主要人材コンサルティング会社アンケート「2020年 人材需要と採用の課題」景気の先行き懸念で雇用改善は転換期に

2020年の人材需要と採用の課題を、企業の人材採用を支援する主要コンサルティング会社の事業責任者を対象にアンケート調査で聞いた。

目次

企業の人材採用数の予測は「増加・やや増加」が新卒、中途ともに5割を下回る

●2020年 日本の雇用情勢・人材採用の増減(回答集計)

アンケート

 本誌が実施した主要人材各社の事業責任者に対する調査では、今年の日本の雇用情勢は「良くなる・やや良くなる」という回答が24%、「横ばい」が64%、「やや悪くなる・悪くなる」が12%となった。過去5年間の調査では「良くなる・やや良くなる」がいずれの年も5割以上だったことから、雇用改善が転換期に差し掛かっていると見ている事業責任者が多いことが分かった。

 企業の人材採用数の予測に関しても、昨年まで高い割合を示していた「増加・やや増加」が新卒、中途ともに5割を下回った。

 企業成長をけん引する高度人材の争奪戦や、慢性的な人手不足の業界からの求人は継続すると予測される一方で、「五輪経済に沸きつつ、不動産市況のピークアウト、レガシーな製造業関連の減衰などがどちらかといえば経済面への影響を強くする」(経営者JP井上和幸社長)、「製造業を中心に企業の人材需要は上がらない見込み」(パーソルキャリア勝野大常務執行役員)など、景気や企業業績の先行きを懸念するコメントが例年以上に多かった。

多様な人材の活躍で人手不足を解消

 4月からは「同一労働同一賃金」がスタートし、雇用形態による不合理な待遇差が禁止される。少子高齢化で若年労働力の確保は一層困難となっており、今年は70歳までの就業機会の確保を企業に求める法改正案が国会に提出される予定だ。

 多様な人材の活用を促す近年の労働政策によって、企業は人事戦略の再考が急務となっている。キーンバウム ジャパンの鈴木悦司社長は「女性、高齢者就業者、急増している外国人就業者にとって快適で魅力的な労働環境、労働条件の整備が重要課題」と指摘する。

 年齢にとらわれず一人一人の能力を見極めて採用する企業も出てきている。MS-Japanの井川優介取締役は「組織の屋台骨となる管理部門でマンパワー不足が顕在化している。即戦力の30代・40代はもちろん、経験豊富な50代・60代といったシニア世代を募集対象にするのは一般的になってきている」と説明する。

 働き方改革の推進によって、働く時間や場所に制約がある人を意識した業務内容の見直し、テレワークやモバイルワークなどの導入、副業やフリーランスなどの雇用の多様化が進みつつある。ヒューマンリソシアの御旅屋貢社長は「これまでとは異なる価値観やスタンダードの出現、従来の職種やポジションにとらわれない働き方や人材ニーズがより一層広がりを見せる」と予測する。これまで以上に多様な人材に活躍してもらうための環境を整えていくことが人手不足の解消には欠かせなくなっている。

デジタル&グローバル人材は争奪戦

 企業の採用ニーズの中で著しい伸びとなっているのが、デジタル分野の人材だ。デジタル技術とビジネスモデルが結合することによって、これまでと異なる分野からの参入や業界を越えた競争が起こり、デジタル活用による事業構造の変革を意味する「デジタルトランスフォーメーション」の推進が多くの企業で経営課題となっているためだ。

 優れたスキルと経験を持つ人材には複数企業のオファーが集中し、従来の採用手法では人材を確保できない企業が続出していることから、「テクノロジー領域では、大学や大学院で能力を身に着けた優秀な学生をその価値をフェアに評価するベンチャー企業、グローバル企業が高待遇で獲得していくことになるだろう。これまでの『報酬』『評価』の仕組みを変えなければならない時期に入った感がある」(A・ヒューマン髙橋英樹社長)との声が上がる。

 グローバル関連の人材ニーズも引き続き強い。ジェイ エイ シー リクルートメント松園健社長は「少子高齢化による人口減が国内の経済や内需に影響を及ぼすことが明らかで、日系企業はさらに海外に活路を見出す必要性があることから、厳しい国際競争に勝つためにも高度外国人の採用も含め、採用、給与体系などもグローバル水準に合わせることも急務となるだろう」と指摘する。

 こうした専門性の高い人材の採用では、外部労働市場を意識した処遇の見直し、より早いキャリアアップの機会の提示、人材紹介の成功報酬フィーの見直し、リテインド・サーチの活用、採用キャンペーンの実施などに着手する企業が年々増えている。また、全社を挙げたリファラル採用やダイレクト・ソーシングの推進なども必須となろう。

採用力の強化と人材マネジメントの転換

 2020年も人材採用が難しい状況は継続するが、働き方改革による労働生産性の向上が企業人事にとってより重要テーマとなっており、これまで人が時間と手間を掛けて行ってきた業務にAIやロボットの導入を検討する企業が増えている。

 ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングスの渡部昭彦社長は「デジタル化の進展により事務効率は大きく改善し、単純な事務作業についての人材ニーズは充足される一方、環境変化を踏まえ自律的に対応できる裁量型の人材の確保が不可欠な状況。これら人材の争奪戦は一層厳しさを増す」と予測する。

 レックスアドバイザーズの岡村康男社長は「採用が経営の重要課題と認識し、中小企業やベンチャーでは経営者が自ら動くことが求められ、大手企業でも採用部門に有能な人材を置くことが必須と思われる」と助言する。

