ビジネスマナー研修とは?目的や受講内容、ポイントなどを徹底解説

ビジネスマナー研修のイメージ

社会人としての振る舞いや教養を学ぶのが、ビジネスマナー研修です。ビジネスマナー研修は新入社員を対象に実施するのが一般的ですが、接客や営業を行う業種の従業員向けに導入する企業もあります。本記事では、ビジネスマナー研修の目的や受講内容、実施するときに知っておきたいポイントなどについて解説します。

目次

そもそもビジネスマナーとは?

ビジネスマナーとは、仕事を円滑に進めるために必要な礼儀作法を指します。名刺の渡し方、電話の出方、言葉遣いといった言動だけでなく、TPOに合わせた服装や髪型といった身だしなみもビジネスマナーに含まれます。

ビジネスの成功には、ビジネスマナーが非常に重要です。例えば営業職の場合、どんなに素晴らしい商品やサービスを提案しても、言葉遣いや服装が乱れていると成約が難しいでしょう。また、ホテルやレストランなど、サービスそのものを売りとしている業種においては、従業員一人ひとりのビジネスマナーに沿った正しい立ち振る舞いがブランド価値につながります。

ビジネスマナー研修を実施する5つの目的

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社会人に必要な気遣いを身につけるため
社会人としての自覚を持つため
企業のイメージアップのため
取引先と良好な関係を構築するため
顧客・取引先の満足度を高めるため

次に、ビジネスマナー研修を実施する5つの目的について解説します。研修は主に新入社員を対象に行い、社会人としての意識を高め、お客様の前に出ても恥ずかしくないよう基本的なマナーを身につけてもらいます。

社会人に必要な気遣いを身につけるため

ビジネスマナーの大前提は、相手に対して思いやりを持ち、気遣いを心がけることです。社会人であれば、どのようにすれば相手と良い関係をつくれるかを常に意識する必要があります。その際、ビジネスマナーを身につけておくことで相手に不快な思いをさせず、円滑な関係を築きやすくなります。

ビジネスマナーはルールや規則とは異なり、常に変化するため、随時知識を更新していく必要もあるでしょう。

社会人としての自覚を持つため

社会人としての自覚を持つためにも、ビジネス上では基礎ともいえるビジネスマナーを学ぶことが重要です。例えば、どんなに素晴らしいプレゼン能力があったとしても、マナーがなっていない状態ではお客様からの信用は勝ち取れません。

また、マナーを知らないと、何気ない行動や言葉遣いが相手に不快感を与えてしまう可能性があります。お客様の前に立つ際には、自分自身を俯瞰し、どのように相手の目に映っているのかを常に考えて行動することが大切です。

企業のイメージアップのため

会社のイメージやブランドをつくるのは、従業員一人ひとりです。外部の人間からすれば、中堅社員か新入社員かは関係なく会社の顔として認識されます。たった一人の従業員の行動やマナーが悪ければ、企業全体のイメージダウンにつながります。

また、対面だけではなく、メールや電話対応でも同じことがいえます。お客様に接するのであれば、状況や場所に合わせた適切なビジネスマナーを意識することが重要です。

取引先と良好な関係を構築するため

取引先との良好な関係を築くためにもビジネスマナーは重要です。関係構築の基本は信頼です。製品やサービスを提供する以前に、良好な信頼関係を築く必要があります。

初対面で関係性が浅いうちは、ビジネスマナーが重要な判断要素のひとつです。話し方や言葉遣いはもちろん、服装などにも気を配り、不快な印象を与えないように心がけましょう。

顧客・取引先の満足度を高めるため

ビジネスマナーは顧客の満足度にも影響を与えます。顧客満足度は経営を支える重要な指標のひとつで、2つの要素で構成されます。一方は物的要素(商品の種類、質など)、もう一方は人的要素(対応が良い、従業員の知識が豊富など)です。同じ商品を買うなら、対応の良いお店で購入したいと考えるのは人間の自然な心理です。

