深刻な若年労働力の不足で女性・シニアの活用本格化

若年労働力の不足が深刻になる中、多様な労働力の活用が課題となっており、従来型の採用手法では人材確保が難しくなっている。2017年の日本の雇用情勢と企業の人材採用数の予測を、企業の人材採用を支援する主要人材コンサルティング会社50社を対象にアンケート調査で聞いた。

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目次

企業の採用計画の予測は「増加する」が過半数

本誌が実施した企業の採用を支援する人材コンサルティング会社への調査では、2017年の日本の雇用情勢は良くなるという回答が63%、横ばいが33%、悪くなるが4%となった。企業の採用計画の予測も同様に、増加するが過半数を占めている。今年も高い水準の人材需要が続き、人材採用はますます困難を極めることになりそうだ。

今後の人材採用を考える上では、少子高齢化と労働力人口の減少を前提としなければならない。リクルートで転職情報サービスを提供する佐藤学リクルートキャリア執行役員は、「労働人口は減少の一途をたどっている。一方で企業は生産性の向上を求められている。今後はより、採用した人材が定着し、その企業でいかにイキイキ働き活躍してもらえるかが重要となる」と指摘する。

特に若年労働力の不足は深刻だ。大学などへの進学や就職の年齢でもある18歳人口はこれまで約120万人を維持してきたが、2021年から減少傾向に転じ、2030年頃には100万人を割り込むと推計されている。これは「団塊の世代」の4割にも満たない。

●2017年 日本の雇用情勢・人材採用の増減(回答集計)

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新卒採用

リクルートワークス研究所が算出した17年3月卒業予定の大卒求人倍率(修士含む)は1.74倍となり、前年の1.73倍とほぼ同水準。全国の民間企業の求人総数は前年の71.9万人から73.4万人と1.5万人増加。一方、学生の民間企業就職希望者数は、前年41.7万人からほぼ横ばいの42.2万人で、引き続き売り手市場となっている。

18年卒の採用活動は、3月広報開始、6月選考開始、10月正式内定という経団連のスケジュールが継続されることになった。17年卒の採用活動では、学生エントリーの減少に苦しんだ企業が続出したこともあって、新卒採用支援会社のヒューマネージ齋藤亮三社長は、「広報解禁前(いわゆるプレ期)の活動も含め、早期化・短期決戦化がますます進む」と予測する。

本誌の調査でも18年卒の採用活動では17年卒以上の求人数増加が予想されている。学生に対して認知度の低いBtoB企業や中小・ベンチャー企業で採用に成功しているのは、自社の魅了の発信と経営者や働く社員への共感を前面に打ち出して、インターンシップや会社説明会に早期に取り組んだ企業だ。

自社の魅力を伝えて共感を生むことで意欲の高い優秀な学生を採用できているし、そのような企業では内定辞退も少ない。もはや賃金や処遇だけが魅力の採用活動では意欲の高い学生は確保できない。経営者、社員が様々な機会を通して会社の魅力を全社で伝えていくような採用活動に取り組む必要がある。

中途採用

中途採用も人材争奪戦の様相だ。人材紹介大手ジェイ エイ シー リクルートメントの松園健社長は、「(東京五輪開催の)20年までは語学力を有する人材ニーズの高まりは継続する。さらに、フィンテックやIoT関連、ロボット、自動車業界の自動運転関連の需要、各業界で注力しているAI関連の需要も引き続き高い需要が続くだろう」と展望する。

同様に、プロフェッショナル人材の紹介を行うコンコードエグゼクティブグループの武中康泰エグゼクティブコンサルタントも「AIやフィンテックなどの新技術に関するスペシャリストのニーズは高まるばかりで、多くの企業で活発な採用が継続」と見込んでいる。

売り手市場化がさらに進み、どの企業も求めるようなスキルや経験を持った人物には複数のオファーが集中する。そのため従来の採用手法では人材を確保できない企業が続出するだろう。

このような競争の中で採用を成功されるための施策として、外資系人材紹介会社ロバート・ウォルターズ・ジャパンのデイビッド・スワン社長は、「競争力のある給与水準に加え、キャリアアップなど金銭以外のメリットを提示する必要がある」と助言する。

多様な労働力の活用へ

慢性的な人材不足によって、シニア、女性などの多様な労働力の活用が進みそうだ。

管理部門や士業に特化した人材紹介会社MS-Japanの井川優介取締役は、「人材確保が困難になっている環境下では、企業のダイバーシティへの取り組みと働きやすい職場作りをどれだけ本気で取り組めるかにかかってくる。ダイバーシティという意味では、女性やシニア活用などが現実的」と、多様な人材を受け入れていくための企業の取り組みを採用成功のためのポイントに挙げる。

政府の働き方改革の一連の動きも後押しとなり、これまで働く場を見つけられなかった柔軟な働き方を求める人々が多様な雇用形態で働ける機会が増えつつあり、専門性の高い人材を積極的に採用するケースも目立ってきている。

特に、すでに深刻な人材不足に陥っている流通・サービス業や製造業の企業では、一足早くパート・アルバイトを契約社員や地域限定社員として社員化しはじめている。また、生命保険会社などでは営業職の確保のために社員の定年を引き上げる動きも出てきている。多様な人材の活躍を推進する取り組みとして、短時間労働、在宅ワーク、モバイルワークなどの導入を検討する企業も多く、生産性の高い優秀な人材の定着施策ともなっている。

多様な雇用形態の労働力を活用するためには、適切な評価システムと明確なフィードバックが不可欠だ。これまでの新卒からの育成システムを前提とした能力主義から、成果を基準にした評価システムへの変革を急ぐ必要がある。

すでに6割以上の企業に人材不足の影響が及んでいる

●人材(人手)不足が企業経営に及ぼしている影響

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(出所)労働政策研究・研修機構「人材(人手)不足の現状に関する調査」

地方・中小企業の採用難

ビジネスや人材の東京一極集中が進む中、アクシアムの渡邊光章社長は、「地方経済をいかに活性化していくかは国の重要課題だが、同時に企業経営において各企業が取り組む喫緊の課題」と指摘し、地方企業の採用支援も人材会社には大いに期待されている。

また、中小企業の採用難は深刻な状況で、日総ブレインの清水智華子社長は、「今まで以上の条件緩和や多様な人材の受け入れなどが必要。人材育成に重点を置いたポテンシャル採用の推進や人材確保のための柔軟な受け入れ体制づくりが課題」と見る。リスの木村亮郎社長は、「政府は雇用の要となる人材会社を含めた中小・零細企業に対して、実務に並行した各種助成金支援」を訴える。

