パーソルキャリアがまとめた「doda転職求人倍率レポート」によると、3月の転職求人数は前月比1.0%増、前年同月比2.5%増、転職希望者数は前月比0.4%増、前年同月比6.1%増だった。

転職求人倍率は前月比0.02ポイント増、前年同月比0.08ポイント減の2.54倍だった。
3月の状況についてパーソルキャリアは、「新型肺炎の感染拡大を受け、採用活動を見合わせた企業もあったが、Web面接などで2020年度の採用を着実に進めていた企業もあり、求人数は微増した」と指摘。
転職希望者数については「例年、新年度に向け転職活動をする人が多いため、転職希望者数は1月または2月にピークを迎え、3月以降は減少傾向となるが、今年は3月まで増加が続いた。背景としては、新型肺炎の影響により、企業が選考基準やスケジュールを変更したことや、採用活動を一時停止したことを受けて、転職希望者の活動期間が長くなったことが考えられる」と分析している。
業種別にみると、求人数の前月比は8業種(その他を含まない)のうち「メディカル」、「メーカー」、「小売・外食」、「サービス」の4業種で増加した。特に伸びたのは、「メーカー」(同2.9%増)、「小売・外食」(前月比2.5%増)。
「メーカー」では、2月に求人終了した求人が多く、追加募集が少なかったため求人数が1月比で3.8%減少していた。3月に入り新年度の計画が決まった企業で募集が始まり求人が増えたことで、前月比での増加率が高くなった。
「小売・外食」では、中食需要やECのニーズの高まりにより、ファストフードや通信販売で求人数が増えた。
【業種別 求人数増加率(前月比)】
メーカー 2.9%増
小売・外食 2.5%増
メディカル 1.9%増
サービス 1.0%増
IT・通信 増減なし
金融 0.2%減
商社・流通 0.8%減
メディア 3.6%減
その他 2.0%増
職種別では、求人数の前月比は11職種のうち「営業系」、「企画・管理系」、「技術系(IT・通信)」、「技術系(電気・機械)」、「技術系(メディカル)」、「技術系(建築・土木)」、「専門職」、「販売・サービス系」の8職種で増加した。特に伸びたのは、「技術系(メディカル)」(同3.5%増)、「技術系(電気・機械)」(前月比2.3%増)。
「技術系(メディカル)」では、CRA(臨床開発モニター)やCRC(治験コーディネーター)で求人数が特に増えている。
「技術系(電気・機械)」では、ソフトウェア開発やCAE解析で求人数が増加した。
【職種別 求人数増加率(前月比)】
技術系(メディカル)3.5%増
技術系(電気・機械)2.3%増
企画・管理系 1.6%増
技術系(建築・土木)1.6%増
技術系(IT・通信) 1.4%増
専門職 1.4%増
販売・サービス系 1.1%増
営業系 0.9%増
クリエイティブ系 2.2%減
事務・アシスタント系6.5%減
技術系(化学・食品)7.7%減
4月以降の転職市場についてパーソルキャリアでは、「日本の経済や雇用にも新型肺炎による影響が出ることが明確になり、今年度の求人数は減少傾向となる」との見通しを示した。
また、採用活動については「緊急事態宣言が発出されたため、採用活動も自粛せざるを得ない状況で、選考にかかる期間が通常よりも長くなる」と指摘している。