2020年度全国企業倒産件数は前年比17.0%減の7163件となったことが、東京商工リサーチの調査で明らかとなった。1971年度以降で4番目に低い水準となっている。

2020年度の全国企業倒産(負債額1000万円以上)は件数が7163件、負債総額が1兆2084億1100万円だった。上場企業の倒産は、2018年度以来2年ぶりに発生している。
倒産件数は2019年9月から2020年4月まで人手不足や消費増税、暖冬などで増勢が続いた。だが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急避難的な資金繰り支援策が奏功し、2020年7月以降、9カ月連続で倒産は大幅に抑制された状態が続いている。
年度としては1971年度以降の50年間で、1990年度(7157件)に次ぐ、4番目に低い水準となった。
負債総額は3年連続で前年度を下回り、50年間で1989年度(1兆1865億8000万円)に次ぐ、5番目に低い水準となった。
負債が減少したのは、倒産件数の減少に加え、負債500億円以上の倒産が1件(前年度ゼロ)など負債10億円以上が192件(同185件)と大型倒産は増加したが、負債1億円未満が5478件(同6490件)と全体の76.4%を占めたため。
負債1億円未満の構成比は過去30年間で最高を記録し、小・零細規模を中心に推移している。
「新型コロナウイルス」関連倒産は1148件だった。1月から3カ月連続で100件を超えている。
倒産件数を産業別にみると、10産業のうち「金融・保険業」と「不動産業」を除く8産業で減少した。
最多は、「サービス業他」の2434件(前年度比8.7%減)。新型コロナウイルの感染拡大によるインバウンド需要の消失などの影響を受けた宿泊業が127件(同71.6%増)と急増する一方、飲食業が784件(同6.7%減)と減少し、5年ぶりに前年度を下回った。
また、「小売業」が965件(同21.9%減)で、2年ぶりに前年度を下回った。織物・衣服・身の回り品小売業(224→186件)や飲食料品小売業(330→208件)などで減少した。
一方、「不動産業」が2年連続、「金融・保険業」が5年ぶりに、それぞれ増加した。
【産業別倒産件数】
農・林・漁・鉱業 94件(前年度比5.0%減)
建設業 1117件(同24.9%減)
製造業 824件(同22.1%減)
卸売業 947件(同22.1%減)
小売業 965件(同21.9%減)
金融・保険業 32件(同18.5%増)
不動産業 263件(同4.3%増)
運輸業 227件(同9.2%減)
情報通信業 260件(同22.6%減)
サービス業他 2434件(同8.7%減)
倒産件数を地区別にみると、2015年度以来5年ぶりに、全9地区で前年度を下回った。
北海道は1991年度以降の30年間で、初めて100件台の低水準となった。また、東北も初めて200件台になった。北陸は1991年度以降の30年間で、件数が最少になった。