 求職者の活動は多様化しているため、母集団形成に苦しむ企業では採用チャネルの多様化に取り組む必要もある。“待ち”から“攻め”の採用への転換で人材を積極的に発掘する企業が成果を上げるようになっており、これを実現するためには、採用担当者のスキルアップだけではなく、全社で採用に取り組む社内の協力関係を作り上げていくことが欠かせない。

 「大手企業から大量の中間管理職が市場に出てくる。求人は増加しているものの、それらの中間管理職の職能や報酬、コンピテンス、キャリア資産を活かせる場所が極めて少なく限られている。市場が求める経営者、管理職、職能が根本的に変わっている」(アクシアム渡邊光章社長)との指摘からは、企業が求める人材の条件と求職者が保有するスキルとのミスマッチが大きいこともうかがえる。自社の事業運営に本当に必要となる人材の質と量をより慎重に見極めて採用する傾向はさらに強まりそうだ。

 また、みらいワークスの岡本祥治社長は「世の中の変化のスピードがより一層早くなる中で、正社員を前提とした人材マネジメントでは限界が出てきている。1年に1回の人事異動だけでは、世の中のスピードに追い付けないのは明らかであり、社内の人材配置サイクルの短期化と同時に、フリーランスなどの外部人材の積極活用が必要」と、企業を取り巻く環境変化に対応していくために、従来型の人材マネジメントからの転換の必要性を訴えている。

主要人材コンサルティング会社に聞く「企業の人材需要と採用の課題」

回答(1)企業の人材需要
回答(2)企業の人材採用の課題
回答(3)人材業界の展望、自社の事業・サービス展開

アクシアム

アクシアム 
渡邊 光章 代表取締役社長

(1)大手企業から大量の中間管理職が市場に出てくる。求人は増加しているものの、それらの中間管理職の職能や報酬、コンピテンス、キャリア資産を活かせる場所が極めて少なく限られている。市場が求める経営者、管理職、職能が根本的に変わっている。

(2)企業が求める採用対象の多くが、デジタル化、グローバル化、資本流動化の課題を乗り越えられる人材になってきている。そのような専門性や新しい価値観を持ったタイプは、年齢的に若手になることが多い。採用対象者は限られているので、今まで以上に採用には苦戦すると思われる。

(3)人材紹介会社は、シニアな人材の相談が増え、その方々へのキャリアの助言力を高める必要がある。これまで素晴らしい職能・経験を積んできた方ですら簡単に再就職先が見つからないことも多い中、社会的な意義としては、50歳以上への助言や紹介、採用の機会の発掘が必要。しかしながら、成果報酬のサーチだけでは、経営を圧迫する可能性すらある。

KMF PARTNERS

KMF PARTNERS 
吉田 亜紀子 Sales & Maketing division director

(1)前年に引き続き、人材の高い需要が続くと思われる。業種では昨今のIT分野の高い需要を筆頭に、サービス、一般消費財、製造など全般にわたり、需要は高いトレンドが続くだろう。職種、ポジションに目を移すと、デジタル技術を活用した職種(デジタルマーケティング、Eコマース、ITソリューション等)は業界を問わず高いニーズがあるだろう。特にデジタル技術を駆使してビジネスを拡大できるスキルと経験を持ったマネジメントクラスの需要は非常に高くなるものと予測される。

(2)課題と一括りにしても多種多様にあるが、大きな流れとしては、これまで中途採用に積極的ではなかった日系の大手企業などが中途採用を増やしていくことが発表され、これまで以上に人材の流動化の加速と優秀な人材の確保が難しくなってくるものと思われる。
 優秀な人材の獲得のためには、エージェントの有効活用、ダイレクト・ソーシングに力を入れるのは当然の流れとして、企業側には、より魅力的な仕事、条件、環境の提供が少ないと優秀な候補者の獲得は難しくなるものと思われる。給与だけではなく、総合的な魅力のある企業として求職者にどうコミュニケーションできるかが大きな課題と言えるだろう。

(3)外資系企業、日系企業を問わず、中途採用は積極的に進むと考えられる。企業側のニーズ、求職者側のニーズ、双方とも高度化してきており、これまで以上に適切なマッチングは難しくなるものと予想される。当社のサービスとしては、一般消費財、B2B業界に加え、ITテック業界もチームを拡充し、幅広い業界のニーズに対応できるよう体制を整えている。またポジションに関しては、企業にとって重要度の高い、マネジャー職からディレクター職以上を中心に案件紹介と転職支援を行っていく。

ヒューマン・アソシエイツ

ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス 
渡部 昭彦 代表取締役社長

(1)景気の不透明感は増しているものの、総じて人材需要は引き続き底堅いとの認識。グローバル人材や高度専門職へのニーズは堅調に推移、その中でもデジタル社会に対応したAI人材へのニーズの増大が見込まれる。新分野の成長企業では、IPOを視野に入れたガバナンス系人材の採用意欲が旺盛。地方における人材不足は継続、後継者を含め経営職階の確保が喫緊の課題。

(2)デジタル化の進展で事務効率は大きく改善し、単純な事務作業の人材ニーズは充足される一方、環境変化を踏まえ自律的に対応できる裁量型の人材の確保が不可欠な状況。これら人材の争奪戦は一層厳しさを増すが、市場動向を反映した処遇への改善を基本としつつ、ミッション・ビジョン等自社への理解を深めるための情報の提供が必要。

(3)「売り手市場」の中で付加価値創造型の人材を確保するため、企業においては「この会社で仕事をすれば自分が成長できる」という気持ちを社員が持てる環境を整備することが涵養。当グループは人材紹介3社が、経営職階・高度専門人材・グローバル人材の紹介により適材適所を実現するとともに、メンタルヘルスケア事業により人材の内面からのモチベーションをアップ、さらに人材育成事業により顕在能力開発を図りつつ、顧客企業社員のエンゲージメント意識向上についての包括的な支援を行っている。

