[学生タイプ別]就職活動状況と採用を成功させるポイント

効率的な採用活動を行うためには、自社が必要とする学生の特徴や採用市場について十分理解しておく必要がある。そこで、新卒採用支援サービスを提供している専門各社に、学生タイプ別の就職活動状況と企業が採用を成功させるためのポイントなどについて解説してもらった。(編集:日本人材ニュース編集部

[学生タイプ別]就職活動状況と採用を成功させるポイント

文系学生

ワンキャリア
厚地峻一 執行役員CMO

「就活開始のさらなる早期化」で、大学2年時から就活開始が前年比1.6倍

28年卒の文系学生を見るうえでまず押さえるべきは、「就活開始のさらなる早期化」です。当社調査によると、28年卒学生は大学2年の12月以降、ナビサイトへの登録やSNS検索といった、ゆるやかな情報収集から就活を始める動きが広がっています。実際、学部生は大学2年時、大学院進学者は大学4年時から就職活動を始める層が、前年比で1.6倍に増えているのが現状です。
企業選択では、「成長環境」と「安定」への関心が同時に高まりを見せています。「専門スキルを獲得し、キャリアを自律的に選べるか」という視点は根強く、コンサルティング企業の人気を支えています。一方で、生成AIの台頭により、ホワイトカラーの仕事の将来性に危機感を抱く人も少なくありません。そのため、論理的思考だけでなく、折衝力や事業を動かす力などの対人スキルが鍛えられる企業への関心も高まっています。
さらに、物価上昇や将来への不安を背景に生活防衛意識は強まり、金融を中心とした大企業が再評価される動きも見られます。近年の初任給の上昇もこの傾向を後押しする一因です。さらに、働き方についても、制度の有無ではなく、配属後に無理なく力を発揮し、生活と成長を両立できるかが重視される傾向にあります。
加えて、情報収集の方法もここ数年で大きく変化しました。生成AIの活用も相まって、企業の採用ホームページやナビサイトよりも、クチコミやSNSでの評判など第三者評価へのアクセスが増えています。

インターンや座談会で、業務内容・成長プロセス・配属情報などを早期から開示

採用成功のためには、インターンや座談会を単なる選考導線にせず、業務内容・若手の成長プロセス・配属情報などを早期から開示する場とすることが有効です。さらに、自社からの情報発信だけでなく、選考を通じて「シェアしたくなるような候補者体験」を設計することや、社員一人一人が自社の魅力を語れるようインナーブランディングの強化が求められます。
こうした施策を通じて、28年卒の文系採用では、学生の不安を先回りして解消し、「ここで働く意味」と「将来への納得感」を提示していく姿勢が重要です。

理系学生

ドリームキャリア
渡辺道也 理系ナビ編集長

就活の早期化、学生の行動量減少や視野の狭まりで母集団形成は難化

理系新卒採用では、多くの企業が「内定辞退の増加」と「ターゲット層の母集団形成の難化」という課題に直面しています。近年は就職活動の早期化により、インターンシップから本選考へ進み、早期に内定を獲得する学生が増えています。
一方で、他社との比較検討が不十分なまま意思決定の時期を迎え、「本当にこの企業でいいのか」と迷うケースは少なくありません。企業側も内定者フォローや引き留めの強化に取り組んでいますが、十分な成果につながっていないのが実情です。
また、母集団形成の難化には、学生の行動量の減少や視野の狭まりも影響しています。数年前まで理系学生の平均エントリー社数は10社以上で推移していましたが、27年卒では平均9.1社まで減少しています(理系ナビ調べ)。社会人が想像する以上に学生は企業や職種を知りません。知名度の高い大企業であっても就職先として認識されていないケースは珍しくなく、競合に先駆けて自社や採用職種の認知を高める取り組みが欠かせません。

