2023年度の上場企業社員の平均年間給与は651万4000円となり、過去20年で最高額を更新したことが帝国データバンクの「上場企業の『平均年間給与』動向調査(2023 年度決算)」で明らかとなった。(文:日本人材ニュース編集部)
2023年度決算期(2023年4月~24年3月期)の全上場約3800社における平均年間給与(平均年収、提出された有価証券報告書に基づく)は651万4000円だった。22年度の637万3000円より14万1000円(2.2%増)多く、3年連続で前年から増加したほか、平均給与は過去20年で最高額を更新した。
2022~23年度の増減を比較すると、前年度から平均年間給与が「増加」した上場企業は68.7%を占めた。
増加率の分布を見ると、「5%未満」が最も多く、全上場企業の20.1%を占めたほか、「10%未満」(15.3%)、「10%以上」(8.8%)の増加率となった企業もあった。
この結果、厚生労働省の調査(「令和5年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」)に基づく2023年の平均賃上げ率(妥結額ベース)3.6%を上回る上場企業は3割を超えた。
【2023年度 平均年間給与額の前年度比 割合】
横ばい・減少 31.3%
1%未満 8.8%
2.5%未満 15.7%
5%未満 20.1%
10%未満 15.3%
10%以上 8.8%
2023年度の動向について帝国データバンクでは、「2022年度に続き、輸出企業を中心に円安の追い風を受けて好業績となった企業で賃上げの動きが活発だったことに加え、小売・サービスを中心に人手不足を背景とした処遇改善目的の賃上げ機運が高まったことなどから、上場企業における平均給与額は引き続き上昇傾向が目立つ1年となった」とした。
上場市場別にみると、最も平均年間給与が高いのは「東証プライム(市場)」上場企業で、平均735万7000円となった。単純比較はできないものの、「旧東証1部」上場を含め、2年連続で700万円を超えたのは2023年度が初めて。
次いで高いのは「東証グロース」の606万4000円となり、前身となる旧東証ジャスダック・マザーズ両市場と比較しても初めて600万円を超えた。
業種別にみると、最も平均年間給与が高い業界は「海運業」の1008万円で、全業界で唯一平均1000万円を超えた。全33業界のうち約8割にあたる27業界で、集計可能な2003年度以降で最高額を更新した。
【業種別 平均年間給与 上位5】
海運業 1008.0万円
証券、商品先物取引業 861.6万円
鉱業 826.5万円
保険業 809.3万円
医薬品 798.8万円
調査は、有価証券報告書に「平均年間給与・従業員平均年齢・勤続年数」の記載がある全上場企業を対象に実施した。持ち株会社などの業態、社員数などで対象を限定していない。