アンテロープキャリアコンサルティング

アンテロープキャリアコンサルティング 
山本 恵亮 取締役

(1)首都圏におけるコンサルティングファーム、事業会社での人材需要は引き続き活発であると見込まれる。金融機関は前年と同程度と思われる。

(2)求人情報が溢れ、優秀な人材へのアクセシビリティが高まる中、自社および仕事内容を効果的に求職者に伝える工夫が必要。求職者の志向の変化をキャッチして、アプローチ方法や自社の制度などを柔軟に適応させていくことがますます重要になっていると思う。

(3)ダイレクト・ハイアリングがさらに活発になるであろうため、人材紹介会社としては募集企業、求職者ともに対してこれまで以上に付加価値あるサービスを提供することが必要である。

フジキャリアデザイン

フジキャリアデザイン 
森 英昭 取締役人材紹介部長

(1)東京五輪やその後の大阪万博に向かうインバウンドの景気の進行と、終了後のホテルや建築物等の過剰化を想定した景気の後退が同時に起こり、特定の業種・職種ではなく、企業ごとに好不調が分かれてくるのではないだろうか。UターンやIターンも戦略ほどは進まず、転職意欲に対応する企業も現実的な採用には至らず、好景気・不景気にかかわらず人材不足は続いていくとみている。

(2)人材不足に対応する人材を、外国人人材や国外の日本人紹介に求めていく傾向が出てくると思われるが、現行の制度上では紹介に対するハードルが高く、即効性のある手法とは思えない。結局ミスマッチをいかに減らすかだけだろう。取りたい人材と取って欲しい人材のすれ違いをなくすためには、企業が求める人材をイメージしやすく、細かく提示していくしかないのではないかと思う。

(3)2020年も引き続き、同業界内でも好不調がまだらで、求人意欲もまちまち、そしてミスマッチによる人材不足が続いていくとみる。当社はその中でコンサルタントが密に接している、求人意欲が高い企業を中心にサービス展開していく予定だ。

イーストウエストコンサルティング

イーストウエストコンサルティング 
室松 信子 代表取締役

(1)多国間のシビアな競争に勝って企業をさらに躍進へと導けるような国際的に通用するスキル、経験、人間性および語学力をもつ人材のニーズが継続的に高いと予想する。特にQOL改善やシルバー世代のさらなる増加を見込んで製薬・介護・食品業界などで彼らのニーズに応える製品開発ポジションでの採用が活発になると思われる。

(2)上記のような人材を他社に先駆けて国際的なマーケットから探し出し採用するためには、人材のスキルやポテンシャルなどを効率的に見極めることが採用における一番の課題だろう。企業成長を支える特に若い世代(〜40代)の優秀な人材の確保がこれまでと同様、またそれ以上に重要課題となると思う。

(3)効率性とコスト削減を目指す日本およびグローバル企業をサポートするために、さらにスキルの高い人材紹介コンサルタントを確保することが必要不可欠だ。

ジェイ エイ シー リクルートメント

ジェイ エイ シー リクルートメント 
松園 健 代表取締役社長

(1)アジアでは米中貿易摩擦の影響を受け多くの国で景気が低迷気味であるが、ベトナムでは中国を中心とする他国からの投資が加速していることに伴い人材の需要は増加が続くことが予想される。しかし香港での抗議活動、日韓関係の悪化などの影響により、一部の国々では人材需要の低迷が続くことも予想され、アジアの人材需要の見通しは若干不透明。米大統領選も控え、結果によっては雇用情勢が変化することも考えられる。
 国内では人手不足の影響は続き、人材ニーズの高まりは継続する。東京五輪開催に伴い来日外国人が過去最高を記録すると考えられる中、関連事業やインバウンド需要、語学力を有するニーズは相当高まる。さらに、昨年の消費増税に伴うキャッシュレス促進に必要なテクノロジー(フィンテック)関連や、5G(次世代通信規格)関連の需要が見込まれる電子部品業界の人材需要は高い状態で維持するだろう。

(2)働き方の多様化が進む中、企業はこれまで以上に業務の効率化や生産性を考慮した採用が課題となる。AIやテクノロジーの台頭により作業的な業務はコンピューターに代替される流れはさらに加速することが予想されることから、より高度な能力やイノベーションを起こせる人材の採用や育成も重要となるだろう。
 今後は、少子高齢化による人口減が国内の経済や内需に影響を及ぼすことが明らかで、日系企業はさらに海外に活路を見出す必要性があることから、厳しい国際競争に勝つためにも高度外国人の採用も含め、採用、給与体系などもグローバル水準に合わせることも急務となるだろう。

(3)人手不足が社会問題となりつつある中、規制緩和もあり金融業が人材紹介業に参入するなど、紹介業を行う企業が増加傾向にある。人材サービス会社は企業が抱える人材不足の課題を解決することが業界全体の社会的責任または使命という考えを持ち、取り組む必要があると考える。
 2019年は米中貿易摩擦の影響もあり、製造業を中心に採用の見合わせや採用基準を上げる企業が散見されたが、その影響が長く続くことはないと考えられる。当社では景気変動に関わらず、質の高いサービスの提供を徹底し、顧客への充足率を上げ更なる満足度の向上を目指す。

