グローバル人材とは、優れた語学力とコミュニケーション能力、リーダーシップを有し、積極的に活躍する人材のことです。なぜ今、グローバル人材が求められているのか、また、グローバル人材の段階やグローバル人材をどのように確保できるのかについて説明します。
目次
グローバル人材とは?
グローバル人材とは、高い語学力やコミュニケーション能力を持ち、異文化間での相乗効果の創出や問題解決を行えるなど、国際社会の中で活躍できる人材のことを指します。
外国語が堪能であるだけでなく、文化的な違いや価値観を尊重し、共通の目標に向かって効果的に協力できる人材が求められています。これらの特徴を持つグローバル人材は、現代の国際ビジネス環境において、新たな価値を創造し、組織の成長に貢献する重要な役割を担っています。
国による「グローバル人材」の定義
日本人としてのアイデンティティや日本の文化に対する深い理解を前提として、豊かな語学力・コミュニケーション能力、主体性・ 積極性、異文化理解の精神等を身に付けてさまざまな分野で活躍できる人材
総務省「グローバル人材育成の推進に関する政策評価 <評価結果に基づく勧告>」
世界的な競争と共生が進む現代社会において、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、広い視野に立って培われる教養と専門性、異なる言語、文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力と 協調性、新しい価値を創造する能力、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識などを持った人間。
(文部科学省「産学官によるグローバル人材育成のための戦略」)
文部科学省の「第2期教育振興基本計画」において、「グローバル人材の育成」が目標の一つとして掲げられました。なお、教育振興基本計画とは、今後10年間に目指すべき教育の姿を明らかにし、今後5年間に取り組むべき施策をまとめたものです。持続可能な社会の実現へ向けて主体的に行動する人材を育成するためにも、グローバル人材の育成が急務とされています。
グローバル人材が企業にとって今必要な理由
グローバル人材は、日本全体だけでなく、企業にとっても必要な人材です。企業がグローバル人材を必要とする主な理由を説明します。
少子高齢化・人口減少
少子高齢化や人口減少により、労働力人口が減少しています。なお、労働力人口とは15歳以上の就業者と完全失業者を合わせた人口のことです。労働力人口が減っても、社会で必要とされる業務が減っているわけではありません。一人一人がより効率的に経済を回すことが求められています。グローバル人材は新たな価値を創造する能力があり、現代に必要な戦力となります。
国内市場の縮小
労働力人口の減少により、国内市場は縮小しつつあります。国内の経済力を表すGDPは世界第3位ですが、現在の縮小率が続けば、2040年代にはマイナス成長になると見込まれています。今後も労働力人口は減ると予想されているため、市場の大きい海外へ進出する企業が増えています。海外に進出するためにも、語学力や主体性に優れたグローバル人材が必要です。
国際競争の激化
現在、東アジアの国々は急激な経済成長を遂げています。とくに中国の成長が著しく、日本企業も圧迫されつつあるのが現状です。経済成長を遂げる諸外国に対抗するためには、さまざまなニーズにマッチするアイデアを想像する人材が不可欠です。主体性と積極性を持ち、なおかつクリエイティブな発想を持つグローバル人材が、国際競争を生き残るために必要といえるでしょう。
グローバル人材に必要な3つの要素
要素①:語学力・コミュニケーション能力 要素②:主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感 要素③:異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティ |
グローバル人材には、前提として、日本人としてのアイデンティティや日本文化に対する深い理解があることが求められます。その上で、異文化を尊重し、自ら相手と積極的に関わる姿勢が備わっていることが必要です。
「グローバル」というと、語学力やコミュニケーション能力が重視されるように思うかもしれません。しかし、それ以上に、日本文化への理解や相手文化の尊重が重要な要素となります。また、幅広い教養と深い専門性、課題を発見し解決する能力、チームワークとリーダーシップ、公共性・倫理観、メディア・リテラシーなどもグローバル人材には備わっていることが求められます。
グローバル人材の段階
グローバル人材には5つのレベルがあります。企業はレベル4,5のグローバル人材を獲得することを理想としていますが、レベル1~3もグローバル人材としての素養はあると判断し、育成対象とすることが一般的です。
レベル1:海外旅行会話レベル
海外旅行に行った際に外国語で会話できるレベルをレベル1とします。買い物をする、道を尋ねるなどの片言でもコミュニケーションできる程度の能力を有しているなら、レベル1です。初歩的ではありますが、グローバル人材としての素養を持っていると判断できます。
レベル2:日常生活会話レベル
レベル2は、外国語で日常会話ができるレベルです。レベル1は知りたいことを知る程度の語学スキルですが、レベル2では雑談ができる程度が求められます。レベル1と比べると、幾分高い語学力やコミュニケーション能力がより必要となってきます。この段階もグローバル人材としての素養を持っていると判断できます。
レベル3:業務上の文書・会話レベル
レベル3は、ビジネスレベルで外国語を使えるレベルを指します。ビジネスを成立させるには、高い語彙力や理解力に加え、細かな条件などを聞き落としていないことも必要です。語学力だけでみれば、かなり上級のレベルが求められます。この段階も、グローバル人材としての素養を持っていると判断できます。
レベル4:二者間折衝・交渉レベル
レベル4とは、折衝や交渉を行うレベルのことです。折衝とは利害関係が一致していない相手と妥協点を探すこと、交渉とは互いの利益の最大化を目指すことです。基本となる語学力が優れているのはもちろんのこと、ディベートしたり、駆け引きしたりする能力も求められます。
レベル5:多数者間折衝・交渉レベル
レベル5とは、多勢を相手に駆け引きしたり、折り合いをつけたりする能力を指します。高い語学力を持っているのは前提で、そのうえでビジネスの場面でコミュニケーション能力やリーダーシップ、アレンジメント能力を発揮します。グローバル人材としては最上位のレベルです。
グローバル人材を獲得する方法
国内と海外の垣根を越えたビジネスが一般的になる現在において、グローバル人材は不可欠な人材です。グローバル人材を獲得する主な方法を2つ紹介します。
自社で一から育てる
自社でグローバル人材を育てる方法もあります。まず会社にとってのグローバル人材の定義を定め、育成計画を立てます。PDCAを回しつつ、会社が本当に必要としている人材に育成していきます。
自社で一から育成することで、グローバル人材を獲得するコストを抑えることが可能です。また自社に合う人材として育てられる点もメリットです。しかし、育つまでに時間がかかる点に注意しましょう。
また、グローバル人材の育成に強みを持つ会社のサービスを利用することで、自社の人的リソースを割かずにグローバル人材を育てることも可能です。
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すでにグローバル人材として活躍している人を採用する
すでにグローバル人材として育っている人材を採用する方法もあります。即戦力となってくれるため、育成の時間がかからない点がメリットです。
企業成長に不可欠なグローバル人材を確保しよう
企業の生き残り、そして成長のためには、グローバル人材は不可欠です。しかし、グローバル人材自体、人数が少なく、探し出すのは至難の業です。
自社で一から育てる方法もありますが、時間がかかり、時代の波に取り残される可能性があります。蓄積したノウハウを駆使して、優秀で即戦力になるグローバル人材を見つけ出してきてくれる人材紹介会社への依頼を検討してみましょう。