最近では、インターネットで簡単に商品が手に入る時代であるため、人的要素がより一層重要視される傾向にあります。

ビジネスマナー研修を行う4つの方法

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講師派遣型
公開講座型
オンライン研修
eラーニング

次に、実際にビジネスマナー研修を行う際の方法について4つご紹介します。講師から直接学ぶ従来のスタイルに加え、最近では、インターネットを使用した研修を実施する企業も増えてきています。

講師派遣型

講師が依頼された企業に出向き研修を行うのが、講師派遣型です。企業が自社の従業員のために計画をするため、開催場所、日時、講座の内容を希望に沿って作成できるというメリットがあります。また、名刺交換などの実践練習や講師からのフィードバックもその場で受けることができるため、知識の定着率が高いのも特徴です。

デメリットとしては、会場の確保や機材などの設営は自社で行う必要がある点です。

公開講座型

マナー研修を主催する企業が会場を準備し、受講希望をする人が来場するスタイルが公開講座型です。自分の会社の従業員だけではなく、さまざまな企業の人が参加するため多種多様な人とのコミュニケーションが可能です。

公開型講座は自社で会場などの準備をする必要がないというメリットがある反面、日時や場所は指定できず、受講後のフォローアップが難しい点に注意が必要です。

オンライン研修

パソコン、タブレット、スマホなどを通して、受講をするのがオンライン研修です。場所に縛られることなく、遠方に住んでいる人でも気軽に受講が可能です。また研修によっては、講義の録画や録音が可能で何回も繰り返し学べます。

デメリットとしては、一方通行の講義になりやすい点や、名刺交換など実践的な練習が難しい点が挙げられます。

eラーニング

eラーニングはオンライン研修と同じく、パソコンやタブレット、スマホなどを使ったインターネット研修です。オンライン研修と異なるところは、インターネット環境があれば自分の好きな時間に学習できる点です。

ただ、あらかじめ用意された動画やテキストを受講者が確認する形式を取るため、その場で講師に質問できない点や、自発的に学べる人でないとモチベーションの維持が難しいところが難点といえます。

ビジネスマナー研修の主な研修内容8選

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表情や姿勢の改善
好印象を与える挨拶方法
TPOに合う身だしなみ
社会人としての態度
話し方やコミュニケーション方法
名刺交換の方法
電話応対の方法
文書やビジネスメールの書き方

次に、ビジネスマナー研修では、具体的にどのようなことを実施すべきか解説します。表情や身だしなみ、電話応対、メールの書き方など内容は多岐にわたります。

表情や姿勢の改善

表情や視線は無意識ながらも、印象を左右する重要なポイントです。特に笑顔の作り方は、相手に好印象を与え、心を開きやすくするために大切です。

姿勢に関しては、猫背や脚を組むなど普段の癖が無意識に表れやすいため、意識して改善していく必要があります。立つ・座るなどの基本姿勢から、ドアの開け閉め、物の受け渡し方など細かい所作まで研修で学ぶ必要があります。

好印象を与える挨拶方法

相手の第一印象を左右する、挨拶の方法もビジネスマナーにおいては重要です。声の大きさとトーンを意識し、会釈のみの挨拶にならないように心がける必要があります。また、シーンに合わせて、会釈、敬礼、最敬礼の使い分けができれば、ビジネスパーソンとして他者との差別化にもつながります。

TPOに合う身だしなみ

TPOに合う身だしなみはとても重要です。人の行動が相手にどのような影響を与えるか検証し導き出された「メラビアンの法則」では、相手の印象を決める要素は55%が視覚からの情報としています。特に社会人になりたての新入社員は、服装はTPOに合わせるべきことを学ぶ必要があります。

