DXやデジタルビジネスを推進するには、DX人材が必要不可欠です。本記事では、DX人材の定義や求められる職種と役割、マインドセット、スキルなどの基本的な知識から、DX人材を獲得する方法まで解説します。これからの時代、企業の成長に欠かせないDX人材を採用したい人事担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
目次
DX人材とは?
DX人材とはどのような人材を指すのか、明確につかめない方も多いのではないでしょうか。本章ではDXの定義と共にDX人材の意味について解説します。
そもそもDXとは?
DXは、デジタルトランスフォーメーションの略で、「デジタル化によって社会や人々の生活をより良く変革すること」を指します。日本では2018年9月に経済産業省から発表された「DXレポート」をきっかけに広まり、そこでは以下のようにDXを定義付けています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。 |
(出典:経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0」)
DX人材の定義
DX人材には、統一された定義はありません。独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が示すDXに必要な人材とは、以下の3つの観点に通じリーダーシップを発揮できるということを挙げています。
デジタル技術に精通していること 事業や組織を深く理解していること 経営層と対話する能力 |
単にデジタル技術に精通しているだけでなく、現場を理解し、その会社に合ったDXを推進できることが重要なポイントです。
(参考:独立行政法人 情報処理推進機構「DX人材とは?先進企業の6つの事例から学ぶ「ヤタガラス」スキルと人材確保・育成」)
DX人材が不足する日本企業の課題
国際経営開発研究所(IMD)が発表した「世界のデジタル競争力ランキング2022」における日本の順位は63カ国中29位と過去最低の順位となりました。特に「人材/デジタル・技術スキル」は62位と低く、日本のDX人材およびデジタル技術・スキルの不足が深刻です。
不足の背景としては、国内の労働力人口自体が減少していることや、デジタル戦略の立案・推進を外部の専門企業に委託することが多く、ノウハウを持つ人材が限られることなどが挙げられるでしょう。変化が激しいグローバル市場の中で企業が生き抜くために、DX に関する弱点は解決しなければならない喫緊の課題といえます。
(参照:IMD 「World Digital Competitiveness Rankings」)
DX人材が求められる7つの職種と役割
プロダクトマネジャー UXデザイナー ビジネスデザイナー テックリード データサイエンティスト 先端技術エンジニア エンジニア/プログラマ |
DX人材の職種と役割は多岐にわたります。ここでは、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の「DX推進に向けた企業とIT人材の実態調査」で挙げている7つの職種の分類について解説します。
プロダクトマネジャー
プロダクトマネジャーは、DXやデジタルビジネスの実現を牽引するリーダー的な役割を担います。DXに関わるさまざまな職種をまとめる必要があることから、マネジメントスキルおよびUI/UXデザインやビジネス、技術に関する幅広い知識とスキルが求められます。
ビジネスデザイナー
ビジネスデザイナーは、DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進などを担います。IT技術を用いたビジネスの事業を構築します。ビジネスデザイナーには、分析力や発想力、コミュニケーション能力が求められます。
テックリード
テックリードは、具体的にどのデジタル技術を導入し、DXを実現させるのかを決めるなど、システムを設計・実装まで行うチームのリーダーを指します。課題の分析から要件定義に始まり、設計・開発のサポートまで行うため、デジタル技術に精通していることはもちろんのこと、経営判断に関わるため経営的視点も求められます。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、社内外のデータ分析・解析をする役割を担います。統計解析などの技術的なスキルや知識はもちろん、収集したデータの中から何が課題か、どのようにデータをビジネスに活かしていくか、といったビジネスへの理解も必要です。
先端技術エンジニア
先端技術エンジニアは、AI、機械学習、ディープラーニング、ブロックチェーンなど、最先端のデジタル技術を用いて開発を行う役割です。最新技術は、流行り廃りが早いため、常に最新の情報をキャッチアップし、自らのスキルを高めていくことが求められます。
UI/UXデザイナー
UI/UXデザイナーは、DXやデジタルビジネスで実際に使われるシステムやサービスのユーザー向けインターフェース(操作画面など)や、ユーザーの体験をデザインする役割です。ユーザー体験および顧客満足度が上がることで、利用率や継続率の向上にもつながります。デザインスキルおよびマーケティングの知識、また、さまざまな人から意見を聞いてデザインする必要があるためコミュニケーション能力も必要です。
エンジニア/プログラマ
エンジニア/プログラマは、システムの実装やインフラの構築を実際に行う役割です。実装や構築に必要なスキルや知識はもちろんのこと、スケジュールなどプロジェクトの管理、実装や構築にあたり、関係者との調整など幅広い対応が求められます。
DX人材に求められるマインドセット
DX人材は、DX推進に取り組む意識や姿勢が非常に重要です。ここでは、DX人材に求められるマインドについて解説します。
課題を自ら発見する姿勢
初期の段階では、何を達成すれば成功といえるのか、といった基準も分からず手探りで進めていくことも多いでしょう。そのため、これまでの知識や経験にこだわらず「何が最良か」を追求していく姿勢が求められます。自らが発見した課題の原因を分析し、仮説を立て検証するプロセスも大切です。
周囲をまとめる姿勢
DXやデジタルビジネスの実現は、大規模かつ部署を横断するプロジェクトとなることも少なくありません。多くの関係者がいる中、プロジェクトを牽引し、関係各所との協力要請や調整などを行い、プロジェクトを前に進めていく姿勢や強い意志が求められます。
