- 人材不足は構造問題、中途採用ニーズは高水準
- 人的資本経営の実現へ採用戦略を再構築
- 主要人材コンサルティング会社アンケート「2023年 企業の人材需要と採用の課題」
- ワークス・ジャパン 清水信一郎 代表取締役社長
- レックスアドバイザーズ 岡村康男 代表取締役
- ロバート・ウォルターズ・ジャパン ジェレミー・サンプソン 代表取締役社長
- リネアコンサルティング 大森崇 代表取締役社長
- リス 木村亮郎 代表取締役
- みらいワークス 岡本祥治 代表取締役社長
- リクルート 藤井薫 HR統括編集長
- プロフェッショナルネットワーク 木村善行 職業紹介責任者
- プライマリー・アシスト 石山知良 代表取締役社長
- ヒューマンリソシア 御旅屋(おたや)貢 代表取締役
- テクノブレーン 北川太 代表取締役
- パーソルキャリア 大浦征也 執行役員 エージェント事業本部 事業本部長
- ディスコ 新留正朗 代表取締役社長
- 島本パートナーズ 秦一成 代表取締役社長
- ジェイ エイ シー リクルートメント 田崎ひろみ 代表取締役会長兼社長
- コンコードエグゼクティブグループ 竹端直弥 プリンシパル
- KMF PARTNERS 吉田亜紀子 Sales&Marketing division Director
- 経営者JP 井上和幸 代表取締役社長・CEO
- クレドス 田中潤 代表取締役CEO
- キーンバウム ジャパン/K.J.コンサルタンツ 鈴木悦司 代表取締役社長
- キャリア・デベロプメント・アソシエイツ 田辺晃 代表取締役社長
- キャリア インキュベーション 赤池辰介 マネージングディレクター
- エリメントHRC 清水潤次 取締役
- MS-Japan 松林俊 執行役員人材紹介事業部長
- アクシスコンサルティング 伊藤文隆 常務取締役
- AIMSインターナショナルジャパン 桑原雅彦 代表取締役社長
- アンテロープキャリアコンサルティング 佐藤史子 シニアディレクター
人材不足は構造問題、中途採用ニーズは高水準
企業の人材採用を支援する主要コンサルティング会社の事業責任者を対象に本誌が実施したアンケート調査では、2023年の日本の雇用情勢は「良くなる・やや良くなる」との回答が78%となり、コロナ禍によるさまざまな規制が撤廃されて経済活動が再開したことなどを受けて、採用競争が激化する見通しだ。
また「構造的な人材不足は変わらず、採用活動は活発」(リクルート藤井薫HR統括編集長)、「人材需要は景況感とは別次元の社会構造的な問題。これまで日本が経験したことのない『人材難・新時代』」(経営者JP井上和幸社長)など、労働力人口の減少による人材不足によって、企業が積極的に人材を確保する動きは続くと見る事業責任者が多い。
企業の人材採用数は、新卒、中途、アルバイト・パート、派遣のいずれも「増加・やや増加」が大きな割合を占めている。特に中途採用については、前年同様「増加」が6割に迫り、即戦力人材を求める中途採用ニーズは高い水準が継続しそうだ。
コロナ禍以降、企業が確保を急ぐデジタル人材については「データ活用に長けている人材やDX人材に対するニーズは引き続き顕著」(パーソルキャリア大浦征也執行役員)、「役割や求められるケイパビリティも多岐にわたっている」(アクシスコンサルティング伊藤文隆常務取締役)など、引き続き高い需要が見込まれている。
DX支援サービスを利用する企業が増えているため、コンサルティング業界の人材紹介会社アンテロープキャリアコンサルティング佐藤史子シニアディレクターは「若手のポテンシャル人材も含めた人材の獲得競争は引き続き継続」とコンサルタント採用の拡大を予測する。
「EV関連、半導体、制御系のエンジニアなどは埋まっていないポジションを継続して募集。グリーントランスフォーメーションに伴うESG戦略や素材開発のニーズ」(キャリ ア・デベロプメント・アソシエイツ田辺晃社長)、「マーケティング、営業職は引き続き一定の需要があり、最近需要が高まってきているのがCRM、CX/UX」(KMF PARTNERS吉田亜紀子Director)など、2023年も新規事業、製品開発や拡販をけん引できる専門人材を多くの企業が求めている。