採用力の強化に向けて

17年も引き続き採用が難しい状況が続くことへの対応策として、インテリジェンスの勝野大執行役員は、「ダイレクト・ソーシングをはじめとした多様な採用チャネルの活用など、従来の人材採用戦略に留まらない発想」を挙げる。

ダイレクト・リクルーティングについて、キャリアエピソードの備海宏則社長は、「ダイレクト・リクルーティングの活用と成果が問われてくる。思い切ってインハウスに専任リクルーターを抱え本格的に成果を出し始めた企業が少しずつ出てきた」と紹介し、一部の企業では取り組みが進みつつあるようだ。

ただし、ダイレクト・リクルーティングはコストがかからずに人材を採用できると考えるのは間違っているだろう。確かに人材会社に支払うコストは削減できるが、採用担当者が人材会社と同じ働きをしなければならないため採用担当者を増員する必要が生じてくる。

ダイレクト・リクルーティングを実現している大手外資系企業では、採用担当は7~8人以上の体制をとっている。これと同等の体制をつくり出せるかどうか、採用責任者にとってはチャレンジとなる。

同時に人材会社との関係の見直しにも着手したい。リクルーティングのパートナーとして担当コンサルタントと密接な関係を築くために、求人情報だけでなく事業内容や組織風土まで理解を深めてもらう必要がある。

そのためには選考結果などを詳細にフィードバックして、コンサルタントが推薦してくる候補者の面接通過率を上げていかなければならない。

さらに人材確保の課題に対して、マンパワーグループの池田匡弥社長は、「ポテンシャル採用の導入や、人材を育成する環境の整備・能力開発のためのプログラムを検討することが必要」と、採用条件の見直しや社員の定着・育成施策の充実が欠かせない点を指摘する。

外部労働市場を意識してキャリアアップの機会、賃金・処遇の見直し、働きやすい環境づくりなどの対策を講じ、求める人材に応じた特徴的な人材紹介会社や転職求人サイトの利用、SNSを活用したダイレクト・リクルーティング、社員紹介など様々な採用手法を活用する。

そして他社より早く内定を出すための採用プロセスも見直してスピードアップを図らなければならない。採用後に人材育成という観点からより早いキャリアアップの機会を与えることも候補者には魅力的な条件となるだろう。

採用力の強化には、採用担当者だけが頑張るのではなく、全社で人材採用に取り組むような社内の協力関係を作り上げていかなければ成功することはできない環境になっている。

主要人材コンサルティング会社に聞く「企業の人材需要と採用の課題」

(1)企業の人材需要
(2)企業の人材採用の課題
(3)2017年の人材業界の展望、自社の事業・サービス展開

ジェイ エイ シー リクルートメント

ジェイ エイ シー リクルートメント 
松園健 代表取締役社長

(1)17年は米国の大統領就任を筆頭に、主要国の政治局面で想定外な事象もあり景気動向が読みづらい状況。景気をけん引した中国や東南アジアも同様にそれぞれ懸念材料があるものの、求人環境は回復する見込み。特にベトナムやインドなどは日系企業の製造業に加え、サービス・小売業などの積極的な進出により需要は高い状態が続くことが考えられる。国内においては昨年外国人観光客の人数が過去最高を記録するなど、20年までは語学力を有する人材ニーズの高まりは継続する。さらに、フィンテックやIoT関連、ロボット、自動車業界の自動運転関連の需要、各業界で注力しているAI関連の需要も引き続き高い需要が続くだろう。

(2)引き続きグローバル化とイノベーションにかかわる人材が不足していることから、この二つに関連する人材の採用と育成が重要になっていく。特に製造業を中心にIoTの事業化が成長のカギとなっていることから、事業企画の要員からSEに至るまで採用ニーズが高まる一方、金融機関のフィンテックに関しては事業化する段階までにはもうしばらく時間がかかる見込み。いずれにしても、既存事業からの人材獲得においては現在籍企業からの引き留め対策が強化され、また新分野に関しては採用条件の明確化が不可欠となり採用企業の採用戦略もより高度化するため、ち密に取り組む必要がある。

(3)企業の求人ニーズは、ここ数年来のグローバル展開のための人材から、企業の収益化又は立て直しに力のある事業マネジメント層、あるいは先進技術の事業化のための専門性の高い人材にシフトしている。当社ではそうした人材ニーズに対応できる質の高いコンサルタントの確保・育成など、人材紹介業として規模拡大を図るための人材への投資を最大化させていく。

テクノブレーン

テクノブレーン 
能勢賢太郎 代表取締役社長

(1)圧倒的な人材の枯渇から様々な雇用が試される(高齢者、女性、若手、外人)年となるか。

(2)特に次代を創る“人財”が圧倒的に不足している。こうした人財をいかにして見出し、採用し、とどめることができるのか。採用に対する取り組みそのものが変わっていく。

(3)いかに有効な人財を獲得できるのかあらゆる可能性を試す。

リクルートキャリア

リクルートキャリア(現リクルート
佐藤学 執行役員 斡旋事業本部 本部長

(1)当社が提供する人材紹介サービス「リクルートエージェント」において、16年の求人数は過去最高を更新し、人材不足が顕著であった。幅広い業界から経営幹部、次世代リーダー、スペシャリスト、メンバークラスの人材など、全てのクラスに対する採用意欲が高かった。17年もこの状況に大きな変化はないと見ている。

(2)労働人口は減少の一途をたどっている。一方で企業は生産性の向上を求められている。今後はより、採用した人材が定着し、その企業でいかにイキイキ働き活躍してもらえるかが重要となる。当社は業界最大のデータの利用や、様々なサービスを通じて採用のみならず、定着、活躍までも支援していきたいと考えている。

(3)引き続き、転職領域では転職情報サイト「リクナビNEXT」、人材紹介サービス「リクルートエージェント」に注力していく。産業構造の変化や市場の動向に注視しながら、当社が有する業界最大のデータを駆使して、企業の課題を捉えて採用すべき人材を提案していきたいと考えている。働く個人の「働く喜び」を実現できるような転職のサポートを目指すと共に、業界の枠を超えた転職支援により成長産業への人材流動も促していく。

ロバート・ウォルターズ・ジャパン

ロバート・ウォルターズ・ジャパン 
デイビッド・スワン 代表取締役社長

(1)エンターテイメント・ホスピタリティ業界の人材需要が続き、小売業界では営業職のほか、英語と中国語を話すスペシャリスト需要が強まり、デジタルマーケティング人材も引き合いが強いだろう。また、IT人材需要も高く、データ関連、サイバーセキュリティ関連のスペシャリスト、クラウド技術に詳しいエンジニアやコンサルタントの需要が続く。金融サービスではジュニアレベルのバイリンガル人材需要も増える見通しで、商工業でも引き続き営業やエンジニアのバイリンガル人材需要が旺盛だ。