好奇心・探求心を持ち続ける姿勢
好奇心・探求心を持って、最新技術の情報や動向をキャッチアップし続ける姿勢が求められます。キャッチアップした情報を、今後に向けてどのように活かしていくかに結びつけられれば、新しいビジネスを生み出せる可能性もあるでしょう。
DX人材に求められるスキル
DXを推進するにあたり、身につけておくべきビジネススキルがあります。ここでは、DX人材に求められるスキルについて解説します。
プロジェクトマネジメントスキル
DXやデジタルビジネスの実現は、大規模かつ部署横断でのプロジェクトとなることも少なくありません。関係者を巻き込み、プロジェクトを牽引していくためには、マネジメントスキルが欠かせません。マネジメントには問題分析、戦略策定、スケジュール管理、コミュニケーション能力など幅広いスキルが求められます。
データ分析スキル
DXにはデータを元にした意思決定を行うことは不可欠です。そのため、データ活用戦略の策定、収集や加工、そして分析するためのスキルが必要といえます。機械学習やビッグデータ、AIなどの活用が活発化されており、データ分析の重要性は年々増しています。
ITに関する基礎知識
DXを推進していく際は、IT・デジタル関連の基礎知識が不可欠です。直接開発を行わないような、プロダクトマネジャーやビジネスデザイナー、UI/UXデザイナーでも技術関係者と共通認識を持つためや、企画や戦略を立てる段階の思考材料として使用します。また、今後のIT技術のトレンドを追い、知識のアップデートを行うことも重要です。
UI/UXへの知識
システムは、使いやすいものである必要があります。多くのユーザーが操作しやすいUIをデザインすることや、「使い勝手がいい」「情報が探しやすい」といったUXを追求することが求められます。これらはシステムの利用率や継続率の向上にもつながるため、DX人材に必要な知識といえます。
DXについて学べる資格
DXについて学べる資格にはどのようなものがあるのでしょうか。ここではDX人材が学ぶことを推奨されている資格について紹介します。
デジタルトランスフォーメーション検定
デジタルトランスフォーメーション検定は、一般財団法人全日本情報学習振興協会が実施している検定です。検定では、DXを推進する部署の方やDX推進を事業とする事業者をターゲットに、AI(人工知能)・IoTなどDXの基礎知識が問われます。
DX検定
DX検定は、日本イノベーション融合学会が実施しています。検定では、主にDXに関わる用語を理解しているかを問われます。また、専門的な技術やスキルを要するシステムの問題はあまり出題されず、抽象的な「ビジネストレンド」「先端IT技術トレンド」が多く問われる傾向です。
+DX認定資格
+DX認定資格は、IoT検定制度委員会が実施している検定です。ビジネスパーソンがもともと持っている能力や技術力に対して、プラスαとなるDXについての基礎スキルを測定する検定です。
DX人材を獲得する方法
DX人材を獲得する方法は2つあります。新たに採用する方法と、自社で育成する方法についてそれぞれ詳しく解説するので、人事担当者の方はぜひご覧ください。
DX人材の採用
昨今、IT・通信業界出身者はあらゆる企業が求める人材であり、採用の難易度は増しています。また、一口にDX人材といっても、マネジメントやプログラミング、デザインなど職種に関しては多岐に渡るため、自社のニーズと候補者のスキルのすり合わせが採用の重要なポイントです。
また、採用の過程においては、スピード感のある手続きや業務に見合う適正な報酬を設定することも優秀な人材を獲得するには必要です。
DX人材の育成
DX人材を育成するには、研修などで一般的な基礎知識を学ぶだけでなく、自社の業務に合わせたスキルセットやマインドセットを構築することが重要です。また、システム部門などIT技術に関係する部門の社員だけではなく、営業や企画といった幅広い分野から人選をすることでさまざまな知見を集めることが可能です。
時には、外部の有識者などを招き、他社のベストプラクティス(最も優れているとされる手法)を自社に取り入れるなど、外部からの情報収集も人材を育てる効率的な手段の一つです。
DX人材不足をサポートする企業事例
次に、DX人材の不足をサポートするサービスを提供する企業を紹介します。自社での育成や採用でDX人材が確保できない場合は、外部のサービスを利用するのがおすすめです。
ケンブリッジ・リサーチ研究所
ケンブリッジ・リサーチ研究所は、創業60年と長い歴史を持った転職エージェントです。長い歴史の中で蓄積された情報を元に、その企業に最も必要とされ、企業風土に合う人材とのマッチングを行っています。近年、アクシスコンサルティングのグループに入ったことで、よりDX領域の人材紹介が強化されました。
ウィンスリー
ウィンスリーは、デジタル分野に特化したハイクラス向けの転職エージェントです。紹介した人材の入社後の定着率は99.2%を誇り、業界屈指の高いマッチング率が評価されています。また、「業務委託でも人材を確保したい」という企業の声に応えて始動した、業務委託支援サービス「DigitalFlex(デジフレ)」も好評です。
ジェイ エイ シー リクルートメント
ジェイ エイ シー リクルートメントは、ロンドン発祥の日系転職エージェントで、日系企業と外資系企業への人材紹介に特化しています。コンサルタントが企業の求める人材像を深く理解して候補者を選定するため、優秀な人材を紹介できる点が魅力です。また、採用代行サービス「プロフェッショナルソリューション事業」では、採用計画の立案から入社までを担当することで高い成果を出しています。
競争率の高いDX人材の確保には、外部サービスの利用がおすすめ
DX人材は単にIT技術だけではなく、マネジメントや探究心、業務を円滑に進める能力など、さまざまな要素が求められます。これからの企業活動において、DX人材は欠かすことのできない存在です。DX人材を目指す方は資格の取得などで自身の能力を証明するのをおすすめします。
また、企業においてDX人材の社内での確保や育成が難しい場合は、外部のサービスを利用し、社外から人材を確保するのもDX推進を効率的に進めるには有効です。DX人材の紹介に強い会社は、下記リンクからご確認ください。
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