キャリアエピソード

キャリアエピソード 
備海 宏則 代表取締役

(1)ようやく日本でも「働き方改革」が浸透してこれまでに無かった柔軟な雇用形態が出てくると思う。同じ業種の中でも勝ち負けが出て、それが人材需要・採用に関わってくる。職種・ポジションでは「IT・テクノロジー」を活かしたもの、特にデジタル、データサイエンティストなどがキーになってくる。地域としては在宅勤務など増えてきたとは言え、まだまだ東京勤務が多い。

(2)引き続き「欲しい人材をタイムリーに採用できるようにすること」があると思う。「採用手法」ではダイレクト・ソーシング、エージェント経由、メディア経由、社員紹介など複数あるものの、最も効果的に個々のポジションに適しているか判断して動くことが重要になってきている。また、時代の変化と共にこれまで無かったようなポジションが各業界、企業に必要となってきており、そのような未知のポジションに対しての採用活動も課題になっていると思う。

(3)引き続き展望は明るい。ただ人材業界のサービスも多岐に渡ってきており、企業がどのサービスを選んで結果を出していくか、徐々に明暗が出てくると思う。特に「AI」が本格的に動き出し「人」が行うこと以上の仕事をこなせるか、期待したい。当社としては引き続き企業側とのリレーションを密にしてなかなか市場に出てこないポジション案件を候補者側に届けたいと考えている。

島本パートナーズ

島本パートナーズ 
秦 一成 代表取締役社長

(1)昨年は米中経済戦争が製造業の業績を悪化させ、その影響が中途人材需要に及んだ。その改善には時間を要しそうだが、今年も業種や企業規模を問わず、「多角化(事業領域拡大と海外展開)」「デジタル化(AI/IoTやEC等の導入・活用)」の両分野では外部人材ニーズはひっ迫が継続する。その結果、スカウト対象がマネジメントクラス人財(部長〜CXO)中心からリーダークラス人財(若手〜中堅)へと一層拡大していく。

(2)「多角化」「デジタル化」人財の採用は年々難易度が高まっており、マネジメントクラス人財はもとより従来は公募で採用可能であったリーダークラス人財でも、採用計画未達に陥るケースが増加傾向にある。加えて候補者の内定後、「円満退社の実現」や「入社後の定着率アップ」に悩む企業も少なくない。

(3)企業は上記の課題解決のために、エージェントに対して採用プロセスの上流から下流まで一貫したサポートの強化を一層要求するだろう。当社の強みは、「人財要件定義支援」から「人財発掘」、入社前後の「フォローアップ」に至るまで、精鋭チームが真摯にかつ適確に対応できる体制にある。社員一同、顧客企業の戦略的部門強化・発展の一翼を担う責任感、そして転職者の人生の一端を背負う覚悟を常に持ち、日々の業務に邁進してゆく。

A・ヒューマン

A・ヒューマン 
髙橋 英樹 代表取締役社長

(1)国内市場が縮小していく中で企業が求める人材需要を「グローバル競争型」「国内市場争奪型」「新規ビジネス創発型」に類型してとらえている。

(2)安価な労働力を求めて工場が国・地域を移動したように、人材側も条件の良い企業に移動する傾向は強まるものと考えられる。例えば、サイバーセキュリティー、AI、データアナリティクスなどのテクノロジー領域では、大学や大学院で能力を身に付けた優秀な学生をその価値をフェアに評価するベンチャー企業、グローバル企業が高待遇で獲得していくことになるだろう。これまでの「報酬」「評価」の仕組みを変えなければならない時期に入った感がある。

(3)このような流れの中で人材紹介会社は、紹介する人材や提案する人材の価値を評価する能力と企業側が求める経営課題の理解力が益々重要になってくるだろう。当社では、業界別に業界出身のコンサルタントを擁して、担当コンサルタントが企業側および人材側の双方に対応していく。

Apex

Apex 
橋本 和久 代表取締役

(1)採用ニーズは総じて前年よりやや減少すると思われるが、当社が得意とする不動産金融業界の採用意欲は引き続き旺盛だ。国内では低金利に悩む地銀等の金融機関から不動産をはじめとするオルタナティブ・アセットへの投資資金が流れ込み、また調達金利が低い日本の不動産への海外投資家の意欲も衰えてないことが要因となっている。
 アセットクラス別に見ると引き続きホテル・物流施設に投資するファンドからの求人数が多く、太陽光などのインフラ施設に投資するファンドから求人が増えた。職種別に見るとそれらアセットの取得(アクイジション)業務と取得後のアセットマネジメント業務の採用意欲が高い。

(2)優秀な人材は複数の企業から内定を獲得するケースが大半であり、せっかく内定を出しても他社の内定を受諾され逃げられてしまうケースが増えている。投資検討物件の決済同様に人材採用においても意思決定のスピードが重要であるが、その重要性を理解しながらも臨機応変な対応ができず小回りの利く企業に競り負けている。
 売り手市場においては受け身ではなく書類選考の段階から確度の高そうな人材に関しては、1次面接を通過すると仮定し事前に面接官にスケジュールを抑えたり、人材の他社の面接進捗状況を随時確認するなど積極的な対応が求められる。

(3)人材業界は、ここ数年は右肩上がりに売上を伸ばしてきたが2019年夏頃から売上を徐々に落としている大手エージェントもあり、2020年にはその余波が中小エージェントにも及ぶと考えられる。当社は金融・不動産・インフラ・コンサル・ITの領域をカバーしてきたが事業会社を担当するコンサルタントが最近入社したこともあり、今後は紹介第1部(金融・不動産・インフラ)、紹介第2部(コンサル・IT・事業会社その他)の2部門に編成し、より機動的に動きで顧客のニーズに応えていきたい。