(2)16年と同様な人材不足が17年も続くと予想され、スペシャリストをめぐる人材獲得競争が続く。少子高齢化に加え、若者世代の出世志向の低下なども拍車をかけ、ニーズの高い分野でのスペシャリストの確保が困難な状況が続くだろう。採用担当者は、優秀な人材を確保するため競争力のある給与水準に加え、キャリアアップなど金銭以外のメリットを提示する必要がある。

(3)今後も日本企業のグローバル化や外資系企業の日本参入が続く中、バイリンガル・スペシャリストに対する需要は今年も一段と強まる見通しだ。RWJでは、15年からの5カ年計画として20年までに社員数倍増を目指しており、日本国内で強まるバイリンガル人材需要に応えるべく17年もサービス強化を続けていく。

レックスアドバイザーズ

レックスアドバイザーズ 
岡村康男 代表取締役

(1)経済の先行きは不透明感に満ちている。しかし少子高齢化が顕著になり慢性的な人手不足状態は続いている。会計業界においても実務経験のある若手人材が不足しており、正社員・パートなどの雇用形態に関わらず現場の手が欲しいといった声が寄せられている。特に地方の人手不足は深刻であり、採用難易度の上昇により組織の成長意欲を削いでしまう可能性がある。

(2)17年税制改正により扶養の範囲である年間103万円の壁が150万円に増額されることで、パート社員の就業機会が増えそうだ。雇用形態にとらわれず業務に最適な人材を採用すること、そして若年層では過去の手法にとらわれず導線を増やすなどの柔軟性が求められる。また働き方改善を進めた企業へ有能な人材が集まる流れができ業種による採用難易度の差がさらに顕著になりそうだ。

(3)会計分野においては引き続き採用ソリューション力を上げるべく従来の人材紹介のみならずポテンシャルワーカーの採用支援などサービスラインを拡充し、一般企業からの採用需要も積極的に取り込んでいきたいと考えている。

リス

リス 
木村亮郎 代表取締役社長

(1)震災対策を含めた都市インフラのメンテ、経年劣化した住宅建替え、高齢化対策工事さらには五輪等を控え、東京を中心とした大都市の人材需要がより高まり、それに伴い若者を中心とした大都市への人口流入がより進むものと思われる。雇用形態に関しては、労働契約法における有期雇用から無期への5年転換により、若者の正社員採用が増加し、また、少子化により企業の募集年齢がより緩やかならざるを得なくなり、高年齢者に対して、需要が今までなかったさまざまな職種への広がりがでてくるものと思う。年金制度改革法の環境下では、高年齢の求職者は今後増加することは確実。女性においては、大企業を中心にクラウドソーシングの導入も多くなると思われる。

(2)企業の人材採用に関しては、総論と採用現場での各論の違いは、まだまだ大きいものと思う。企業の大多数を占める中小・零細企業では、性・年齢・国籍・在宅雇用等に関しては、人材が集まらなくても条件緩和することにまだまだ踏み切れていないのが現状と思える。ベストマッチングは求職者が努力するのではなく、求人企業がどれだけ努力するかによる。教育現場の例をみれば、過去には教育困難校の存在は今のように常態化していない。大学で高校の勉強を再履修するようなこともなかった。企業は多様性を実務現場の中に取り入れていかなければならない。また、政府は雇用の要となる人材会社を含めた中小・零細企業に対して、実務に並行した各種助成金支援が必要だ。

(3)求職者難がここ何年かは続く中、人材の確保が喫緊の課題となり、今迄の派遣と紹介を区分して人事組織を構成するのではなく、大都市拠点においては、全拠点対応の求職者の集客強化を図るため、両部門の求職者担当機能を人材サポートチームとして独立させるとともに、人材メール送信会員企業へ活発なインターネットを通じたサービス展開を図り、営業員の対企業へのソフトコミュニケーションを補強する体制を整える。

経営者JP

経営者JP 
井上和幸 代表取締役社長・CEO

(1)足元の不透明感はあるものの、米大統領交代による「トランプノミクス」は17年の前半を主に一年を通しで米国の景気先行き見通しを押し上げ、それが主要各国にプラスの影響として現れると思われる。インフラ投資にまつわる生産財関連から消費面での消費財・サービス、インバウンド活況面での国内サービス全般、またAR / VR、AI、シェアードエコノミー関連、IoT関連などでの市場盛り上がりも期待でき、総じて人材需要の盛り上がりは17年も続く(過熱する)と見ている。

(2)(1)過熱状態にある人材マーケットにおける優秀人材の争奪戦への対応(その状況下においても、いかに本質を見極め、中長期的な観点でのキャリアをすり合わせたマッチングと転職/採用を実現していくか)と、(2)まだまだ絶対量が不足している経営者人材、専門分野ごとのマネジメント人材をどう育成・輩出していくことで幹部人材市場を拡大していけるか、の2大課題を感じている。

(3)上記のような市況観と課題認識に基づき、当社としては16年に続き、(1)経営の大元からの支援強化(経営講座、インハウスでの経営・組織支援)、(2)日々の「経営・事業×人・組織課題」の解決支援(「経営者ワークアウト」プログラム他)、(3)“アジアの中における日本企業”の支援強化(アジアへの拠点展開)、(4)ソリューションの高度化(独自の社内研修投資、事業統合システム構築)、(5)体制強化(自社採用投資強化)を推し進めていく予定。

パーソルキャリア

インテリジェンス(現パーソルキャリア
勝野大 執行役員 人材紹介事業部長

(1)海外経済に不透明感が高まっているものの、企業の投資マインドは変わらず人材需要は引き続き高止まりが続くと考える。直近で増加しているIoT・AI・ビッグデータといったテクノロジーをキーワードとしたポジションは、ITエンジニア・マーケティング・金融など特定の業職種に限らずあらゆる業職種においてニーズが更に拡大する想定。

(2)17年も企業は慢性的な人材確保が課題となるため、ダイレクトソーシングをはじめとした多様な採用チャネルの活用など、従来の人材採用戦略に留まらない発想を求められる。

(3)企業の採用充足難易度が高まっている中、採用手法を限定したソリューションの提案では十分期待に応えることができない。パーソルグループの事業間連携により、採用確度を高めるために複合的な提案活動を推進する。

