パーソルキャリアがまとめた「doda転職求人倍率レポート」によると、4月の転職求人数は前月比10.5%減、前年同月比9.5%減、転職希望者数は前月比11.9%減、前年同月比6.4%減だった。

転職求人倍率は前月比0.04ポイント増、前年同月比0.08ポイント減の2.58倍だった。
3月の状況についてパーソルキャリアは、「新型肺炎の影響で求人数の減少は予想していたが、実際には転職希望者数の減少が求人数のそれよりも大きく、求人倍率は上昇する結果となった。転職市場では、転職希望者の7割以上の人が今の仕事を続けながら次の仕事を探すため、全国に緊急事態宣言が発出されたことを受けて、転職活動の中止や転職活動の開始を延期した人が増加した」と分析している。
また、企業側については「全体では採用活動の中止や自粛により求人数が減少したものの、テレワーク(リモートワーク)の環境が整っている企業の中には、Web面接の実施や在宅勤務ができる就業環境が整っていることを求人に盛り込み、積極的な採用活動を展開するところも現れ、採用の方針が大きく分かれたことが特徴」と指摘する。
業種別にみると、求人数の前月比は8業種(その他を含まない)すべてで減少した。前月比で減少幅が最も小さかったのは、「IT・通信」(前月比6.2%減)、「サービス」(同8.6%減)。
「IT・通信」では、外出自粛で需要が高まる「ゲーム(オンライン・ソーシャル)」やIT環境の整備を支える「ITアウトソーシング」で求人数が増加した。
「サービス」では、宅配便・トラック運送などを含む「道路貨物運送業」や人材サービスの「技術系アウトソーシング」、新電力や電力小売りで成長企業が増えている「電力」などで引き続き採用活動が活発に行われている。
前年同月比では「小売・外食」のみ24.0%増と、唯一増加した。「通信販売・ネット販売」や「ドラッグストア」、「食品・GMS・ディスカウントストア」などで求人数が前年を上回っていることが増加の要因となった。
【業種別 求人数増加率(前月比)】
IT・通信 6.2%減
サービス 8.6%減
メディカル 9.7%減
小売・外食 12.0%減
メーカー 13.9%減
商社・流通 16.1%減
メディア 19.2%減
金融 22.3%減
その他 15.0%減
職種別では、求人数の前月比は11職種すべてで減少した。前月比で減少幅が最も小さかったのは、「技術系(IT・通信)」(同5.4%減)、「技術系(建築・土木)」(前月比6.8%減)。
「技術系(IT・通信)」では、「スマホアプリ・ネイティブアプリ系エンジニア」や「セキュリティエンジニア」で3月よりも求人数が増えた。それら以外でも求人の減少幅は1割未満にとどまり、「技術系(IT・通信)」は市況が変わっても引き続き採用が活発な職種となっている。
「技術系(建築・土木)」では、「土木設計・測量」「建築設計・積算」では求人数は横ばいとなった。
【職種別 求人数増加率(前月比)】
技術系(IT・通信) 5.4%減
技術系(建築・土木)6.8%減
専門職 8.0%減
技術系(電気・機械)8.3%減
技術系(メディカル)8.8%減
クリエイティブ系 11.0%減
企画・管理系 13.2%減
技術系(化学・食品)14.3%減
販売・サービス系 15.6%減
営業系 16.1%減
事務・アシスタント系21.9%減
5月以降の転職市場についてパーソルキャリアでは、「5月末まで緊急事態宣言が延長されたことで、転職活動、採用活動ともにこれまでどおりには実施しにくい状況となっている。しかし、企業側はWeb面接に切り替えて採用活動を続けているところもあり、採用を一時休止している企業の中にも6月以降を見据えて再開の準備をするところが出てきている」との見通しを示した。