キーンバウム ジャパン

キーンバウム ジャパン/ K.J. コンサルタンツ 
鈴木 悦司 代表取締役社長

(1)中国や韓国の景気後退、また消費増税の影響で工作機械などの投資財・消費財共に売り上げ減が予想され、昨年のような企業の採用意欲の高まりは期待できない。ただし、売り手市場が続くエンジニアの職種については、技術イノベーションの製品応用などで引き続き高いレベルの人材需要が続くと思われる。最近の傾向としてオープンイノベーションの必要性の高まりを背景に、欧米では重要な産業分野であるエンジニアリングサービスの業種が国内でもようやく認知され、採用意欲も旺盛だ。

(2)マクロの視点から労働市場を俯瞰すると、生産年齢人口が7629万人(2015年)から7341万人(2020年)に減少する一方、労働力人口は6625万人(2015年)から6830万人(2018年)と3%増となった(総務省)。これは女性、高齢者の就業率が増加したことが背景にある。企業の人材採用において、女性、高齢者就業者、急増している外国人就業者にとって快適で魅力的な労働環境、労働条件の整備が重要課題となっている。

(3)これまでの売り手市場一辺倒の人材市場から変化の兆しが現れるのではないか。そんな中で、人材紹介各社とも切磋琢磨し、サービス、ノウハウの向上に努めることができればと思う。
 当社としては引き続き、海外市場への展開を企図する国内中小企業へのグローバル人材の発掘、また当社の持つグローバルネットワークという強みを活かし、海外での現地マネジャーの採用のお役に立ちたいと念じている。また、在日外資系企業に対しては、本社のマネジメント、担当部署と円滑なコミュニケーションが可能な「異文化コミュニケーション能力」に富んだ人材を発掘することを目標としたい。

エリメントHRC

エリメントHRC 
清水 潤次 執行役員 Principal

(1)2019年は「内定辞退率予測」に端を発するAI活用のリスクなどが問題となった。新卒大量採用においては、エントリーシートでのAI活用などは慎重に検討すべきである。2020年の人材需要では特に中途採用のマーケットは引き続き堅調に推移していくと思われる。上記のようなAI活用にはモラルや課題感は残すが「IT」を駆使した人材需要は、IT業界のみならず、多方面において需要はさらなる加速が予想される。

(2)以前から指摘されているIT人材不足をどう補填していくか=解決していくかは2020年問題含めて、各企業の課題。ヤフー・LINE統合は「GAFA」「BAT」とどう向き合っていくかは見ものであり、期待感もある。優秀なIT人材は引く手あまたな状態であるため、待遇や働き方は然ることながら、企業としての独自優位性を出していかねば、この戦国時代を生き抜いていくのは難しいであろう。

(3)専門職人材やハイキャリア層は引き続き活性化していく。ダイレクタークラスであれば、50代半ば~後半でも積極採用している企業も複数あり、シニア・エグゼクティブクラスの一定需要も継続。また、昨今のバイオベンチャーや医療×ITスタートアップの動きが活性化~開発部隊の強化・拠点の拡充等、さらなる活発化が見込まれる。外資系医療機器メーカーはロボティクス事業へのドライブが加速していく。

ロバート・ウォルターズ・ジャパン

ロバート・ウォルターズ・ジャパン 
ジェレミー・サンプソン 代表取締役社長

(1)東京五輪を目前に控える日本では、ラグビーW杯が開催されたことも寄与して国際化がさらに加速している。外資系企業や海外事業の進む国内大手企業はもとより、あらゆる職場で、英語に堪能で国際感覚の優れたグローバル人材の需要が高まっている。クラウドコンピューティング、AI、モビリティ(コネクテッドカー・自動運転)、医療テック、フィンテックなど、新興分野での人材採用の盛り上がりは継続するだろう。
 IT・通信・オンライン業界では開発者、セキュリティ・スペシャリスト、エンジニア、コンサルタント、営業人材への引き合いは大変強くなっている。オンライン分野では特にスマホ決済サービスの開始が相次ぎ、クレジットカード会社など金融分野の出身者、アプリ開発者、セキュリティーの専門性が高いなど多様な経験・スキルを備えた人材がこの分野に移る動きが見られている。
 5Gなどによる先進技術の勢いは製造業などにも広がり半導体、化学・素材、機械、ロボティックス、サプライチェーン分野の人材ニーズにも及んでいる。特に、製造業全域では、テクニカルサポート職、フィールドサービスエンジニア職など技術的な専門性を備えた営業職の求人が引き続き増えるだろう。
 高齢化社会の日本では認知症、アルツハイマー病などの中枢神経系、腫瘍分野(オンコロジー)の診断・治療、ライフサイエンス分野などを中心にヘルスケア業界での人材需要も高止まりが続いており、レギュラトリーアフェアーズ、メディカルアフェアーズ、安全性情報などを専門とするスペシャリストの引き合いは引き続き強まるだろう。人生100年時代という言葉とともに健康・美容志向が広がり、栄養補助食品・飲料の原料、オーガニック原料を扱う化学・原料メーカーでも求人を増やしている。
 データの集積・利活用の広まりによる個人情報保護法の順守や、内部管理・セキュリティー対策の不十分による仮想通貨・スマホ決済での問題を受けて厳格化が進む金融規制などに対応するようセキュリティー、監査、リスク・コンプライアンス関連職では専門性の高い人材の採用が増えている。この傾向は今年も続くだろう。

