要な観点となっています。
QOLが注目されるようになったのは、2016年に成立した「働き方改革関連法案」をきっかけに、従業員の働きやすさや労働時間が見直されるようになったことです。QOLの向上は企業にとってメリットが大きく、健康経営を実現するためにもQOLが重要視されるようになりました。
QOLの向上がもたらすメリットは、企業と従業員の双方に好循環が生まれることです。企業が働きやすい環境や働き方を従業員に提供すれば、従業員は働きやすくなり、心身の健康とワークライフバランスが実現しやすくなるでしょう。さらにQOL向上により、従業員が仕事にやりがいを持って取り組めれば、企業の生産性が上がります。企業の業績が上がれば給与や福利厚生で従業員に還元できるため、さらに好循環を生むのです。
QOLを高めるには企業の取り組みも重要ですが、従業員一人ひとりの心がけも大切になります。社内・社外問わず、やりがいや生きがいを見つけること、睡眠・運動・食事のバランスなど生活習慣を整えること、よく笑うこともQOL向上に効果的です。逆にQOLを低下させる原因は、職場や家庭でのストレス、収入面の不安、生活習慣の乱れなどがあげられます。「仕事と生活のバランスは取れているか」など、自分に問いかけてみましょう。
QOLは企業の成長にとって重要な課題であるため、従業員のQOLをチェックしなければなりません。アンケートや面談などの実施、QOLを評価できる「SF-36」や「WHO QOL26」などを利用して、QOLを数値化する方法もあります。従業員のQOL低下が見られるなら、労働環境や働き方の見直しが必要です。有給休暇の取得を促す、働き方を工夫するなど、対策を講じましょう。従業員のあり方は会社のあり方に直結するため、企業と従業員双方のQOLが上がるよう取り組むことが大切です。