服装・髪型・爪・靴・アクセサリーや、男性であればひげなども含めて状況に合わせつつ、常に清潔感のある身だしなみを心がけることの重要性を伝えましょう。

社会人としての態度

挨拶や身だしなみが整っていても、態度が良くなければ好印象を相手に与えることはできません。態度や振る舞いは、一朝一夕で身につくものではなく、ある程度の訓練が必要です。そのため、日頃からの意識付けをした行動が大切です。

研修を通して、どのような態度がビジネスシーンには適切かを理解してもらうことが重要です。反抗的な態度や返事によるデメリットも合わせて伝えるとよいでしょう。

話し方やコミュニケーション方法

言葉遣いや話し方が適切でないと、その人の人柄や人格までも良く思われない恐れがあります。当たり前のことですが、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」はしっかりと理解し、適切な相手に適切なシーンで使えるよう学ぶ必要があります。相手に聞き取りやすい話し方を実際に声に出して練習することも効果的です。

また、専門用語を使う際には、相手の理解度に合わせて話すことも円滑なコミュニケーションを取るうえで必要です。

名刺交換の方法

名刺はビジネスの場では自分の顔ともいえる重要な役割を担います。受け渡しの方法やタイミングには特有の作法があるため、しっかりと理解しておくべきことです。また、受け取った相手の名刺にも敬意を示し、適切に管理するマナーがあります。

顧客や取引先を訪問する際は、名刺が切れていないか、汚れていないかなど事前の準備も大切です。

電話応対の方法

電話応対は、苦手意識を持つ人も多数いますが、基本を押さえておけば難しくはありません。研修を実施し早期に苦手意識をなくすことで、企業としてのイメージアップや業務の効率化にもつながります。

電話は相手の顔が見えないコミュニケーションツールです。言葉の抑揚やスピードによって印象を大きく左右するので、基本を学び丁寧な対応を心がけることが重要だと学んでもらいましょう。

文書やビジネスメールの書き方

メールはビジネスだけでなく日常生活でも欠かせないコミュニケーションツールです。その反面、ビジネスメールとなると文章作成が不慣れな人も多数いるのが実情です。

研修では、ビジネスメールにおいて最低限取り入れなくてはいけない要素など、文章の作成方法を学びます。基礎をしっかりと身につけておけば、メールだけでなく提案書などの文書作成でも力を発揮できます。メールでのコミュニケーションは相手の顔が見えないため、より一層不快感を与えないように正しい言葉遣いに注意を払う必要があります。

ビジネスマナー研修でよくある失敗3選

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次に、ビジネスマナー研修でよくある失敗パターンをご紹介します。この3項目を意識して内容を組み、参加者にとって効果的な研修にしましょう。

ビジネスマナーの本質が伝わっていない

ビジネスマナーはルールや規則ではないため、型ばかりを覚えても常に変化するビジネスシーンでは通用しないことがあります。研修では、なぜそのマナーが良いとされているのか、なぜ必要なのか、などマナーの本質をしっかりと講師から伝え、受講者が理解することが重要です。

本質への理解が受講者のやる気にもつながり、マナーが身につきやすくなるでしょう。

状況に合わせた判断ができず応用がきかない

ビジネスマナーは型を実践することが目的ではありません。最終的に、顧客や上司が気持ちよくあなたの態度や言動を受け入れていることが重要です。講座受講後、受講者は全てを習得した気持ちになりがちですが、状況ごとに活用方法は変わるため、場面に合わせて柔軟に対応する必要があります。

そのため、研修で型を教えるだけでなく、ケースワークを行ったり、実際の業務中に他の人にチェックしてもらうルールを設けたりするとよいでしょう。

反復練習が足りない

ビジネスマナーは、1度行っただけではなかなか身につかないので、ロールプレイングなども反復することが大切です。「またやらされている」のではなく、自分の意志で習得しようとする心構えも重要だと、受講者に理解してもらうことが大切です。そのため、講座終了後にも定期的に復習する機会を設けるなど、学習の機会を用意しましょう。