(2)長期的な人手不足が深刻で、英語を扱えるバイリンガルの少ない日本では、引き続き国際感覚と語学力に優れた日本人、そして技術職などの高い専門スキルを持った外国人の売り手優勢な環境が続くことが見込まれる。優秀なトップ人材の獲得に際しては、内定通知までの採用プロセスの迅速化・効率化がとても効果的。
 また、引き合いの強い人材ほど、報酬面の充実だけではなく専門スキルをアップデートし続けられる環境を好む。そのため、ラーニング&デベロップメント(人材育成・開発)の機会・環境を明確に提示し、売り込むことが大切。新規プロジェクトの立ち上げや新規参入時などに、スキル・経験の豊富な専門人材を確保する際に、まずは短い採用プロセスで派遣社員として確保し、その後に能力・業務成績を見極めて正社員に登用することで人材確保に成功している企業も多くみられる。

(3)当社では世界最大級の日英バイリンガル人材データベースと40の専門分野に特化したチーム体制で、見識の深いコンサルタントが企業の採用ニーズに寄り添ったトータル・ソリューションを提供する。

パーソルキャリア

パーソルキャリア 
勝野 大 常務執行役員 エージェント事業本部長

(1)昨年度に続き、製造業を中心に企業の人材需要は上がらない見込み。

(2)専門職・管理職のニーズは比較的高い中で、対象者の発掘が引き続き企業の課題となる。採用チャネルが増える中で、取捨選択と効率的な採用体制の構築が必要となる。

(3)昨年度後半から業界自体がダウントレンドの兆しが見られ、今年度も明確な復調の材料がない中、企業の人材需要に沿ったサービスの提供がテーマとなる。

リクルートキャリア

リクルートキャリア(現リクルート) 
佐藤 学 執行役員 本部長

(1)当社が提供する人材紹介サービス「リクルートエージェント」において、19年の求人数は過去最高を更新し、依然として採用ニーズ自体は強かった。一方で候補者の絞り込みも徐々に進み全体としては過熱度が緩和される可能性がある。経営幹部、次世代リーダーについては、引き続き過熱度は高いと見ている。

(2)労働人口は減少の一途をたどっている。一方で企業は引き続き生産性の向上を求められている。今まで以上に、より採用した人材が定着し、その企業でいかにイキイキ働き活躍してもらえるかが重要となる。当社は業界最大のデータの利用や、様々なサービスを通じて採用のみならず、定着、活躍までも支援していきたいと考えている。

(3)過去数年と比較すると景況感の不透明度が上がってはいるが、当社は大方針は変えず「テクノロジー」と「ヒト」をうまく結びつかせ、より一層求人企業と求職者のマッチング精度を追求し続けることで、事業を進化させたい。

ヒューマンリソシア

ヒューマンリソシア 
御旅屋 貢 代表取締役

(1)米中貿易問題を筆頭とした世界経済の先行きに対する不透明感が強まる中、国内への影響が懸念されている。このような中、国内は今年も人手不足が続き、雇用形態や業種、地域を問わず、人材ニーズは高止まりすると予測している。一方で、デジタル・トランスフォーメーションへの取り組みが進展し、これらの潮流に乗り遅れまいとした投資は続くだろう。人材の採用や活用におけるHR領域のトレンドは、これまでとは異なる価値観やスタンダードの出現、従来の職種やポジションにとらわれない働き方や人材ニーズがより一層広がりを見せると考えている。

(2)多様な働き方の推進、女性やシニアの労働参加が進んでいるものの、少子高齢化の進行により、将来的な労働力人口減少は避けられない。また働き方改革の推進により、テクノロジー活用や副業といった働き方も浸透が進むだろう。さらに東京五輪は、インバウンド需要に対する人材ニーズを生み出すほか、首都圏を中心とした公共機関への影響による通勤や移動の制限など、これまでに経験のないビジネス環境をもたらすだろう。このような状況下、企業の人材採用においても、従来の「人」ありきの募集・採用手法から、新たな価値観や働き方への柔軟な対応、育成への投資などの取り組みが、より一層求められると考えている。

(3)当社としては、教育を事業母体とする強みを活かし、人材の育成・輩出に取り組むとともに、海外人材やIT活用を軸にした新しい人材活用の提案で、2020年も引き続き人材活用に対する課題解決に取り組んでいく。注力事業の一つは、RPAを活用した業務自動化支援サービス。さらに、IT人材不足および企業のIT推進に必要となる人材を提案する海外ITエンジニア派遣「Global IT Talent サービス」も拡大を図る。社会が大きく変化する中、人材サービス会社である当社が果たすべき役割を改めて認識し、未来のスタンダードを先取りするサービスの開発と提供に努めていきたいと考えている。

みらいワークス

みらいワークス 
岡本 祥治 代表取締役社長

(1)景気拡大を背景に、引き続き多くの業界で人材需要は高まっていく。特に東京や大阪といった都市部においてそれが顕著となるであろう。またエンジニアについては国際的な競争にさらされ、日本は米国やシンガポールなどと比較しても給与水準が低いことから、外資系企業による人材獲得によって競争がより激しくなるのではないか。

(2)世の中の変化のスピードがより一層早くなる中で、正社員を前提とした人材マネジメントでは限界が出てきている。1年に1回の人事異動だけでは、世の中のスピードに追い付けないのは明らかであり、社内の人材配置サイクルの短期化と同時に、フリーランスなどの外部人材の積極活用が必要である。

(3)副業がいよいよ本格的に広がる一年となり、まだマネタイズが出来ていないプレーヤーが多い中で、いくつかの特定領域に特化したサービスが市場に広がり始めるのではないか。当社が運営する副業×地方創生プラットフォーム「スキルシフト」も領域特化サービスとして、市場に広がり始めるように努めたい。