「日本企業の海外における採用需要もコロナ政策で制限が続いた中国を除き、アジア、欧州、北米とも回復」(ジェイ エイ シー リクルートメ ント田崎ひろみ会長兼社長)などのグローバル関連の人材需要、社外取締役として「多角的・本質的・実質的に貢献できる経営者経験のある女性人財」(島本パートナーズ秦一成社長)のようなガバナンス強化のためのニーズも見込まれている。
●2023年 日本の雇用情勢・人材採用の増減(回答集計)
人的資本経営の実現へ採用戦略を再構築
高度人材は争奪戦が続き、人材マーケットにおける候補者は枯渇している。特定の候補者には複数企業からオファーが集中するため内定辞退も相次いでいる。新卒を計画通り確保できない企業が第二新卒採用を強化するなど、人数が少ない若手はますます貴重になっている。アルバイト・パート、派遣社員も応募を集めることすら難しくなっている。
もはや対処療法の取り組みでは事業運営に必要な人材を獲得できない状況にあることから、賃金水準の見直しはもちろん、能力開発やキャリア支援、心理的安全性に配慮した職場環境の整備やマネジメントの改善などに全社で継続して取り組み、自社で働く魅力を高めていかなければならない。
テクノブレーンの北川太社長は「生産性を高めるために努力する企業姿勢、多様性に対応したキャリアプランを描く姿勢、人材流出を防ぎ物価高に対応するための賃金水準の向上、ジョブディスクリプションの明確化や入社後のキャリアプラン提示などの具体的なコミュニケーション」が採用力の強化に必要と指摘する。
採用した人材が早期退職したり思うような成果を上げられないケースが増えていることから、新卒採用支援のワークス・ジャパン清水信一郎社長は、最近の若者の働く価値観を踏まえて「将来どんなことができる人材になりたいかをしっかり議論できるよう、企業の方向感を踏まえた実践的な情報提供の充実」を訴える。中途採用においても「単純に好条件を提示すれば良いのではなく、 その企業で働く意味や意義を伝えることが重要」(リネアコンサルティング大森崇社長)など、企業と候補者の価値観のマッチングを重視するコメントが目立つ。
2023年は上場企業に対して人的資本情報の開示が義務化され、企業がどのような人事施策に力を入れているかが注目される年になる。人的資本経営を実現していくためには付加価値を生み出す人材が欠かせない。定着・育成施策と連動した採用戦略を再構築し、持続的な人材確保を目指す取り組みが本格化しそうだ。
主要人材コンサルティング会社アンケート「2023年 企業の人材需要と採用の課題」
回答1.企業の人材需要
回答2.企業の人材採用の課題
回答3.人材業界の展望、自社の事業・サービス展開
ワークス・ジャパン
清水信一郎 代表取締役社長
- ここ3年にわたりコロナ禍、ウクライナ、ロシア情勢等の影響で経済が停滞していたこともあり、2023年以降、現状の懸案事項の方向性が見えてくれば、人材需要はしばらくは拡大していくと考えている。DXによる業務の合理化・省力化の労働力省力化への効果はまだ限定的で、また生産年齢人口は今後も下降トレンドが続くことから、「人手」需要は充足せず、不足状態が続くと考える。
- 働き方改革=働きやすさの追求、と理解する労働者が多くなっていると感じる。常に自分のやりたい仕事を追い求めたり、成果以前に、フレックス勤務やリモート勤務を望む風潮も見られるが、「~やすさ」の求め過ぎはかえって仕事のやりがいの喪失につながるのではないかと危惧している。特に若者の仕事に対する価値観は、多様化とともに自分の事にしか関心がない「私事化」の方向に向かっているようにも思え、果たして企業という集団、組織の中で能力を発揮できるのかかなり危うく感じている。こうした背景のある中で、自社に適合した人材を採用するには、目の前の「やりたいこと」議論にただ呼応するのではなく、将来どんなことができる人材になりたいかをしっかり議論できるよう、企業の方向感を踏まえた実践的な情報提供を充実させ、見極める選考スタンスを堅守することではないだろうか。また、円安の影響もあって、日本の賃金水準の低さが浮き彫りになってしまい、新卒、中途を問わず、労働対価に対する適切な見解の有無が今後の採用成果にも大きく影響してくるのではないかと考えている。