また、学習の際はできたこと・できなかったことの振り返りをさせることで効果的な改善につながります。

ビジネスマナー研修を実施するときの7つのポイント

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・ビジネスマナー研修の目的や意図を明確にする
・自社の業界・職種に合わせて講師選びを行う
・ビジネスマナーの型にこだわらず柔軟な対応を行う
・研修の期間中にくり返し反復練習を進める
・研修終了後の相談や実践を行うスペースを確保する
・振り返りやフィードバックを行う時間をつくる
・人材育成のコンサルティングを受ける

最後に、ビジネスマナー研修を実施するときに意識しておくべき7つのポイントをご紹介します。研修内容を決めた後のチェックリストとしてもご活用ください。

ビジネスマナー研修の目的や意図を明確にする

ビジネスマナー研修は、その会社の課題や目的により内容も方針も異なります。実施の際には、講師・受講者ともに研修の目的や意図の明確化を図り、共有することが重要です。また研修対象(新入社員、ベテラン社員、外国人など)も明確にし、受講生にあったカリキュラムを構築することが成功の鍵を握ります。

自社の業界・職種に合わせて講師選びを行う

講師と参加者の相性は、研修を成功させるうえで重要です。ビジネスマナー研修の内容は業界や職種によって異なります。たとえば、外資系企業の社員に必要なビジネスマナーと介護職に必要なビジネスマナーの違いを想像すると分かりやすいでしょう。講師を選ぶ際は自社と同様の業界・職種で研修した経験が豊富にあるかを一つに基準しましょう。また、参加者に親身になって寄り添える人柄であることも重要なポイントです。

ビジネスマナーの型にこだわらず柔軟な対応を行う

ビジネスマナーには正解がないため、TPOに合わせた使い分けが求められます。マニュアルを読んで終わりではなく、なぜ必要なのか、何が適切なのかをその場その場で判断しなければなりません。可能であれば、複数のパターンのロールプレイングを行い実際に受講者に考えてもらうことも有意義な研修カリキュラムのひとつです。

研修の期間中にくり返し反復練習を進める

電話応対や名刺交換など実際の動作を含むマナーは、ロールプレイングの反復練習をすることで受講者の自信につながります。できるようになったら褒めて、できなかったところは適切に指摘することでモチベーションアップと改善が期待できます。

ビジネスマナーは無意識の部分も多く、自分自身ではできているつもりでも、他者から見るとできていないこともあります。受講者同士が、常に客観的な視点でお互いを評価しながら研修を進めると効果的です。

研修終了後の相談や実践を行うスペースを確保する

ビジネスマナーは型を覚えても、実践ができなければ意味がありません。しかし、動作や言葉遣いなど大勢の前では相談をしにくいといった悩みを抱える受講者も多数います。

受講者が相談しやすい雰囲気をつくるためには、研修後の相談スペースや時間の確保が有効です。相談を受けた内容が他の人にも役立ちそうなものであれば、相談者の名前は伏せて、次回の研修に取り込むのもよいでしょう。

振り返りやフィードバックを行う時間をつくる

研修の終盤には、受講者自身の振り返りや講師・人事担当からのフィードバックの時間を確保しましょう。振り返りによって学習したことがより定着しやすく、フィードバックを受けることで受講生のモチベーション維持につながります。

人材育成のコンサルティングを受ける

ビジネスマナー研修を行う際、自社にノウハウの蓄積がなく、一から計画立案しなければならない場合は人材育成コンサルティングに依頼するのがおすすめです。実績を持つコンサルタントとともに計画を進めていけば、無駄な時間や予算を使うことなく効果的な研修を実施でき、ノウハウを社内に蓄積することも可能です。

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ビジネスマナー研修は、主に新入社員を対象に実施します。会社のイメージ向上や顧客・取引先との良好な関係維持のためにも、新入社員自身が恥をかかないためにも、現場で生かせるマナーを習得してもらうことが重要です。研修を実施する際は適切な内容を組み、受講者が受講しやすい方法で研修を行いましょう。

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