採用側73.7%、人材側63.8%が「ジョブ型雇用」に賛成、正しい評価が課題

日本でのジョブ型雇用の普及に「賛成」の割合は、採用側で73.7%、人材側では63.8%と、採用側も人材側もジョブ型雇用普及に賛成する人が多数派となっていることが、世界11カ国で人材紹介事業を展開するジェイ エイ シー リクルートメント(東京・千代田、田崎ひろみ会長兼社長)が実施した「ジョブ型雇用の今」で明らかとなった。(文:日本人材ニュース編集部

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日本におけるジョブ型雇用の普及について賛成か反対か意見を聞いたところ、中途採用権者(採用側、以下同)の73.7%、会社員(人材側、以下同)でも63.8%が「賛成」と回答した。

採用側600人に自社でのジョブ型雇用の導入予定を聞くと、19.8%が「既に導入」、33.7%が「導入を検討」と答え、合わせて53.5%がジョブ型雇用を導入・検討していた。

中でも、従業員数1000人以上の大企業では、29.5%が「既に導入」、45.0%が「導入を検討」としており、74.5%が導入・検討を行っている 。

【自社のジョブ型雇用導入状況】
既に導入  19.8%
導入を検討 33.7%
導入を検討する予定はない 35.7%
分からない 10.8%

【従業員数別 自社のジョブ型雇用の導入・検討を行っている割合】
~99人   24.5%
~999人   62.0%
1000人以上 74.5%

ジョブ型雇用についての見解を聞くと、採用側は「ジョブ型雇用の推進がグローバル社会では必要」(69.8%)と推進を肯定する姿勢を示す一方、「日本においてはジョブ型雇用へシフトという号令だけで実態が伴っていない」(69.5%)と感じていた。

人材側も 「日本においてはジョブ型雇用へシフトという号令だけで実態が伴っていない」(67.0%)と感じ、「ジョブ型雇用を適用する場合、人材育成方針を見直す必要がある」(66.9%)と考えていた。

【ジョブ型雇用に対する見解 上位5】(複数回答)
●中途採用権者(採用側)
ジョブ型雇用の推進がグローバル社会では必要 69.8%
日本においてはジョブ型雇用へシフトという号令だけで実態が伴っていない 69.5%
ジョブ型雇用は年齢や在籍年数等にとらわれず、実力で評価してもらえる雇用形態 67.3%
ジョブ型雇用を適用する場合、人材育成方針を見直す必要がある 66.0%
ジョブ型雇用は企業の業績アップに寄与する 63.5%

●会社員(人材側)
日本においてはジョブ型雇用へシフトという号令だけで実態が伴っていない 67.0%
ジョブ型雇用を適用する場合、人材育成方針を見直す必要がある 66.9%
ジョブ型雇用は雇用の流動性に寄与する 65.7%
自分の能力やスキルでは雇用してもらえるか不安がある 65.5%
ジョブ型雇用は能力のない社員には不利である 64.5%

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自社にジョブ型雇用を既に導入、または導入を検討している採用側にその理由を聞くと、「より成果に即した評価をしたいから」(49.5%)、「従業員のスキルや専門力を高めたいから」(48.6%)、「戦略的に人材を採用したいから」(44.9%)などが上位に挙げられた。

日本におけるジョブ型雇用の普及に「賛成」と答えた理由は「即戦力人材を採用しやすくなるから」(50.7%)、「より柔軟・戦略的な人材採用ができる」(43.2%)などを挙げた。

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日本におけるジョブ型雇用の普及に「反対」と答えた理由は「採用や評価の制度を構築するのが難しいから」(30.4%)、「日本に多い中小企業にとって不利だから」(24.1%)、「従業員のスキルや成果を正しく評価できるか疑わしいから」、「ジョブがなくなった場合でも異動・減給・降格・解雇がしにくいから」(同率22.8%)などを挙げた。

続いて人材側にジョブ型雇用の普及に「賛成」する理由を聞くと、「専門力アップやスキルアップを図るモチベーションになる」(39.3%)、「働く人が専門力やスキルを磨き、競争力を高めることのできる制度だから」(37.9%)などが上位に挙げられた。

人材側の「反対」の理由は、「正しく成果を評価してもらえるとは限らない」(29.6%)、「年齢が上がるとそれ以上のスキルアップが大変そう」(24.3%)、「実質上の給与削減策として利用されそう」(22.7%)が挙げられた。

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調査は、2024年5月30~31日、インターネットで実施した。調査対象は、会社員(人材側)は、正社員として働く20~60代男女1000人、中途採用権者(採用側)は、勤務先で中途採用を担当する男女600人 。

※本調査は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合がある

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