レックスアドバイザーズ
岡村康男 代表取締役
- 成長計画のある企業、もしくは変革が必要な企業にとって、新たな人材需要は更に高まるものと予想。
- ①採用後の定着:転職しやすい時代となり人材が流動化する一方で、定着に課題を持つ企業が多くなっている。②既存人事制度との兼ね合い:欲しい即戦力人材が既存の人事制度の枠に収まらないケースがあり、柔軟運用が求められている。
- 採用手法の多様化により人材採用マーケットは拡大するが、参入するプレイヤーも増えて競争は激しい。当社としては、会計・税務・財務等ファイナンス系職種人材に関して、会計士、税理士などのハイスペックから経理スタッフ、派遣・パートまで、企業のステージに応じた採用支援を可能にし、顧客満足の高い独自サービスを練り上げていく。
ロバート・ウォルターズ・ジャパン
ジェレミー・サンプソン 代表取締役社長
- 日本では多くの企業が慢性的な人材不足に陥っており、コロナ禍で下向いた有効求人倍率も2022年は上向きの傾向が続いた。今後も引き続き人材不足が予想されること、また欧米と比較するとインフレ率は低いものの、多くの企業がインフレを懸念し人材確保が難しくなると予想していることから、特に優秀な人材の「採用」と「離職防止」がカギとなることが予測される。特に経験のあるシニア・係長職の人材への需要が非常に高まっている。
- コロナ禍以降、プロフェッショナルは企業に給与だけではなく、柔軟なワークスタイルも求めており、人材需要の高い分野・職務では、より良い「給与」と「待遇」を掲げての人材獲得競争が激化している。人材不足の中、労働市場の需要の変化に対応するためにも、プロフェッショナルは自身のリスキリングにも力を入れ始めており、企業も同様の理由から、社員のリスキリングをサポートすることが必要になっていく。また、優秀な人材を獲得し保持するため、年功序列型から、スキルを給与に反映しやすいジョブ型への給与体系へ移行を進める企業が増えるだろう。
- ロバート・ウォルターズは、1985年に英国ロンドンで設立されたスペシャリストに特化した人材紹介会社だ。世界31カ国の主要都市にオフィスを構え、日本においては2000年に東京オフィス、2007年に大阪オフィスを設立。主にグローバル人材の転職/採用支援において信頼と実績を築いてきた。日本では正社員、派遣・契約社員の人材紹介をおこなっており、世界有数のトップ企業から新規参入企業、中小企業に至るまで、多岐に渡る業種・職種と幅広い採用ニーズに応えた人材紹介をおこなっている。世界に挑戦するアスリート、アーティスト、各種NPO支援など社会貢献にも積極的に取り組んでいる。
リネアコンサルティング
大森崇 代表取締役社長
- 世界的なインフレを抑制するため、各国が利上げを行う中で日本は金融緩和を維持し急激な円安を招いた。輸入依存度が高い日本の物価は上昇し、家計を圧迫。この厳しい状況は2023年も続くだろう。企業の雇用は二極化し、専門性の高い人材とそうではない人材の賃金格差は広がっていく。コンサルティング業界においては市場の需要が多様化する中で専門性の高い人材の採用はさらに加速するが、慢性的な人材不足からポテンシャル採用やアカデミック人材を採用し育てていくという流れも出てきている。DXブームは続くが、単なるIT化や自動化ではなく、新しい価値の創造が図れるかどうかが日本におけるDXの分水嶺となるだろう。