コンコードエグゼクティブグループ

コンコードエグゼクティブグループ 
小笠原 航 ゼネラルマネージャー

(1)今年前半は昨年に引き続き人材需要は非常に高いと予想される。しかし、昨今のグローバル経済は様々な問題を抱えているため、年後半の人材需要は不確実性が高い。転換を迎えた場合は、今までのような大量採用から、経営者人材、デジタル人材等を中心とするピンポイント採用に切り替える企業が増えるだろう。

(2)経営者人材やポストコンサルの年収水準は高騰しており、採用のためには高い条件提示が必要不可欠となっている。引く手あまたとなっている優秀な人材は選考の早い段階で企業を見極めていく傾向があるため、採用企業側としても面接の場での積極的なアトラクトや、選考回数短縮など、様々な取り組みをする必要がでてきている。このような採用市場の実態を踏まえ、専門性の高いワーキングマザーやシニア人材の活用も重要になってくるだろう。

(3)売り手市場が長く続く中、人材紹介会社もキャンディデイトから取捨選択されている。当社は「ご相談者との長期的で誠実なおつきあいを大切にする」という方針を徹底しており、望む人生を実現するキャリア戦略を設計し、選考対策を行い、経営幹部との強固なネットワークを活用した手厚い支援を行っている。このような独自の強みを活かし、1人でも多くの方に豊かな人生を送っていただけるように引き続き尽力していきたい。

レックスアドバイザーズ

レックスアドバイザーズ 
岡村 康男 代表取締役

(1)今年も様々な業界と業種で人手不足の状態が続き、競争が激しい業界での人材争奪が予想される。企業経営者はDX化を進めたいが、旗振り役となるIT人材の採用には苦戦する。ICT技術が普及して業務スピードは上がるが、専門性を持つ人材の需要がさらに鮮明になるだろう。

(2)採用の質と数の担保、そしてコスト管理はますます難しくなる。それだけに採用が経営の重要課題と認識し、中小企業やベンチャーでは経営者が自ら動くことが求められ、大手企業でも採用部門に有能な人材を置くことが必須と思われる。

(3)先行き景気は不透明ながら全産業で人材流動が進み人材ビジネスも活況を維持。若手層を中心にAI・チャットを使った転職活動が主流になり、人材サービスはより利便性とスピードを求められるだろう。また、単なる卸売り仲介業的な人材ビジネスの転換期にもなる。当社は雇用形態に関わらず、人材の採用と戦力化の課題を解決できるコンサルタントを育てていきたい。そして真に介在価値のある採用支援サービスを展開していくことが差別化になると考えている。

リネアコンサルティング

リネアコンサルティング 
大森 崇 代表取締役社長

(1)昨年半ばから設備投資の抑制や景気後退に備えた早期退職を推進する企業などが増えており、各業界で先行きの不透明感は増している。今年前半は五輪景気で盛り上がるが、後半はその反動で経済が失速する可能性が高い。
 大手企業が早期退職を推奨するのは完全な終身雇用の崩壊を意味しており、今年はミドル層のマーケットへの流入が増えるとともにフリーランスなど柔軟性の高い働き方を選択する人が増える。一方で若手優秀層やIT人材はひっ迫した状況が続く。コンサルティング業界では2025年の崖に向けたDX推進、レガシーシステムの刷新案件、SDGsやESG投資に関連した案件がさらに増える。RPAでは自動化の限界も見えつつある中、人工知能による意思決定の自動化に向けてソリューションを深化させられるかどうかがを問われる年になる。

(2)企業における採用管理ツール(ATS)の導入が進み、データ×AIを活用した採用が引き続きトレンドとなる。採用現場ではダイレクト・リクルーティングが浸透するものの、応募者との接点を最大限に生かし、顧客体験を通じて自社の魅力を効果的に訴求できるかどうかが重要になる。人材戦略としては若手優秀層の採用とミドル層の放出という両面の舵取りが求められる。

(3)人材業界においてもAI活用やRPAの導入などが進む中、総合力で勝負する大手か、特定の専門性を有するベンチャーかの二極化が進む。また、企業によるダイレクト・リクルーティングがさらに増えると共にエージェントの絞り込みが加速する。案件の紹介やプロセスの代行自体の価値がなくなり、溢れる情報から自分に必要な情報を選択するサービスや必ずしも転職ありきではないキャリア支援が注目される。

エンワールド

エンワールド・ジャパン 
ヴィジェイ・ディオール 代表取締役社長

(1)日本の採用市場は人材不足が続き、今年も求人倍率は高止まりが続くことが予測される。しかしながら、五輪後から2021年のどこかの時点で景気が後退するだろうという一般的な見方があるため、一部のセクターではすでに減速を示しており、多くの企業では新規プロジェクト向けの投資の減少など、より保守的なアプローチを取り始める可能性がある。これは採用規模と労働市場の流動性に影響する見通しだ。

(2)市場は今年も継続して好調だが、競争はますます激化することが予想される。従来のHRサービス間の競争に加え、Webの進化やSNSを活用した候補者の獲得は、従来の採用モデルを大きく変える可能性がある。企業は、新しいプラットフォームの利用や、社内採用チームの強化、RPO(採用代行)など様々な採用モデルを有効活用して、採用コストを下げようとするだろう。

(3)人材紹介会社は引き続き、人材獲得と求職者への積極的な関わりに注力する必要がある。優秀な人材の争奪戦は続くため、高水準のカスタマーサービスと候補者のための効果的なコンサルテーションは維持しつつも、候補者とのやり取りの自動化が人材紹介会社にとって差別化の鍵となるだろう。労働基準法の法改正は、人材紹介会社、特に派遣/契約社員市場に深く関与している企業に、これまで以上にコンプライアンスに注力した事業運営をするための負担を与えることが予想される。

