就職先を安易に決めてしまった学生が4割超、自己PRやエントリーシートは生成AIで作成

「就職先決定を振り返ると、安易に決めてしまったと感じる」が4割超ーー。こんな結果がリクルートの研究機関・就職みらい研究所が2025年卒の学生を対象に実施した調査で分かった。

日本人材ニュース

2025年卒の学生に、「就職先決定を振り返ると、安易に決めてしまったと感じるか」を聞いたところ、「当てはまる」(10.8%)、「どちらかというと当てはまる」(32.8%)、「どちらともいえない」(24.0%)、「どちらかというと当てはまらない」(20.0%)、「当てはまらない」(12.3%)となった。

就職先を安易に決めてしまった学生が4割を超えており、「就職先を確定するにあたり、自分が重視する基準が分からなかった」学生が65.8%に上っている。

入社予定企業等での勤続期間の意向を聞いたところ、「3年未満」の割合は、就職先を安易に決めなかった学生が4.9%だったのに対し、就職先を安易に決めてしまった学生は14.2%と差がついている。

初任給を引き上げたり配属を確約したり新卒採用競争は激しさを増しているが、転職が当たり前となる時代に突入しており、大手人材会社パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda」に入社月に登録する新社会人は、調査を開始した2011年の約30倍に達している。

就職活動に生成AIを使用した学生の割合は34.5%で、2024年卒に比べて20.0ポイントの大幅増となった。「自己PRの作成」(55.1%)、「エントリーシートなどの作成」(46.5%)、「エントリーシートなどの添削」46.0%など、提出書類の作成に活用した学生が多い。

「生成AIから得た回答をそのままエントリーシート等に使用した」学生は39.7%で、「生成AIを使用して、エントリーシート等の内容を本来の自分以上に良く見せても良いと思う」学生は59.2%だった。

生成AIを使用した就職活動プロセス(複数回答)

2025年卒2024年卒
情報収集29.8%28.5%
応募する企業探し16.0%11.3%
自己分析43.2%30.2%
企業研究21.3%20.7%
志望動機の作成43.4%36.5%
自己PRの作成55.1%48.2%
エントリーシートなどの作成46.5%41.7%
エントリーシートなどの添削46.0%44.6%
面接対策16.4%14.0%
その他0.9%0.3%

一方、企業側も採用でのAI活用が広がっている。阪急阪神百貨店、三菱UFJ信託銀行、ユニ・チャーム、東急などが利用するデジタル面接「HireVue」は面接の録画から行動特性をAIが評価する「AIアセスメント」を備えている。

「AIアセスメントを活用すれば、『自分に似た人材を高く評価する』などの人間のバイアスを抑制できます。もちろんAIだけで判断すればよいということではありませんので、導入企業はAIアセスメント上位者を自動的に合格とし、残りの応募者を録画面接で確認するといった使い方をされています」(「HireVue」を提供するタレンタの中村究専務取締役)

インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムに参加した学生は73.6%で、参加社数の平均は5.64社。参加期間としては「1日」が57.9%で最も高く、「半日または1日」に参加した学生は参加者全体のうち71.9%を占めている。

キャリア形成支援プログラム参加企業へ入社する予定の学生は41.2%で、参加企業ではないが同業種の企業への入社予定も含めると75.8%もある。

2025年卒から採用直結型のインターンシップが解禁されたが、小売業の人事担当者は「夏のインターンが実質的な採用選考になった。大手企業はインターンシップのエントリーが始まる前から学生に接触し、インターンシップに誘い込んでいる」と話しており、学生といち早く接点を持って魅力を伝えることが欠かせなくなっているようだ。

学生の就職活動開始時期は「卒業年次前年9月までの累計」が61.6%(2024年卒差4.7ポイント増)、最初に内定を取得した時期は「卒業年次前年2月までの累計」が38.5%(2024年卒差7.1ポイント増)とさらに前倒しになっている。

実際に入社する予定の企業等からの内定取得時期は「卒業年次前年2月までの累計」が21.1%(2024年卒差5.9ポイント増)、「卒業年次5月までの累計」も56.3%(2024年卒差3.6ポイント増)とこちらも前倒しになっており、実質就職活動期間の平均8.45カ月は、2024年卒の7.87カ月と比べ半月程度長期化した。

多くの企業が採用活動を前倒ししているが、就活生の動向に詳しいYouth Planet代表の堀田誠人氏は、「早く動き出すと従来以上に優秀な学生と接点を持ちやすくなりますが、それに見合うレベルにあると自信を持てる企業でなければ、採りにいったとしても採り切れないと予想されます。今年は優秀な学生が来てくれたと考え、本来採れていた学生を母集団から外すことになると問題はより深刻になってしまいます」と指摘している。

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