- 過激な採用競争においては単純に好条件を提示すれば良いのではなく、その企業で働く意味や意義を伝えることが重要となる。企業自体の在り方、社会との関わり方、働き方の多様化など、本質的なダイバーシティ戦略を実現する企業が優秀な人材を惹きつける。
- 不確実性の高い現代において、転職ありきではないキャリア相談のニーズが高まる。単なる案件紹介は機械的なシステムマッチングで済むが、長期的なキャリア形成において血の通ったアドバイスが出来るかどうか、価値が提供できるかどうか、エージェントの真価が問われるように思う。当社は動画などを活用し、積極的にマーケットに対してリアルな情報提供を行っていく。
リス
木村亮郎 代表取締役
- 労働人口の絶対数が減少しているが、需要は増加傾向になる。コロナ禍で停滞していた採用活動が活発になる。
- 日本企業における従来の人事考課制度が、現在の市場から求められている人材スキルを適正に評価できていないため、スキルの高い人材が海外に流出してしまう。求人のニーズが特定の職種、年齢層に集中している。
- 自社サイト「しごとナビ」にジャストマッチングシステムを導入してマッチング精度の向上を図り、営業部門の生産性を飛躍的に高めていく。人材業界はパイの奪い合いから、共存共栄によるパイ自体の拡大が必要だ。同業者のパートナー化により成約率の向上を図っていく。
みらいワークス
岡本祥治 代表取締役社長
- 新型コロナウイルスの影響を受けていなかった企業はこの3年は人材需要が高まっていたが、アフターコロナが訪れてもこの人材需要は収まらない。一方で影響を受けていた企業は事業縮小や人員削減などをせざるを得なかったが、アフターコロナに対応する事業の再成長を見据え、人材需要が高まっていく。
- 企業は人材を選ぶ側から、人材に選ばれる側となり、採用戦略を変えなければならない局面となっているが、その変化についていけない企業も多い。人材需要が高まり続けるが、労働者は減少していくため、採用市場はますます売り手市場となり、企業は従来の手法では採用が難しくなる。外国人の雇用についても同様で、グローバル社会において日本の働く場としての魅力が低下しており、従来の考え方では人材の確保は難しくなる。フリーランス市場においても優秀な人材はクライアントを選ぶことができるため、やはり企業は選ばれる側となっており、魅力的な業務やプロジェクトを仕立てなければ、優秀な外部人材を確保することが困難になっている。
- 都市部においては人材需要の高まりにより正社員採用の難易度がますます上がるなか、外部の業務委託プロ人材により代替するニーズが高まることから、当社のフリーランス事業へは追い風な環境となる。またコロナ禍において自身のキャリアについて大きな変化を起こすことに躊躇していた人材が、今後を見据え本格的に動き出すことが見込まれ、地方副業・地方転職事業においても追い風となる。
リクルート
藤井薫 HR統括編集長
- 社員領域では、求人は堅調に増加しており、全ての職種でコロナ禍以前の水準を超え活況だ。来年も、企業によって濃淡はありそうだが全体的には構造的な人材不足は変わらず、採用活動は活発になると考えられる。
- コロナ禍でキャリアや働き方を見つめ直した働く個人の変化は不可逆だ。人材争奪戦の継続が見込まれる中、働く個人の望む生き方・働き方にどれだけ寄り添った制度や機会を整えられるかが、人材求心力の差になるだろう。また、未経験から育成を前提にした採用も増える動きがあり、市場にターゲットが少ない場合早期に人材確保の戦略を変えるなど、状況に応じた対応も求められる。今までにない採用に取り組む企業も多く、人事任せだった採用体制から、経営・現場・人事が三位一体となった体制を構築することも大きな鍵となる。
プロフェッショナルネットワーク
木村善行 職業紹介責任者