アンテロープキャリアコンサルティング

アンテロープ キャリアコンサルティング 
小倉基弘 代表取締役

(1)金融業界については15年6月位をピークとして16年秋口まで緩やかにダウントレンドであった傾向が米国大統領選を境に金融マーケットが大幅に上昇したことによって目先では底堅く、中期的には上昇トレンドに反転する可能性がでてきている。特に資産運用(アセットマネジメント)、エクイティ周りの職種についてはその傾向が強いと考えられる。コンサルティング業界については特に総合系ファームの拡大傾向は続いており、引き続き業界全体としても採用意欲は強い状況が続くと考えられる。

(2)上記で述べたような方向性が17年も継続するようであれば企業側は引き続き優秀な人材の獲得競争を勝ち続けなければならない。自社の差別化、魅力を訴求するために採用サイトの充実、説明会等多様な採用手段の登用、就業体系の柔軟化による女性の戦力化等多くの課題が浮き彫りになってくると考えられる。

(3)現状の傾向が続くようであれば雇用情勢は底堅い状況が継続すると思われる。ただし、政治によるイベントリスクは高まっており、一辺倒の上昇は考えにくく、常に一定の下落リスクは考慮すべきだろう。当社事業も現状は順調であり、基本的には業容拡大傾向ではあるが、上記のような突発的な事象が起こる可能性は常に考慮しつつ成長を続けていきたいと考えている。

パソナ

パソナ パソナキャリアカンパニー 
久保昭仁 取締役専務執行役員 人材紹介事業部門長

(1)引き続き、専門職を中心に人材需要は旺盛。ただ、米国・欧州・中国・新興国など、海外の政治・経済の影響により減速の可能性もある。日本は少子高齢化・東京五輪の影響でマクロでは人手不足傾向がしばらく続く。

(2)いかに優秀な人材を採用するか、また社員のリテンションが課題。ダイレクトリクルーティング、リファーラルリクルーティング、グローバルリクルーティング、AIによるマッチング等が企業でどれだけ進むか。

(3)ニーズが高まっている女性と管理職(45歳以上)の分野を強化していく。また、社員教育を充実させ、社員の早期戦力化を図り、コンサルタント一人一人がより顧客満足度の高いサービスを提供できるよう取り組む。

MS-Japan

MS-Japan 
井川優介 取締役 JSC事業部長 兼 JS西日本事業部長

(1)17年は、米大統領の就任による動向が気になるところではあるが、世界経済に大きなマイナスを与える見込みは少なく、日経平均や円も安定して推移することが見込まれるため、企業の人材需要も引き続き旺盛になることを見込んでいる。特に当社が得意とする管理部門人材のニーズは高く、事業の国際化やスピード化が求められる環境下で外部から会計・法律・経営分野のスペシャリストを招き入れる必要性がますます高まるだろう。

(2)人材確保が困難になっている環境下では、企業のダイバーシティへの取り組みと働きやすい職場作りをどれだけ本気で取り組めるかにかかってくる。ダイバーシティという意味では、「女性活用」「シニア活用」などが現実的だと考える。一方で、このような取り組みをしたくてもできないステージにある企業が優秀な人材を確保したい場合は、その企業や代表者の「夢やビジョン」に共感してもらうしかない。これはと思う人材に出会えば全力で夢を語って欲しい。

(3)おかげさまで16年12月にマザーズ上場をさせていただき、管理部門(会計・人事・法律・経営分野)と士業部門(会計士、税理士、弁護士)の方々の採用・就職支援にはこれまで以上に力を入れていきたい。また、新規事業のWEBサービスも始まる予定で、これまでとは違ったルートでの求職者確保も可能になるため、他社にはない独自の人材情報の提供で社会に貢献したい。

アクシアム

アクシアム 
渡邊光章 代表取締役社長

(1)地方経済の活性化次第で今後の雇用情勢、人材需要が決まってくると思われる。また同時に、金融、経済、そして世界的な政治リスクの状況が、特に17年は日本の雇用環境にも大きく影響を及ぼすと考える。

(2)地方経済をいかに活性化していくか、女性の労働力をいかに活用できるか、そのための雇用対策が具体的かつ早急に整備されるかどうか。これらは国の重要課題だが、同時に企業経営において各企業が取り組む喫緊の課題であると思う。

(3)地方経済の活性化につながる、経営改革を推進できる経営人材の紹介や、中堅企業のグローバル化を実現できる高いスキルと実績を持つ人材の紹介に力を注ぎたいと考える。また、ベンチャー企業や起業家の支援、さらには女性経営者の育成・発掘・紹介にも取り組んでいきたいと考える。

テクノプロ・キャリア

テクノプロ・キャリア(現テクノブレーン) 
北川太 代表取締役社長

(1)17年も採用は最重要の企業課題となる。エンジニア職では回路設計、機械設計、組込制御などの開発系のニーズが高く、新技術、IoTやIoEの発達、増産に伴う設備投資の増加などを背景に、自動車や産業用機械をはじめ、幅広い業界で人材獲得競争が続く。生産技術、制御設計、品質管理に関わるエンジニアも求められる。それに伴い、年齢や経験業界に捉われず、他業種であっても同様の技術・製品の経験者であれば即戦力として採用する企業が増えている。また、国内のみならず海外、特にアジア圏にも採用の幅を広げ、グローバルに最適な人材を求める動きが強くなっている。一般的な採用ソース・手段を駆使しても、最適人材が採用しづらい状況が続くだろう。

(2)採用手段の最適化と新たな採用手法へのチャレンジが採用成功の鍵となる。選考基準・プロセスを見直し、ダイレクトリクルーティングや転職エージェントの能動的な利用、リクルーティングメッセージの再考など、多様な手段を検討し、本気で採用に注力すべき。例えば、人事担当者が会社説明を兼ねてふるい落とすのではなく、トップ自らが一次面接を行って候補者の入社意志を高めて選考に入るなど、相互理解とスピードアップを達成するためのカスタマイズが必要と思われる。これまで定石とされた採用方法にこだわらず、HRテックをはじめとする最先端の採用手法にも目を向けなければならない。海外ではすでにその流れが生まれている。常にトライを繰り返し、マーケットの先取り姿勢が採用成功につながる。

(3)テクノプロ・グループでは、企業の海外技術者の直接採用を支援するため、外国人技術者の就転職ニーズと企業の採用ニーズをWeb上でマッチングするオンライン採用プラットフォームサービスを開始。SNS連携・コミュニティ機能やスキル判定テスト機能、マッチング支援機能を有することで、外国人技術者の国内での就転職におけるミスマッチの解消、企業の要求スペックに的確・迅速に対応する。こうした新サービスを皮切りに、当社ではエンジニアの人材紹介みならず、海外人材の採用や、企業の採用の全般を支援するサービスを順次展開していく。採用のプロフェッショナルとして、企業の採用を成功に導くサービスの立ち上げ・拡大に努め、ハイレベルかつ対応領域の広い採用エージェントを目指す。