「AIに代替されない仕事」に対するメッセージとキャリアパスの提示

こうした課題を解決するには、学生との「相互理解を深める採用」が重要です。一方的な情報発信ではなく、学生一人一人が知りたい情報に応じた社員面談を実施し、企業理解と仕事への納得感を高めることが求められます。特に、インターンシップの満足度や入社意欲は、社員と密に接する機会の多さに大きく左右されます。そのため、社員との接点を増やすことが内定辞退の抑制にもつながります。
また、理系学生は授業や研究で多忙なため、スケジュールに配慮した柔軟な選考や採用プログラムも欠かせません。学生の動きを正しく理解した適切な採用計画の立案が重要です。さらに近年は、「AIに代替されない仕事とは何か」を真剣に考える理系学生が増えています。
企業に求められるのは、この問いに対する明確なメッセージと将来を具体的にイメージできるキャリアパスの提示です。それが、今後の理系採用を成功に導く重要なポイントとなるでしょう。

体育会学生

スポーツフィールド
金尾育実 マーケティングDiv. チームリーダー
前田香穂 マーケティングDiv. メンバー
佐藤碧 マーケティングDiv. メンバー

インターンはオンラインより対面、座学より半日〜1日の体験型を好む

早期化が進む新卒採用において、28年卒体育会学生の就職活動は「タイパ重視」の傾向が進むと予想されます。26年卒から27年卒にかけて、インターン参加社数やエントリー数は減少する一方で、面接率や内々定率は上昇しています。この背景には、リーグ戦などの重要な試合と就活のピークが重なりやすく、時間的キャパシティに限りがあるため、企業を絞らざるを得ないという体育会学生特有の事情があります。
体育会学生の企業選択における重視ポイントの1位は「会社や業界の安定性63%」、2位は「福利厚生54%」です。継続力や組織への帰属意識が強いため、一社で長く働くための基盤を求めていると考えられます。
志望先は毎年メーカーや営業職に人気が集中する一方、一般的な学生に比べ転勤への柔軟性が高く、高収入を目指す層ほど全国転勤を許容する傾向があります。インターンはオンラインより対面、座学より半日〜1日で完結する体験型を好むのが特徴です。(当社実施の就職活動状況調査データより)

休日になりやすい月・木曜日に選考、競技の繁忙期に配慮したアプローチ

こうした学生の採用を成功させるためには、まず特殊なスケジュールの理解が不可欠です。全体の約8割が1日2時間以上の練習をしており、4~5月や8~10月の繁忙期は就活に割ける時間が極めて少なくなります。そのため、休日になりやすい月曜や木曜に選考を組む配慮や、ターゲットとする競技の繁忙期に合わせた効果的なアプローチ時期の特定が必要です。
具体的な施策としては、対面・短時間の体験型インターンを設計し、部活の予定に配慮した「個別調整枠」を設けることが母集団形成に有効です。
また、体育会学生は部活動に熱中してきた分、仕事を次の熱中できるものとしてイメージできないと志望度が高まりません。単に安定性を訴えるだけでなく、具体的な仕事内容やキャリアパスを示し、継続力や組織貢献力といった彼らの強みがどう活きるかを言語化する魅力づけが必要です。メーカー以外の業種でも、就活イベントを活用して直接会い、社風や熱量を伝えることで採用成功に至る事例は多く見られます。

地方学生

マイナビ
長谷川洋介 マイナビキャリアリサーチラボ研究員

地元就職希望率が4年ぶりに増加、転勤の多い企業への抵抗感も強まる

近年の就職活動において、学生が企業に求める2大ポイントは「安定性」と「給料の良さ」です。コロナ禍による混乱を経て、物価高や円安の進行、社会保障制度など経済や将来への不安が取り沙汰されるなか、社会への第一歩を踏み出そうとする学生が安定性と待遇面の安心を求めるのも無理はありません。
一方で学生の大手企業志向は2年連続で微減、中堅・中小企業志向は増加しており、「安定=大手」という図式が必ずしも成立しなくなりつつあります。減少傾向であった学生の地元就職希望率も、コロナ禍を機に回復したものの、大手・上場企業による初任給引き上げなどが活発化するなかで再び減少。今年(27年卒)は4年ぶりに増加に転じました。これが地方企業の待遇改善等による積極的な地元志向なのか、家賃相場が上昇している都心部での生活コストの増大による消極的な地元志向なのかは見極めが難しいですが、来年(28年卒)以降もこの傾向が続けば、都市部の大手・上場企業にとっては地方学生の獲得のためにこれまで以上の工夫が必要になるでしょう。
さらに「転勤の多い会社」への学生の抵抗感も年々強まっており、全国に拠点を有する大手・上場企業にとっては、学生の勤務地・配属地への希望・期待値をいかに反映・調整していくかが非常に重要になってきます。