- 中小企業庁等の公開データを見るに全業種で人材不足感がある。同時に、新型コロナの影響もありOJTがしにくい等人材を育てる難度も上がり即戦力を求める傾向に拍車がかかっている。そのため、最初からある程度の経験があって即座に成果を出せると期待できる中途を求める動きが加速していくと考えられる。実際に、これまでは35歳までの若年層を求める傾向が強かったが、若年層の需要の過熱化もあるのだろうが40代50代へと目を向ける企業が増えてきたように感じる。先のデータを見ても全業種的に派遣等非正規の就業者数が減り、逆に正社員は増加傾向にあるのもあって正社員の需要自体は先行き明るいと考えられる。
- 日本国の少子高齢化・人口減少が叫ばれ、各企業の抱く人不足感も大きくなっている中で、いわゆるゴールデンゾーンと呼ばれる25~35歳程度の人材の争奪戦が過熱している。しかし今後若手の数が更に減っていくと言われている中では、求職者に選ばれる企業であり続けることも難しい。いわゆる「ジョブ型雇用」等の新しい雇用方法であったり、自社に必要なスキル・経験を洗い出して自社に必要な人材に魅力的に思ってもらえるアプローチ方法を模索する必要があるだろう。
- 各種大手スカウト媒体がダイレクトにシフトしつつある中では従来のようなスカウト型の人材紹介は厳しいと考える。当社では採用業務自体を受託する等で案件の安定化を図っているが、若年求職者へのアプローチには常に頭を悩ませている。
プライマリー・アシスト
石山知良 代表取締役社長
- 出生数が初の80万人を割ったことからも、少子化は加速し、労働力の減少も加速していく。新型コロナウイルス、世界情勢により環境変化は激化し、時代の変化に対応できる人財需要はますます増加している。働き方の自由度は広がった一方で、成果を求められる時代に対応していく自己研鑽も必須の時代となった。
- 昨年度から、政府の行動規制も減り(無くなり)、対面による採用イベント、選考がほぼ戻ってきた。一次選考、遠隔地居住の方に対する一次選考はオンライン方式が併存し、最終選考はほぼ対面形式へ戻った。テレワークの標準化による新しいコミュニケーションを導入する企業がどんどん増え、それらに対応できることは普通となった。企業の採用意欲はますます増えるとともに、中枢を担う人財確保が命題となっている。
- 少子高齢化に伴う若年人材の不足と高齢者の雇用促進により、採用需要はますます活性化し、人材業界にとっては追い風であるとともに、サービス差別化も迫られていると思う。当社としては、産業保健における医療職の学び直しに取り組んでおり、実務に役立つスキル習得の機会創出など教育研修に力を入れて活動していく。
ヒューマンリソシア
御旅屋(おたや)貢 代表取締役
- 少子高齢化に端を発する労働力不足、IT技術革新やDX進展による労働力の需給ギャップ拡大にともない、企業の人材需要は加速的に高まると予想している。また人材紹介事業において当社が強みをもつ建設業界においては、慢性的な人材不足に加え、法改正対応や効率化・生産性向上に向けたDX化の進展などから、高い専門性を有する専門職・技術職、DX人材ニーズが一層高まると予測している。
- 労働力人口が減少する中、企業は、事業拡大や収益性向上に向け、根本的に事業運営に見直しを図る必要が出てくると考えている。具体的には、人材採用において「多様な働き方」と「多様な労働力活用」の取り入れ、これにより新たに生じる課題への対応が必要とされると考えている。
- 働き方の多様化、DXの進展など、雇用や人材業界を取り巻く環境はこれまでにないスピードで変化している。このような社会において、人材サービス会社として、「成長分野への労働力移動を下支えする」存在となるべく、「多様な働き方」「多様な労働力活用」「リスキリング」を推進することで、顧客企業の成長を、人材面から支援していく考えだ。
テクノブレーン
北川太 代表取締役
- IT系エンジニアの不足感は高く、スタートアップから大企業まで業種を問わず、企業の採用ニーズは高い水準にあるものの、米国企業のリストラ、円安、物価高の影響がエンジニア採用に影響を与える可能性がある。一方で、半導体をはじめとした国内製造の増加、工場の増設など、設備投資に力を入れる企業、分野においては研究開発や先端技術の開発者の職種で人材獲得の競争はさらに激しくなる。
