【2026年度 初任給】就職人気企業20社のうち16社が30万円以上、AIに代替される仕事の採用は減少

今年も初任給の引上げを表明する企業が相次ぎ、30万円以上の企業が増えている。就職人気企業ランキングの文系トップ20社のうち16社が30万円以上となっている。40万円以上を提示する企業もあり人材獲得競争は激化しているが、AIに代替される仕事では採用を減らす動きも出てきている。(文:日本人材ニュース編集部)

初任給

2027年卒の採用で初任給を引き上げる企業が半数超

「マイナビ2026年卒 企業新卒採用予定調査」によると、初任給の引き上げを行う予定の企業は合計で54.1%で、前年(2025年卒)の47.2%からさらに増加した。

引き上げの理由としてもっとも多かったのは前年同様「求職者へのアピールのため」(56.4%)となった。次いで多かった「他企業が引き上げをしているため」や「定着率を高める・離職を防ぐため」などは前年から増加しており、他企業との待遇面における差別化や、それによる人材流出の防止という観点から引き上げを行う企業が多い。

学生の母集団形成に苦労していないであろう就職人気企業も初任給を引き上げており、産経新聞社と人事コンサルティングのワークス・ジャパンが発表した「27卒学生が選ぶ就職人気企業ランキング」の文系トップ20位のうち16社、理系トップ20位のうち15社が30万円以上の初任給を提示している。

文系1位の伊藤忠商事は36万円、2位の三菱商事は35万円、3位の損害保険ジャパンは34万6610円。理系1位のNTTデータグループは31万2000円、2位のソニーグループは36万3000円、3位のトヨタ自動車は30万円となっている。(文系は学士卒、理系は修士卒相当)

“配属ガチャ”を防止、福利厚生を拡充して奨学金返済も肩代わり

採用力を高めるために、初任給を引き上げるだけではなく、新人・若手社員の待遇改善を図る企業も増えている。

入社後にどんな仕事を担当させられるのか、やりたい職種に就くことができるのか不安を抱えている学生も少なくない。“配属ガチャ”を気にする学生への対応として配属先を明示する企業も出てきた。

福利厚生の一つとして社員寮の導入・拡充に動く企業も増えている。約1000社に「社員寮ドーミー」を提供する共立メンテナンスには、地方の大学生や高校生の採用を強化や、若手の離職防止などを狙いとする企業からの相談が増えているという。

日本学生支援機構の「奨学金返還支援(代理返還)制度」を登録する企業は、令和6年度時点で3000社以上となっている。JR東日本やノジマ、松屋フーズホールディングスなどの大手企業をはじめ、返済負担に苦しむ若手社員の支援を強化する企業も目立つ。

高額な初任給を用意する企業の狙い

日本経済新聞社の2025年度初任給調査によると、50万円以上が3社(GMOペパボ、GMOインターネットグループ、地主)、40万円以上が4社(シンプレクス・ホールディングス、北の達人コーポレーション、日本M&Aセンターホールディングス、アイ・アールジャパン)となっている。

高額な初任給を用意するのは、即戦力として活躍できる人材や高度な専門性を持つ人材を採用するためだ。

例えば、GMOインターネットグループは2023年度入社の新卒採用から、グループ企業110社において「No.1&STEAM人財採用~新卒年収710万プログラム」を行っている。従来の新卒社員の倍以上のパフォーマンスを発揮できることを条件に年収710万円(2年間)を約束する。

霞ヶ関キャピタルは「2027年4月入社者を対象とする新卒採用において、入社初年度から年収1400万円を提示するポジション」を新設すると発表。「年齢や社歴ではなく、若手であっても“生み出した価値”に報いる」という成果主義を新卒採用にも拡張するという。

NECやDeNAなどは、AI分野の専門人材に対しては新卒でも1000万円程度の年収を提示している。

高額な初任給については、数年前にサイバーエージェントやTOKYO BASEなどが40万円以上に引き上げると報道された際、初任給は基本給ではなく、その中には固定残業代や手当が含まれていることが分かり、ネット上で大騒ぎになった。募集要項には残業代や手当込みの月給であることが書かれており、応募する学生は記載内容をしっかりと確認したい。

