パーソルキャリアがまとめた「doda転職求人倍率レポート」によると、2月の転職求人数は前月比2.3%減、前年同月比1.5%増、転職希望者数は前月比0.6%増、前年同月比4.0%増だった。

転職求人倍率は前月比0.08ポイント減、前年同月比0.06ポイント減の2.52倍だった。
パーソルキャリアによると、「例年2月は、4月以降に採用を予定しているポジションの募集が始まる傾向にある。しかし、今年は1月以降横ばいとなったため、求人数が減少した」と指摘する。
また、「新型肺炎や経済状況が自社にどれくらい影響するのか読みにくかったため、4月以降の採用計画の決定を今年度中に行わない企業が多かったのではないかと考えられる」と分析している。
業種別にみると、求人数の前月比は8業種(その他を含まない)のうち「金融」(前月比9.8%増)、「小売・外食」(同15.7%増)の2業種で増加した。
「小売・外食」では、飲食店やドラッグストアを中心に求人数が増えたほか、インターネット通販企業でも物流関連のポジションを中心に求人数が増加した。前年同月比でも37.6%増と最も求人数が増加している業種だった。
「金融」では、生命保険の営業職で採用が活発となっている。また、一部銀行や格付け会社でも中途採用に力を入れる動きがあったことも求人数増加の要因となった。前年同月比では16.7%増だった。
【業種別 求人数増加率(前月比)】
小売・外食 15.7%増
金融 9.8%増
メディア 2.8%減
IT・通信 3.5%減
メーカー 3.8%減
メディカル 3.9%減
サービス 4.0%減
商社・流通 5.5%減
その他 4.1%減
職種別では、求人数の前月比は11職種のうち「販売・サービス系」、「技術系(化学・食品)」、「事務・アシスタント系」の3職種で増加した。特に伸びたのは、「販売・サービス系」(同13.8%増)、「技術系(化学・食品)」(前月比6.7%増)。
「販売・サービス系」では、店舗のスタッフ職やコールセンターの求人が増えた。前年同月比でも34.4%増と最も求人数が増加している。
「技術系(化学・食品)」では、技術者派遣に強い人材サービス会社が研究職のポジションで積極的な採用を行っている。また、製造・生産オペレーターの求人数も増加した。
【職種別 求人数増加率(前月比)】
販売・サービス系 13.8%増
技術系(化学・食品)6.7%増
事務・アシスタント系0.3%増
専門職 1.1%減
営業系 1.8%減
企画・管理系 3.6%減
クリエイティブ系 4.2%減
技術系(IT・通信) 4.4%減
技術系(建築・土木)5.1%減
技術系(メディカル)5.4%減
技術系(電気・機械)6.1%減
3月以降の転職市場についてパーソルキャリアでは、「新型肺炎の影響で対面での面接を控える企業や、Webに切り替える企業が増えている。特に3月中は、必要最低限の採用活動にせざるを得ない状況の企業が多く、4月ごろまでは転職市場に影響がある」と指摘している。
「しかし、企業の業績と中途採用の求人の増減が、かつてほど連動しなくなっていることや、2020年度も中途採用に力を入れる方針を打ち出している企業は多いので、新年度に入ってこの状況が落ち着けば、中途採用市場は回復する」との見通しを示した。
また、「リモートワークや関連するサービスを提供する企業の事業拡大や、BCP(事業継続計画)の観点から今後災害のリスクに備える企業が増えると考えられる。その中で、オフィスや工場、物流拠点の分散を図る動きも起こると考えられ、新たな求人が増えることも想定される」。