パソナ

パソナ 
岩下 純子 常務執行役員

(1)IT関連の業種/職種は変わらず積極的な採用が続くと思う。社内にノウハウがないことから外部に頼る傾向もしばらく続くと想定し、コンサルティング業界のニーズも高いと考えている。製造業は昨年同様、少々慎重な採用が続くことを想定している。一方で、大手企業が採用を控える中では中小企業が良い人材を採用するチャンスになるとも思う。

(2)ボリュームゾーンに関しては、昨年同様、パイの奪い合いになることが予想される。その中で企業の強みや良さを伝えることの重要性がより増すと思う。希少性の高いポジションに関しては、転職マーケット自体にはいない可能性が高いので、潜在層へのアプローチが必須となってくる。

(3)顧客満足度を最重要指標とした事業展開には変わらない。HRテックやリファラル採用、ダイレクト・リクルーティングが台頭してくる中でも、人材紹介会社が介在する意義をしっかりと感じてもらえるサービス展開に努めていく。

経営者JP

経営者JP 
井上 和幸 代表取締役社長・CEO

(1)五輪イヤーだが、人材需要は総じては引き締まってくると思われる。米中経済戦争は続き(おそらく微妙なラインを保ちつつも厳しさは増す)、欧州経済の不透明感、それをリカバリーするほどのアジア経済の伸びは見えにくい。日本国内でも五輪経済に沸きつつ、不動産市況のピークアウト、レガシーな製造業関連の減衰などがどちらかといえば経済面への影響を強くする。構造不況の店舗・運送関連スタッフの人手不足と、AIなど高度技術職、事業変革をけん引するマネジメント職などが部分的に加熱状況となるだろう。

(2)AI、IoT関連などでの高度技術職、事業変革リーダー人材、新規事業開発創出人材、ダイナミックに経営をけん引できる経営人材など、突出した力を持つ人材探しでの争奪戦となるだろう。一方ではボリュームゾーンの中高年齢層、オペレーション業務を大量に抱えてきた大手金融やその他大手企業では、だぶついた人材の代謝マネジメントに奔走する姿が多くみられるようになると思う。

(3)パート・アルバイト領域は引き続きの過熱が予想されるが人材確保のTech化が進みレガシーなプレーヤーはかなり厳しくなると思われる。派遣や一般社員層の人材紹介はニーズが引き締まるので大手の体制緊縮、中小プレーヤーの淘汰が進みそう。
 マネジメント層はニーズ堅調かつ求める要件の高度化、個別化が加速するので、当社としてはノウハウを活かしたマッチングの展開と個人顧客・企業顧客とのコミュニケーションレベルの引き上げをビジネスモデルレベルも含めて実行する予定。また、「経営人材・幹部人材の適所適材で経営課題、事業課題を解決する」新たなソリューションのリリースも行う。

MS-Japan

MS-Japan 
井川 優介 取締役事業統括本部長

(1)経営管理部門、士業の需要は引き続き増加する。米中貿易摩擦や日韓関係の悪化といった景気にマイナスの影響を与える火種はあるが、慢性的な人手不足は解消されていない。特に成長企業が多い首都圏および東海、関西では、組織の屋台骨となる管理部門でマンパワー不足が顕在化している。即戦力の30代・40代はもちろん、経験豊富な50代・60代といったシニア世代を募集対象にするのは一般的になってきている。さらには20代についても、一定の資格・知識があれば即戦力採用の検討対象にする動きもみられる。

(2)有効求人倍率は高い水準で留まっており、採用難易度は高い状況が続くだろう。昨今の転職希望者は、現職に残ることも含めじっくりと幅広い選択肢を吟味する傾向が見受けられる。そのため企業は採用計画を考慮して、対象の経歴、経験、年齢などを広げる必要に迫られている。また、採用するだけではなく、いかに定着を図るかが重要で、働きやすい環境の提供が求められている。

(3)旧来の人材サービスに加えて、ダイレクト・リクルーティングといった新しい人材サービスも登場している中で、より早く求職者と接点を持つこと、より多くの求職者情報を保有することが重要になってくる。また、多数あるサービス提供者の中で、求職者に選ばれるためには高品質を保ち続ける必要がある。当社はこの両方を実現するために、求職者・求人企業のニーズを把握して、常に改善に努めていく。

プライマリー・アシスト

プライマリー・アシスト 
石山 知良 代表取締役社長

(1)五輪イヤーとなり関連する業種はもちろん、全体的に人材需要は増加する。技術職は特に不足が継続し、その他幅広い職種で需要は継続する。合理化が進む分野では採用を控える業種も出るが、2019年度も出生率が大幅に下がり少子化が加速することから、人手不足は継続・拡大の傾向にある。

(2)新卒は事実上就職解禁日がないに等しい状況が常態化し、既に通年採用のような実態になっている。中途はリファラル採用が広がっているが、一部の企業にとどまっている。これまで同様、媒体、エージェントが中心となるも、媒体は離職率が高い傾向がみられ売り手市場での採用課題は継続する。

(3)政府における健康経営の普及促進も5年目を迎える。また働き方改革、健康増進法改定、パワハラ防止法などにより、従業員の健康に配慮し、生産性、エンゲージメント向上に取り組む企業が増え、産業医配置の強化、保健師の新規配置が年々増加している。生産年齢人口の減少はますます加速し、健康経営は「検討」から、「取り組まなければならない」時代になったと言える。

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