勤務地の明確化は、応募意欲や長期定着の効果が期待できる

そうした中で「勤務地/地域限定採用」に取り組む企業や、実施して良かった採用手法として「勤務地確約(限定)採用」を上げる企業が増加しています。「どこで働くか」という問題は「どこで暮らすか」と密接しており、社員のライフキャリアを大きく左右します。どのような職種や勤務地に配属されるかわからない不安を表した「配属ガチャ」という言葉もありますが、こうした不安を軽減するためにあらかじめ勤務地を明確化することは、学生の応募意欲や長期定着の面で効果が期待できます。
もちろん企業にとって人員配置は学生の希望のみで決定できるものではありませんが、学生の転勤への考えの濃淡に合わせ、個別のコミュニケーションを通じて勤務地への意向を確認し、すり合わせていくことが重要です。

日本人留学生

キャリタス
山崎真司 グローバル事業企画部長

キャリアパスは自分で主導権をもち、スキルアップして早く出世したい

日本人留学生の就職活動も国内学生と同様に早期化しており、早い時期から積極的に企業情報を収集する傾向が強まっています。一方で、海外の大学は卒業のハードルが高いため、就職活動に使える時間に限りがある点は留学生の大きな悩みとなっています。
当社が今年実施した学生調査によると、留学生は国内学生に比べて、就職先を選ぶ際に、自身がスキルアップできる環境を求めていることが読み取れます。「キャリアパスは自分で主導権をもちたい」留学生は8割超で、「仕事が多少忙しくても早く出世したい」と考える学生は、留学生が67.3%に対して国内学生は43.5%に留まり、就職先企業を選ぶ条件、キャリアや働き方の考え方には大きな違いが見られます。
また、「仕事の裁量が大きい」「やりたいことができる」「若いうちに実力を付けたい」といった理由から、ベンチャー/スタートアップ企業への就職に関心を持つ割合も留学生は国内学生に比べて高くなっています。

日本人留学生の情報源や求めている内容を把握した上で情報を発信

以前は留学生の採用で競合する外資系企業やコンサルティングファームに給与面で及ばない日本企業が多かったですが、最近は特に理系・IT分野の学生に対して高額な初任給を提示する企業が出てきました。また、ジョブ型人事を導入して職種別採用を行ったり、入社後のキャリアステップを明示したりすることによって、採用力を高めている企業も増えています。
留学生との対面の機会を重視している企業は多く、当社が開催している就職イベント「キャリアフォーラム」への参加企業は年々増加しています。参加企業の採用担当者からは、留学生のバイタリティや熱意をダイレクトに感じることによって採用意欲が高まったという声も多く聞かれます。
採用のミスマッチを防ぐために相互理解を深めたいという考えから、「キャリアフォーラム」で接点を持つ前の早い段階からの情報発信に力を入れる企業も目立ちます。多忙な留学生に効率的に情報を届けるには、彼らが利用している情報源や求めている内容を把握した上で、的確に発信することが重要です。

外国人留学生

ベイングローバル
大澤藍 代表取締役社長

半導体・IT業界が人気で、日本社会に馴染み、長く働きたいという声が多い

外国人留学生の就職活動は、日本人と同様に早期から意欲的に動く積極層と、従来どおりの後半層の二極化が進んでおり、28年卒も積極層はすでにインターンシップ選考に向け動き出しています。
コロナ禍以降から外国人留学生も安定志向が顕著で、大手・上場企業であること、福利厚生や研修制度が充実し、都会で勤務でき転勤がないこと等の環境面を企業選びの条件に挙げる学生が増えています。業界としては将来性のわかりやすい半導体産業やIT業界が人気で、日本社会に馴染み、長く働きたいという声は多くあります。