- ニューノーマルの採用活動が標準化し、数年前の採用スピードでは対応できない採用状況となった今、確実に採用を成功させるためのスピードと貪欲さを保つ企業が採用を成功させると考えている。テレワークに対応しより生産性を高めるために努力する企業姿勢や、多様性に対応したキャリアプランを描く姿勢、さらに人材流出を防ぎ、物価高に対応するための賃金水準の向上など、より強いメッセージを求職者へ発信し、キャリアチェンジを行う人材・求職者に向けたジョブディスクリプションの明確化や入社後のキャリアプラン提示など、具体的なコミュニケーションを行うのが当然となっている。採用担当者の採用力強化が命題になるだろう。
パーソルキャリア
大浦征也 執行役員 エージェント事業本部 事業本部長
- 採用ニーズそのものに関してはかなり上向きであり、転職市場が個人法人双方ともに活発になってきたと言える。その中でもとりわけ、データ活用に長けている人材やDX人材に対するニーズは引き続き顕著であり、需要が高まっている。また、人材需要全体について、新卒採用の変化に追いつくことのできなかった企業の第二新卒採用強化と、即戦力人材の採用を通じての企業基盤強化を目的とした採用が二極化している状況も見えている。
- 引き続きコロナ禍における採用様式に順応することが難しい企業は、他社との採用スピードに差が生じ、計画通りの採用に至っていないケースが見受けられる。また、DXといったような言葉が先行して採用に乗り込むも、自社にとって必要な人材が定まっていない/理解できていないことなども挙げられ、世の中の状況に対する採用の要件定義に苦しんでいるという声も多い。
- 一般に生産年齢人口は減少し人手不足が見込まれる中で、これまで以上に転職という選択肢に対して積極的になる方は増加し、雇用形態といった側面も多様化していく。そういった状況下で、いわゆる中途採用といった枠だけではなく、多方面からの雇用機会を提供すること、それぞれのニーズに対して沿ったサービス提供が叶うよう尽力していきたい。
ディスコ
新留正朗 代表取締役社長
- 新卒採用については、企業の採用意欲はコロナ禍前の水準近くに回復したといえるが、必要な人材を充足できるかがポイントになるだろう。経験者採用ではまかないきれないDXなど専門人材への需要は高い。新卒といえども競争は激化しており、報酬などを含めた採用力がない企業は、苦戦を強いられるだろう。採用活動の早期化、長期化に備える必要がある。
- 採用スタッフのマンパワー確保が課題だ。長期化している新卒採用は、中途とともに一年を通じた採用活動を強いられており、多くの企業で人員は不足気味だろう。加えて、入社までのフォロー、入社後の定着に向けた施策などの重要性は増している。働き方改革を含めた制度の見直しなど、人事部門のスキルが採用戦略に大きく影響するだろう。
島本パートナーズ
秦一成 代表取締役社長
- ウクライナ・ロシア戦争の長期化による一部企業業績の停滞・悪化、及び“GAFA”や“フィンテック関連企業”に代表されるIT/DX関連人財の一時的雇用ピークアウトの影響は懸念される。一方、需給バランスが改善傾向にある半導体関連企業等の最先端技術領域人財や、グローバル競争を勝ち抜くために必要となる経営やビジネスに革新をもたらすことができる人財に対する需要は、昨年に続き堅調に推移すると見る。また、社外取締役分野では、企業経営に多角的・本質的・実質的に貢献できる経営者経験のある女性人財に対するニーズが一層高まると考える。
- 上述した人財の採用は年々難易度が高まっており、採用計画未達に陥るケースが少なくない。加えて候補者の内定後、“円満退社の実現”や“入社後の定着率アップ”も課題となっている。