マンパワーグループ

マンパワーグループ 
池田匡弥 取締役代表執行役社長

(1)マンパワーグループ雇用予測調査17年第1四半期結果では、調査対象の1113社中、25%の企業が「17年1月から3月の雇用計画について16年10月から12月に比べて増員する」、「変化なし」が47%、3%が「減員」と回答。16年第4四半期以降の最高値となった。業種別では「鉱工業・建設」が昨年に引き続き17年も活発な雇用活動が予測される。また、企業の規模別では小規模(49人以下)の組織において、16年比で雇用意欲が顕著な増加が見込まれている。

(2)継続的な人材不足に対応するため、新たな人材採用戦略が求められている。特に、有期雇用・無期雇用問わず「即戦力」を求めてきた企業には、人材不足解消のため、未経験であっても、採用後に活躍できる人材を見極める「ポテンシャル採用」の導入や、そのような人材を育成する環境の整備・能力開発のためのプログラムを検討することが必要とされている。

(3)16年11月にスタートした無期雇用型派遣サービス「M-Shine(エムシャイン)」の拡大をはじめ、総合人材サービス会社として「人材採用」から「育成・能力開発」「評価・制度設計」まで企業の課題に対応するソリューションの提供を強化する。

キャリアエピソード

キャリアエピソード 
備海宏則 代表取締役

(1)これまでの正社員としての働き方がITの進化に伴い多様化してくると思う。また、同時にダイバーシティ、ワークライフバランスなどの考えが浸透し実践している企業が増えてくると思う。業界としては引き続き「IT業界」、「ヘルスケア業界」を中心に採用増加が続くと思う。ただし、同じ業界でも個別企業による差、地域差も出てくると思う。

(2)ダイレクトリクルーティングの活用と成果が問われてくると思う。なかなかここ数年叫ばれていたものの成果の出ていない状況であったが、思い切ってインハウスにダイレクトリクルーティング専任リクルーターを抱え本格的に成果を出し始めた企業が少しずつ出てきたと思う。また、RPO(採用代行)も活用は増えたものの成果にバラツキあり、どう良い業者を見つけうまく付き合っていくかがポイントになると思う。

(3)当社としては引き続きエグゼクティブ・サーチとRecruitment Process Outsourcingの2本立てのメニューにてサービスを提供していきたいと思う。人材業界も活況で自社社員を増やしてクオリティーが下がっているところも見えるが、当社としては規模を追わずにハイクオリティーにこだわっていきたいと思う。

ヘイズ・スペシャリスト・ リクルートメント・ジャパン

ヘイズ・スペシャリスト・ リクルートメント・ジャパン 
マーク・ブラジ マネージング・ディレクター

(1)17年はインダストリアル・インターネットの普及からデジタル技術とマニュファクチャリングの知識を兼ね備えた人材に注目が高まると見ている。また、AI技術者、自動運転技術者には引き続き高い需要が見込まれており、限られた人材を巡る獲得競争はさらに激しさを増すと予想する。

(2)我々が世界33カ国の労働市場における人材の需給効率を調査した「グローバル・スキル・インデックス」によると、日本の「人材ミスマッチ」のスコアは米国や英国と並んで世界最悪レベルとなっている。技術の進化のスピードに人材のスキルが追い付いていない状況を意味しており企業は、報酬の見直し、働きやすい環境の整備、トレーニング制度の拡充など自社の魅力を高める策を講じるとともに、人材の流出を防ぐ努力が求められる。

(3)ヘイズは英国に本社を置き、世界33カ国に展開する世界最大級のスペシャリスト人材紹介会社。正社員だけでなく、契約、派遣、採用アウトソーシング(RPO)、ITソリューションズ(業務委託)の4つのサービスを展開しており、クライアントの課題に最適なソリューションを提供する。

プライマリー・アシスト

プライマリー・アシスト 
石山知良 代表取締役社長

(1)国内においては、人口減少、少子高齢化による若年労働力不足の常態化により、経済環境の影響如何に関わらず本年度も多くの業界で求人数増加が見込まれる。法定雇用率に精神障がい者が追加されることで、大手企業を中心に受け入れ体制の整備が始まりつつある。大手企業の求人が活発な間、中堅、中小企業における採用需要の厳しさは変わらないが、先を見据える企業においては、経済産業省が認定する「健康経営優良法人」認定制度を早々に取得に向け動き出しており、企業格差が拡がっていく。

(2)若年層社員におけるメンタル不調者の比率が高まっており、新卒採用における難しさを感じている企業が少なくない。また全ての業界共通にリーダー職不足がおきており、採用から入社後フォローまで一貫した活動を始めている企業が組織力強化につながっている。採用の課題はむしろ、採用後の育成がより重要な時代になっており、入社後サポートとして教育メンターの存在がかかせない。また医療職を新規に配置し、新卒、中途を問わずセルフケア教育等のサポート体制を充実し、人材定着を図る法人が増加している。

(3)東証・経産省が認定した「健康経営銘柄」が、新卒を中心とし中途採用時における集客へつながっており、さらに昨年度開始したホワイト500(健康経営優良法人認定制度・大規模法人部門の部)の取得を目指す企業が増えているが、中規模法人部門においては取り組み社数が極めて少なく、大手・中小の格差がさらに拡大してしまう。当社では、従来通り大手企業との取り組みはもちろん、法人規模が小さくなる大手企業のグループ会社、もしくは中堅・中小向けの従業員健康支援を拡大している。精神障がい者採用における体制の整備からも、保健師、精神保健福祉士、国家資格化される公認心理師(現臨床心理士)の配置を検討する企業に対し、様々な角度でサービス展開をはかっていく。

キャリアビジョン

キャリアビジョン 
生野慶一 代表取締役

(1)国内企業では、グローバルな販路の拡大におけるスピード感が高まる中、海外売り上げのシェアの拡大を重大な課題として捉え、各国に受け入れられる商品やサービスの開発に伴い、より一層採用に力を入れる傾向にあると考える。

(2)競合他社が面接回数や選考スピードを加速させているため、選考基準が緩くなっている企業が多い。しかし、求職者の企業研究が不十分な場合も多く、ミスマッチによる入社後のトラブルが原因で会社の印象を損なう危険性もはらんでいる。面接の精度をあげる施策を取り入れるとともに、専門人材を採用する場合を見越して、採用に関わる部門の責任者から協力体制が得られる関係性を人事は日頃からしっかりと構築すべきと考える。