富士通やニトリは新卒一括採用を廃止

新卒採用の早期選考が常態化し、小売業の人事担当者は「就活の早期化が一層進んでいる。採用直結になったことで夏のインターンが実質的な採用選考になった。大手企業はインターンシップのエントリーが始まる前から学生に接触し、インターンシップに誘い込んでいる」と語る。

また、転職が当たり前の時代に突入し、転職サービス「doda」に入社月の2025年4月に登録した新社会人は過去最高値を更新。昨年比では113%となっている。調査開始時期の2011年比では、全体が約7倍なのに対し、新社会人の登録者数は約31倍に伸長している。

こうした就職や転職に関する変化を受けて、富士通やニトリは通年採用に移行するなど、新卒採用のあり方は変化しつつある。

AIで代替される仕事は新卒採用が減少

さらに、さまざまな仕事の場面でAIの活用が本格化しつつあり、DXを推進する企業では採用戦略の見直しが始まっている。

例えば、みずほフィナンシャルグループは、今後10年で約1万5000人が携わる事務業務を最大5000人分減らす方針だが、かつて新卒を大量採用していたメガバンクは採用数を絞り込んでいる。

クボタ、ENEOSホールディングス、九州電力、JR東海なども新卒採用数を減らすと報じられており、AIによって代替される仕事では採用数が減少していく。

「2027卒学生が選ぶ就職人気企業ランキング」上位企業の初任給

産経新聞社と人事コンサルティングのワークス・ジャパンが発表した2027年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象とした「27卒学生が選ぶ就職人気企業ランキング」上位企業の初任給をまとめた。

「2027卒学生が選ぶ就職人気企業ランキング」上位企業(文系)の初任給一覧

順位企業名初任給
1伊藤忠商事36万円(大卒)
2三菱商事35万円(学士卒、2026年度実績)
3損害保険ジャパン34万6610円(大卒・短大卒)
4三井物産34万円(2026年4月予定)
5味の素29万1000円(学士卒、2026年4月時点)
6サントリーホールディングス30万1000円(大学卒、26年)
7三井不動産33万円(大卒、2026年4月入社予定)
8三菱UFJ銀行30万円(大学卒)
9東京海上日動火災保険29万3780円(大学卒、本拠地から転居転勤を伴わない場合)
39万3780円~42万7780円(大学卒、本拠地から転居転勤を伴う場合)
10日本航空(JAL)27万3000円(大学卒)
11住友商事33万5000円(学卒、2026年1月現在)
12丸紅33万円(大卒)
13全日本空輸(ANA)27万3490円(大卒、2026年度予定)
14任天堂30万6300円(大学卒)
15三井住友銀行30万円
16三井住友海上火災保険33万円(転居可)
30万円(転居不可)
17トヨタ自動車27万5000円(学部卒業相当、2025年度実績)
18三菱地所33万円(学部卒、2027年4月入社)
19博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ年俸制360万円(2025年度実績)
20サイバーエージェント42万円
(出所)各社募集要項

「2027卒学生が選ぶ就職人気企業ランキング」上位企業(理系)の初任給一覧

順位企業名初任給
1NTTデータグループ31万2000円(修士了、2026年4月予定額)
2ソニーグループ36万3000円(修士了、2026年度予定)
3トヨタ自動車30万円(修士修了相当、2025年度実績)
4NTTドコモ35万4000円(修士了)
5富士通31万5000円(入社後早期から自律的な業務遂行が求められる職務)
29万4000円(習熟度を上げるための育成が一定期間必要で上司の指示に基づき職務)
6伊藤忠商事40万円(院卒)
7デンソー–
8日立製作所31万2000円(修士課程卒、2026年4月実績)
9NTT西日本35万1500円(博士了)
10三菱商事38万5000円(修士卒、2026年度実績)
11味の素30万3000円(修士卒、2026年4月時点)
12旭化成28万590円(修士、2025年4月実績)
13野村総合研究所36万4500円(修士了、予定)
14村田製作所31万6000円(修士了、2026年4月時点)
15サントリーホールディングス31万7800円(修士了、2026年)
16NTT東日本35万2200円(修士了)
17本田技研工業29万5700円(修士了、2025年度実績)
18富士フィルム32万3900円(修士了)
19資生堂26万1310円(修士了)
20パナソニックグループ29万5000円(修士了、2025年実績)
(出所)各社募集要項

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