「育てる」視点で採用できれば、日本語が苦手な技術職の採用で非常に有効

外国人留学生採用の成功には、採用時期の分割と、採用要件の見直しが必要です。採用時期については、積極層を狙うにはインターンシップからの早期選考が必須ですが、就活後半期(春休み以降)から動き始める層の中からも、単に日本の就活市場を知らずに活動が遅れた優秀人材を採用できる可能性は十分にあるため、早期採用枠と後期採用枠を分けて採用計画を立てることは有効です。
採用要件については、これまで多くの企業が一貫して最重要としてきた「日本語力」を見直すべき時期です。近年、外国人留学生数は急増しており、政府が掲げた「2033年までに留学生40万人」という計画も大幅に前倒しで達成した現在、日本語レベルも多種多様です。採用時に一律で日本語力を求めると、一部の外国人留学生だけを多くの企業で奪い合う事態が起きかねません。そこで、採用時点では日本語力はN2~N3レベルでも専門性や人柄の部分で優秀な留学生を採用し、内定後から日本語研修を実施するなど「育てる」視点で採用できれば、他社と競合しない優秀人材、特に日本語を苦手とする留学生の多い技術職採用においては非常に有効な手段となります。
さまざまな制約のあったコロナ禍を越え、グローバル化が急激に進む今こそ、従来通りの外国人留学生のイメージや採用手法を改めて見直し、SNSを活用した情報戦略も含め外国人留学生採用の成功に向けて再度舵を切るタイミングであると言えます。

高専生

メディア総研
田中陸登 戦略推進室副室長

培った専門知識が活かせる業務内容と職場環境を重視して就職先を選定

昨今の人材・技術者不足を背景に、高専生(高等専門学校生)への求人需要はかつてない高まりを見せています。現状、全国に1学年約1万人いる高専生のうち、約6割が就職、約4割が専攻科や大学等へ進学しています。企業側のアプローチが激化する一方で、進学率は年々上昇傾向にあります。また、この進路選択の時期については、約4割の学生が1~3年生の「低学年」のうちに進路方針を固めているという実態もあります(当社調べ)。
こうした状況下で、高専生は企業のどこを見て就職先を選定しているのでしょうか。彼らが企業研究において重視するのは、会社の規模や知名度ではなく、「高専で培った専門知識がどのように活かせるか」という、具体的な業務内容と職場環境です。選択肢となる企業数が多すぎるがゆえに、表面的な知名度だけでは差別化が難しく、自らの専門性を発揮できる企業に目を向けていると考えられます。
また、最終的な入社ルートとしては、「インターンシップ」「教員・先輩からの紹介」が上位を占めています(当社調べ)。進路を問わずインターンへの参加率は非常に高く、長期(1週間以上)を1社、短期(1日から数日)を複数社経験するスタイルが一般的です。

自社の魅力を理解してもらうための継続的な学生接点創出・地道な学校訪問

したがって、企業側はまず、自社の業務内容や職場環境を高専生にとって魅力的な形に言語化・具体化することが不可欠です。その上で、インターンシップへ呼び込むために、低学年のうちから学生への認知を広げること、あるいは推薦の鍵を握る教員、特にクラス担任の教員に対して自社の魅力を深く理解してもらうことが重要になります。これには、継続的な学生接点の創出や、地道な学校訪問(学校回り)が欠かせません。
さらに、学生のニーズは流動的であり、年ごと、あるいは学校ごとに異なります。「今年の採用手法が成功したから次年度も安心」とはいかず、常に学生と教員の変化に合わせた柔軟な舵取りが求められます。AI技術の発展を背景に、新卒一括採用を見直す企業も増えてきています。このトレンドは、学生の就職観にも大きな影響を与えています。今後の高専生採用は、外部の専門パートナーを活用することで学生のトレンドを把握し、流動的な学生トレンドに柔軟に対応できる社内体制に整えることが成功の鍵となります。

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