- 企業は上記課題解決のために、エージェントと建設的な協調体制を構築し、ワンチームとして採用プロジェクトを遂行することが、今後より一層重要になる。当社の強みは、“人財要件定義策定支援”から“人財スカウト”、入社前後の“フォローアップ”に至るまで、精鋭チームが真摯にかつ適確に対応できる体制にある。それがクライアント企業からの高評価につながった結果、昨年は過去最高益を計上することができた。社員一同、顧客企業の戦略的部門強化・発展の一翼を担う責任感、そして転職者の人生の一端を背負う覚悟を常に持ち、業務に日々邁進している。
ジェイ エイ シー リクルートメント
田崎ひろみ 代表取締役会長兼社長
- エンジニアを含むホワイトカラー人材のコロナ禍以降の採用需要は既にほぼ回復している。さらに、日本における企業の構造的な変革の推進により、即戦力人材の採用は2023年以降も継続的に拡大するものと予測される。デジタル人材のニーズが非常に高い傾向自体には変化はなく、この分野の争奪戦は今後も変わらない。日本企業の海外における採用需要も、コロナ政策で制限が続いた中国を除き、アジア、欧州、北米とも回復している。
- 企業戦略を促進するコア人材の採用が、継続的に重要な課題となっている。中でも、広義のデジタル関連人材の不足が戦略推進上、大きな課題になっており、居住地からオフィスまでの距離を不問とするフルリモート勤務を提示するなどの勤務条件の緩和や、総報酬を好条件にするなどの対策が取られている。採用競争の激化から、求人企業としては、現場の情報をこれまで以上に人材紹介会社に提供する必要性が高まっている。また、人材紹介会社としても、クライアントの採用成功のために従来以上に高度なコンサルテーションが必要となっており、人材紹介フィーのアップも多く行われている。
- 優秀な人材の継続的な需要拡大により、求職者の獲得競争も激化しており、また、人材紹介会社自体でも優秀なリクルートメントコンサルタントの獲得競争が激化している。並行して、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」において、業界各社に紹介後6カ月の離職数の公開義務が課せられるなど、質的な条件整備が進み、従来のオリコン社ランキング以外にもサービスの良否を確認しやすい状況が整ってきており、質量ともに優れた企業がさらに拡大していくことが予想される。
コンコードエグゼクティブグループ
竹端直弥 プリンシパル
- 企業を取り巻く環境として、新規事業創出やデジタル対応、事業性と社会性の両立など、難易度の高い経営課題に対応すべく、事業会社・プロフェッショナルファームともに、採用ニーズが強い状況が継続すると見込まれる。一方で、世界情勢の不透明感や欧米の景気後退による影響も想定され、一部の企業で採用に慎重になるところも出てくる可能性もある。
- 採用ニーズの高まりによる人材獲得競争激化に加え、自己実現をキャリア選択の軸にする候補者が増えている印象がある。「自社の魅力の伝達・訴求」という視点に加え、「候補者の人生・キャリアの中での意味づけ」という視点も重要になると思われる。採用競争力の向上にあたっては、オファー条件や働き方の柔軟性の他、採用企業側の理念・価値観の体現や自己開示も今後重要になると推察される。
- 人生・キャリアにおいて意味・意義のある選択をしたい優秀なリーダー人材が増えている状況に鑑みると、候補者に信頼され、中長期的な観点から相談できる人材紹介会社の果たす役割がますます重要になってくると思われる。創業時より「未来をつくるリーダーのキャリア支援」を実践してきた弊社としては、引き続きそのスタイルを継続していくことで、採用企業・候補者双方に貢献していく所存だ。
KMF PARTNERS
吉田亜紀子 Sales&Marketing division Director
- 消費財業界に関していえば、人材需要はすでにコロナ前のレベルに戻ってきている。業界で見ると、リテール業界、ITサービス、高級商材などの業界の人材ニーズが特に高くなってきている。職種では、マーケティング、営業職は引き続き一定の需要があり、最近需要が高まってきているのが、CRM、CX/UXなどで、今後もこの傾向はしばらく続くものと思われる。