コンコードエグゼクティブグループ

コンコード エグゼクティブグループ 
武中康泰 社長室/エグゼクティブコンサルタント

(1)16年に引き続き、即戦力のリーダー人材を求める傾向はより強くなるだろう。ビジネスサイクルの短期化やグローバル化に伴う競争スピードの激化に伴い、企業の大小を問わず、海外進出やM&Aによる業容拡大、インターネットを活用した新規事業へ生き残りをかけて取り組む必要が出てきている。こうした各分野でビジネスを加速させることのできる即戦力の経験者人材は、さらに引く手数多となるであろう。また、AIやフィンテックなどの新技術に関するスペシャリストのニーズは高まるばかりで、多くの企業で活発な採用が継続されると予想する。

(2)「リーダー人材」となるような優秀な若手層に関しては、第二新卒クラスの求職者も増えている。経営者として必要な経験を積める環境や抜擢人事など、魅力的な制度・キャリアパスを提供できなければ、実力主義で評価されたいと考える優秀な若手のリテンションに苦労するだろう。また、競争の激しい若手層の採用に固執せず、経験豊富で即戦力となる優秀な女性やシニア・エグゼクティブ人材の採用を進める必要がある。この場合、ダイバーシティや柔軟な働き方を整備し、その魅力を伝えられるかが採用上の重要なポイントとなる。

(3)当社は、次世代リーダー人材の紹介に加え、シニア・エグゼクティブ層の人材紹介をさらに加速していく。日本の経済発展を支えてきた大企業や世界的に著名な外資系企業、新進気鋭のベンチャー企業から採用に関する問い合わせを数多く頂いている。当社の積み上げてきたネットワークを駆使し、一流のエグゼクティブ人材を紹介することで、企業の躍進に大きく貢献する事例が更に増えていくだろう。人材紹介事業以外では、ソーシャルイニシアティブの取り組みを拡大させる。学校教育へキャリア設計のノウハウを普及する活動や、投資を通じた社会起業家の支援など、真に豊かな社会の実現に貢献していく。

フジキャリアデザイン

フジキャリアデザイン 
森英昭 取締役人材紹介部長

(1)求人企業は数多く、新卒が採れなければ中途採用を、でも東京五輪後の景気の冷え込みの予想がつかず、「いい人がいれば採用」が続くと思われる。業種・職種・ポジションは企業によってまちまちで、引き続き60歳以上の雇用も課題になる。いわゆる正社員は増加し、問題続出の非正規雇用は減少していくと考える。

(2)同一労働同一賃金の拡大により、正規・非正規、正社員・契約社員・派遣社員の壁が低くなっていく中、企業側が誰でもでは良くない仕事を行う人材を望むのは当然だが、魚の数は増えないのに釣り人が増えて池が広くなる、つまりこれまで以上に良い候補者を探すのが困難になるのではないか。

(3)サイトのAI化により情報量の多い大手が有利な情報操作が行われるが、まだAIが検索中心で未熟なため、人の手を介する丁寧な人材紹介もしばらくは生き残ると考える。当社ではAIが優秀になるまでは人が手を掛ける価値のある人材紹介を丁寧に行っていく。

SUCCESS21

SUCCESS21 
仲直樹 エグゼクティブコンサルタント

(1)銀座エリアの商業施設オープンなどもあって、ラグジュアリーブランドは販売職の採用が引き続き盛況になることが見込まれる。業界経験者を求める傾向は高止まりが続くと思われる。

(2)業界全体の募集意欲が高い分、既存社員へのしっかりとしたフォローを怠ると、次から次へと人材の流出が起きる危険性がある。人材紹介などを通じた採用活動を行う場合は、担当コンサルタントに対する詳細な情報提供やスピード感を意識した選考日程、選考結果がNGの場合の明確な理由を伝え、フットワークの軽さ、歩み寄りができるスタンスなど優先的に人材を紹介される関係性の構築が重要と考える。

リネアコンサルティング

リネアコンサルティング 
大森崇 代表取締役社長

(1)17年は米国や韓国など主要各国の首脳交代、英国のEU離脱後の影響、中国経済の低迷などを背景に経済の不確実性が高まり、各国とも08年のような世界同時不況に対する警戒感が増すと思われる。一方で企業の採用においては人材需給がひっ迫する状況が続き、コンサルティング業界においても若手即戦力やグローバル人材、AIやセキュリティといった新領域の人材の枯渇感は続く。

(2)人材採用が厳しい状況下では入口だけではなく出口の対策も重要であり、優秀な人材を企業に留めておくために、報酬だけではなく、機会、環境、教育なども含めたリテンション施策の実施が求められる。

(3)新領域への対応案件などを中心にコンサルティング業界の紹介は引き続き強化しつつ、事業会社のポストコンサルやエグゼクティブ層の紹介を強化する。また、リテンション強化の支援なども実施していく。

インターウォーズ

インターウォーズ 
渡辺浩 人材紹介事業部取締役エグゼクティブコンサルタント

(1)当社は紹介業と別にインキュベーション支援事業を行っているが企業内新規事業の立ち上げニーズが非常に多くなっていることを感じる。事業立ち上げ、事業を任せられる経営人材のニーズが増加するだろう。

(2)市況が盛り上がっていてもエグゼクティブ人材に企業は妥協をしない。そういった意味では優秀な人材には複数のオファーがあり、オファーのない人材には全くないのが現状。スピード感のない採用プロセスでは他社との競合に勝てないしトップ自らが採用に動かない企業は幹部採用が厳しくなる。

(3)シニア、女性の活用がよりフォーカスされる。当社でも顧問や社外取締役の紹介を強化していく。

プロフェッショナルネットワーク

プロフェッショナルネットワーク 
田口朗 人材紹介事業部長

(1)特定の専門性を持つ人材、グローバルに対応できる人材の需要は今後も旺盛な状態が続くと思われる。

(2)企業のキャリア人材需要は引き続き堅調に推移すると思われるが、特定の年齢層への需要の偏りはなかなか改善されない。このために、需要と供給のアンマッチ状態は続くと思われる。特に専門性の高い職種では人材の争奪戦のような状態となっており、1年かけても採用ができないポストも多く存在する。企業側には、活用できる人材の幅を拡げていくダイバーシティの推進と意識改革がさらに求められよう。

(3)今年度より、中国の企業への人材紹介を開始し、高年齢ではあるが高度な専門技術を持つ人材の紹介成功事例が多くつくることができた。次年度についても自動車業界を中心にあらたな紹介先の開拓ときめ細やかな対応(企業側にも紹介人材側にも)を心がけていきたい。

