コンサルタントの専門性を高め、人材紹介の価値向上を目指す【PCAC(Professional Career Adviser Contest)】

中途採用を強化する企業が増える一方で、入社後の早期離職に悩む人事担当者は少なくない。こうした採用のミスマッチを防ぐため、コンサルタント教育に力を入れ、顧客の課題解決に取り組む人材紹介会社が出てきている。

求職者に対するカウンセリングスキルを評価

DXをはじめとする変革を推進できる人材は奪い合いが続き、コロナ禍からの経済活動の再開で採用競争が一層激しくなっている。しかし、苦労して採用した人材が入社後まもなく退職してしまったという声も聞かれる。

自社が必要とする人材に合わせて多様な採用手法を適切に使い分けることがこれまで以上に重要になっている。採用が難しくなる中で、コンサルタントが求職者の希望、キャラクター、スキルや実務経験などが求人にふさわしいかをしっかりと見極めた上で推薦してくれる人材紹介会社を採用のパートナーにできれば心強い。

このような企業の期待に応えるため、人材紹介会社の中にはコンサルタント教育を強化し、企業と求職者のマッチング精度の向上に努める取り組みが出てきている。

そうした取り組みの一つが、メディカル業界専門のエリメントHRC、営業職専門のセールスキャリアエージェント、人材紹介大手のパーソルキャリアマイナビが運営会社となって行っている「PCAC(Professional Career Adviser Contest)」だ。

具体的には、求職者を担当するコンサルタント(キャリアアドバイザー)のカウンセリングスキルのうち、ヒアリングと求人案件の提案部分について研修を実施した後、カウンセリングのロールプレイングを行ってコンサルタントのスキルを評価するコンテストを実施している。

人材業界全体を底上げし、社会的信頼性の向上へ

4社は以前から同様の取り組みを行っていたが、人材紹介業界の発展に必要不可欠な「コンサルタントの専門性」をさらに高め 、転職支援サービスの提供価値・介在価値が向上した世界を実現していきたいという方針を改めて掲げ、賛同する人材紹介会社を増やしていきたいという。

賛同する人材紹介会社にコンサルタント教育のノウハウを提供しているエリメントHRCの狩野洋輔社長は「『自社さえ良ければ』では何も変わらずという問題意識から、PCACは今や人材業界全体の底上げをすることで業界の社会的信頼性の向上を目指すものとなっています」と、取り組みの意義を強調する。

参入障壁が低く、生き残り競争が激しい人材紹介業界では、各社が協力してコンサルティングレベルを高めていこうという動きは限られていた。また、スキルアップもコンサルタント任せの会社が見られ、有力なコンサルタントが退職してしまうとサービス品質を維持できなくなる会社も少なくない。

そのため、PCACのような取り組みによって、専門性の高いコンサルタントを安定的に育成できれば、そうした人材紹介会社を選ぶ求人企業や求職者が増えるだろう。また、人材紹介会社のコンサルタント採用においても教育が充実している点をアピールできる。

今春には製造業専門のメイテックネクストなどもメンバーに加わり、11月に次回のコンテストを予定している。今後はコンサルタント向けの勉強会などを行いながら、業界共通基準によるコンサルタントの専門性レベル認定制度の設立も検討していく計画だ。

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