日総ブレイン

日総ブレイン 
清水智華子 代表取締役社長

(1)人手不足から来る人材需要は変わらず続く。IT系や五輪需要を見据えた採用(施工管理など技術系、翻訳系)が増えてくる。また、優秀な人材確保のために、例年より採用を前倒しにするなど、企業は例年と違った動きが出てくると見ている。

(2)企業が求める条件での人材獲得はさらに難しい状況。その中でも大企業に比べて、中小企業は人材獲得にますます苦戦を強いられる。重ねて長時間労働の是正も相まって、採用においては今まで以上の条件緩和や多様な人材の受け入れなどが必要。人材育成に重点を置いたポテンシャル採用の推進や、人材確保のための柔軟な受け入れ体制づくりが課題。

(3)利益確保という点においても、お客様の課題解決という点においても、人材派遣に限らず、人材紹介、アウトソーシング、またはグループ企業含めて、総合的に提案をさせていただくことが必要と考えている。そのためのコンプライアンス強化と社員教育の徹底を図る。横浜エリアを中心に地域社会に貢献できるよう努める。

アイムファクトリー

アイムファクトリー 
久利可奈恵 代表取締役

(1)ITインターネット業界は、IoTやフィンテックをはじめとした新しいサービス展開が進んでいくが、ソーシャルゲーム業界などの活況だった企業は一段落したため、全体的な雇用情勢は横ばいになると思われる。全体的に個性ある中小企業が増えてきており、働き方や福利厚生を様々な手段でアピールし、求人媒体に依存せず採用を成功させる事例も増えてきている。キャリアチェンジなども盛んで、業界移動・新しいチャレンジなどが受け入れられる採用風土となっている。

(2)求人媒体も幅とサービスが広がり、人事も自社のアピールだけではなく、採用スピードや人材紹介会社への企業PR・提案力など多岐にわたるアプローチが必要になってきている。受け身の姿勢では採用できなくなってきており、ロールモデルとなる社員の露出や社内制度の見直し、企業風土改革まで着手しなくては、魅力的な人材を確保できなくなると予想される。

(3)新しい事業・サービスで欠かせない「経営戦略を具現化できる情報システム部門のSE」採用や、「システム内製化へシフトしている企業でのプログラマー」採用など、企業成長に欠かせない”社内SE”をキーワードに、日本全国の社内SE求人とエンジニアのキャリア支援を強化していく。

キーンバウム ジャパン

キーンバウム ジャパン/ K.J.コンサルタント 
鈴木悦司 代表取締役社長

(1)米国の利上げも現実感を増しているが、為替市場はそれを織り込み、既に円安基調となっている。円安傾向を背景に輸出企業を中心に企業の業績改善も予想される。一方、労働市場に目を向けると、団塊の世代の市場からの退場、若年層の減少により労働人口の縮小傾向が続く。このような状況を踏まえ、本年も引き続き企業の雇用意欲は高い状況が続くだろう。特に、外国企業のR&D機能の国内設置、業績回復から日本企業の研究開発費の増額などにより、開発技術者の需要は伸びる傾向が続く。日本企業においては海外の技術、開発拠点との連携の必要性などにより、“英語で仕事ができる“技術者の人材が不足する。

(2)このような状況下で、概していえば、外資、日系を問わず専門性を備えた、高齢者、女性、外国人の採用についてより積極的になっている。ただ、その際、問題となるのは受け入れ体制の整備だろう。確かに、一部企業では、在宅勤務制度、フレックス制、あるいはハラールメニューの導入といった対策がなされているが、ここでいう体制の整備とはこれらの人々を受け入れる働き方、企業文化といったソフト面での体制作りも含まれる。ダイバーシティマネジメントの重要性がより現実的な人事課題となろう。

(3)人材を探し、紹介することだけに付加価値を見出す会社は淘汰が進むのではないか。当社としては候補者に対し、クライアント企業の業容、職務内容のみならず、その会社の風土、職場の雰囲気といったものも正しく理解してもらうべく努力をしたい。ドイツがオリジンのコンサルタント会社という生い立ち上、得意先は外資系企業が多いが、日系大手企業においては海外との、あるいは海外で、仕事ができるスタッフ職、また日系の中小企業では、これも圧倒的に不足している、海外でのビジネスデベロップメント、マネジメントができる人材の発掘に尽力したい。

アルバイトタイムス

アルバイトタイムス 
平山雄一 外国人採用支援室 室長

(1)外国人採用の面で言えば、昨年に引き続き各企業における人材確保(戦力)として、正社員やアルバイト・パートの需要が拡大していくと予測される。しかしながら、これまでは単なる「人手不足解消」の対策として外国人採用をしていた企業も、これからは企業の採用基準により沿った「厳選採用」の傾向が高まっていくと感じている。

(2)外国人採用といっても、日本人採用と同様に企業側が求める条件で必ずしも採用ができるものではない。国籍の違いはもちろん、中途から新卒、そしてアルバイト採用までにおいても、その特性を踏まえ、採用から育成まで対応できることが、結果、定着・好循環につながる。採用の現場は効率化が求められている中、どれだけ「対話」と「個別対応」できるかがキーポイントであると考える。

(3)企業の採用活動が加速する中、人材リソース形成が事業の重要課題と考えている。これを踏まえ当社は外国人採用の中でも、注目度の高いミャンマーを中心に、サービス展開を行っている。圧倒的なボリュームの人材リソースを基に、年2回実施の「ミャンマージョブフェア」をはじめ、現地及び国内の両軸で、ワンストップで企業のニーズに応えている。

ランスタッド

ランスタッド 
猿谷哲 代表取締役社長兼COO

(1)一億総活躍社会実現に向けた取り組みや、女性活躍推進法の施行、好調な景況感を受け、16年は多くの人が労働市場に参加し、失業者が減少、特に女性の失業率が低下した。17年も、引き続き企業の人手不足感は強まっており、このトレンドは今後も続くと見られる。また、人材の需給が高まる中、ワークスタイルの多様化も進んでいる。人材確保に向けて求人企業の中には、フルタイム勤務にこだわらず、求職者のニーズに合わせて「時間短縮勤務」や「在宅勤務」を導入するケースも見られ始めている。

(2)来年18年は、労働契約法に定める有期から無期雇用への転換や障がい者の法定雇用率引き上げ、精神障がい者の雇用の義務化など、人材市場に大きく影響する法制度改変の年となる。また、昨年末に発表された同一労働同一賃金に関するガイドラインを踏まえ、「働き方」を抜本的に見直す必要があるだろう。17年は翌年の法制度変更を見越した人材の採用や社内制度の整備が進む年となると予測される。我々としても、クライアント企業に向けて、改正内容の啓蒙やソリューションの提供を進めていく考えだ。

(3)少子高齢化による労働力人口の減少は年々深刻さを増している。そのような状況の中でエンプロイヤーブランディング(勤務先としての魅力度向上)は、人事戦略という枠を超え、今や企業存続のための経営戦略だ。ランスタッドでは10年以上にわたり企業のエンプロイヤーブランドを調査しており、世界にベストプラクティスを有している。今後はそのノウハウをサービスとして提供していきたい考えである。また求職者・就業者側には、キャリアアドバイスやカウンセリング等を通じ、その人のキャリア人生を継続的にサポートしていく。今後も良質なサービスの提供で、ランスタッドの存在価値を上げたいと考えている。

ヒューマネージ

ヒューマネージ 
齋藤亮三 代表取締役社長

(1)求人倍率は雇用形態を問わず高止まりの状況で、予想より長引いているというのが正直な印象。新卒採用においては、3月採用広報開始、6月選考開始という、前年と同じスケジュールではあるが、広報解禁前(いわゆるプレ期)の活動も含め、早期化・短期決戦化がますます進むと思われる。一部の大手・人気企業を除き、採用する企業側には厳しい状況が続く。

(2)新卒採用では、採用広報期間の短縮をうけ、学生は知っている企業のみへ応募する“決め打ち”の傾向が、企業は昨年の経験から、採用活動の早期化・選考の短期決戦化の傾向がより強まると予想される。双方あいまって、現在、「はじめから自社への志望度が高い」一部の応募者のなかから、「求める人材への合致度合が高い」人材を採用する傾向が強まっているが、厳しい環境下で採用成果を実現するためには、「求める人材への合致度合が高い」が「はじめから自社への志望度が高いわけではない」層と出会い、志望度をあげ、採用する人材へ引き上げていく施策が、新たなカギを握ると考えられる。

(3)前述の環境下、新卒採用の難易度はますます高くなっており、採用成果実現のためには、採用戦略の立案、母集団形成、相互理解の促進、確実に入社につなげるフォロー、入社後の早期戦力化(オンボーディング)、業務効率化など、多種多様な課題を解決する多面的な視点が必要となる。人材採用におけるHRテックを推し進めるのはもちろんのこと、多岐にわたる課題に具体的なソリューションを提供できる戦略パートナーであり続けるために、人材の採用から定着までを支える、独自のサービス創出に引き続き取り組む。

ブラックピジョン

ブラックピジョン 
ホック エムダド 代表取締役社長

(1)BtoC関連業界では、外資系を中心に、商品ごとの消費者ターゲットや地域をとてもピンポイントにセグメントしていることから、若者には、デジタルマーケティングやWeb広告投資を積極的に行い、シニア層向けには、雑誌や紙媒体による広報宣伝を行うなど、戦略的な商品プロモーションのために精通したマーケティング実績を持つ経験者ニーズが非常に高い。日系企業では、大手を中心に海外での売り上げ拡大を目指し、日本で人気が出た高品質な商品やサービスなどを富裕層中心に受け入れてもらうため、各国のニーズに対応し、打ち出す動きが強まっていることから、海外戦略実績のある語学が堪能な経験者が求められるだろう。

(2)企業は条件が完璧にあう人を採用しようとする傾向が未だに強く見受けられる。ビジネスサイクルが早い中で、例え業界未経験でも、会社の風土にマッチする候補者で、強いパッションと多様な考えを持つ人材を受け入れる寛容性を企業は容認できる環境を築くことは重要と考える。また、企業は離職防止策として従業員に対し正当な評価と互いの意見を交換する場を定期的に設け、働きやすい雰囲気を大切にする必要がある。採用は企業が成長を遂げる上では一過性に留まらない。人材採用経費をSNSなどに頼り、目先のコストダウンだけに飛びつくのでなく、継続性のある戦略を立て優秀な人材の採用に向けた活動を行うことで中長期的には一番良い結果(売り上げの拡大、会社ブランド向上)が得られる可能性があることをしっかり意識すべきと考える。

(3)人材業界全体の動きとしては昨年と大差ないかと予測する。当社は、17年、エグゼクティブ・サーチに加え、ファッション・リテール分野のサーチを強化する。また、市場でのマネージャー、管理職の年齢が上がり退職が増えていることから、管理職の採用も継続して強化予定。

バンテージポイント

バンテージポイント 
南健司 日本代表パートナー

(1)コンサルティング業界の業績は昨年に引き続き好調であり、人材採用についても引き続き上昇傾向ではあると予想している。業績の好調(プロジェクトの増加)に伴い、プロジェクトを管理できるマネジャー人材の需要が特に増加するとみられる。また、それに合わせた中間管理職の育成の強化、プロモーションの早期化が予想される。

(2)人材獲得競争はコンサル業界に限定されず、資金調達を行ったベンチャーや、グローバル人材ニーズ需要の高い大手企業も参戦しており、優秀人材の確保はタイトになることが予想される。また、中途採用ニーズが増加する反面、折角採用した人材をどうリテインするかがコンサル業界の課題になっている。

(3)より良いサービス提供に向け、社内の人材育成および海外オフィスとの連携を強化。独自のネットワークを生かしたファンドの投資先等のマネジメントクラス、事業会社やポストコンサル案件の提供サービス展開を強化したい。また、海外から日本へ、特にアジアの優秀な人材採用のベースを創る為、RPO等で中長期的に企業をサポートする基盤を築いていきたい。

Donuts

Donuts 
倉知正行 ジョブカン採用管理 プロダクト責任者

(1)より人材の流動性が増し、特に中途が主要都市圏を中心に増加すると思われる。働くことに対する考え方が多様化しているため、派遣だけでなく正規雇用においても、IT関連を中心により自由な働き方をする企業や人が増えていくと思う。また、多様なメンバーをマネジメントする人材もより重要性が増していく。

(2)多様な人材にどう対応していくか、もしくは多様化を利用し戦略的な採用を行うことが必要になってくる。さらに一歩進め、企業の戦略に採用活動を組み込み、より効果的にPRすることでその企業にとって良い人材の採用を有利に進められるのではないかと思う。

(3)採用活動をよりスムーズに、より有利に進められるよう、お客様の意見をいただきながらジョブカン採用管理の機能拡充・改修をハイペースに行っていく。また、企業運営をサポートする新たなサービスも予定している。

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