- どの企業も求める人材の要件が高くなってきており、要件に見合う人材の数が足りていない状況。また優秀な人材にオファーが集まることも多く、オファー条件の競り合いになり、結果として採用のためのコストが上がる傾向にある。課題解決のためには、企業ニーズをしっかりと理解してくれるエージェントを複数使い分けることが重要と思われる。
- 中途採用の増加、転職希望者の増加により、人材業界自体は、今後も重要な役割を担っていくものと思われる。また職種の多様化や新出により、ある特定分野の職種においては採用に苦戦することが予想される。当社としては、既存職種分野での候補者を強化しつつ、デジタルマーケティング、CRM、CX/UXなどに強い候補者の開拓と、シニアマネジャー職以上のエグゼクティブクラスの人材確保を強化していく予定だ。
経営者JP
井上和幸 代表取締役社長・CEO
- 景況感は不透明〜悪化する可能性が高いと思われるが、人材需要は景況感とは別次元の社会構造的な問題として逼迫しているのが、いまの日本の特徴だ。これはこれまで日本が経験したことのない「人材難・新時代」と言っても良いと思う。
- 管理職層、スペシャリスト層、若手〜中堅層、非正規層、いずれをとってもそれぞれ、必要な人員を確保することが難しくなっている。コア人材については求める質とのアンマッチ、非正規人材については数の確保ができないという状況が更に顕著になる。先進的な企業がこの難局に対応すべく採用手法の多様化を進めているが、逆にそれがプロセスの複雑化や質の低下、オーバーコストという問題になりつつあるという声を各所から聞いている。
- どの層を取り扱っている業界プレイヤーも企業の採用難に伴う発注・依頼に忙殺される、しかしこれまでのように成果に繋がらないという状況が予測される。当社については、対象としている「経営層・幹部層における採用・転職のベストマッチングの実現」1点を引き続き極め、独自ノウハウとテクノロジーを活かして「経営幹部市場の非対称性」を解消していく。オリジナル開発の経営者力診断、経営チームサーベイ&チームコーチングによる立体的な「経営チーム・マネジメントチームの最適編成支援」に注力。一方で、経験と力がありながら年齢が壁となり望ましい就労機会を得にくい50代・60代の経営幹部人材について、次の時代に向けての就労機会創出のための新たなサービス開発にも取り組んでいきたいと考えている。
クレドス
田中潤 代表取締役CEO
- WithコロナからAfterコロナに移行する過程で積極採用の兆しが見えてきたと思う。リモート勤務やフレックス制度を導入する企業が増える中、DX人材の獲得競争は依然として高い水準を推移している。
- DX人材を育てる目線で未経験者を採用しようとしても、一般的にコンサル業界の方が処遇がいいので、候補者はコンサル業界に流れてしまう傾向にあると思う。DX人材を採用する場合、どのようなプロジェクトを進めるにもトップ、ミドルとスタッフレベルや部門間の調整が必要となるので、狙いは「ポスト・コンサル」を志向する中堅幹部の採用の重要性が増すと思う。
- 当社の成約案件の内、約90%がコンサル業界への内定→入社が多い。しかし、最近の傾向として、特に40歳代のコンサルタント(シニアマネジャーやマネジャークラス)から事業会社への転職相談が増えている。今後の展望として、コンサル業界でも事業会社でも、DX人材の採用意欲は高く、その傾向は今後5年以上は続くとみており、当社としては各種人材ニーズに応えたいと思っている。
キーンバウム ジャパン/K.J.コンサルタンツ
鈴木悦司 代表取締役社長
- 中途採用の正規社員の有効求人倍率はコロナ前1.4程度で推移していたものがコロナ禍が始まった直後の2020年夏には1.0程度まで落ち込んでしまった。その後徐々に持ち直し、直近の数字では1.33となっている。マクロ的に見れば売り手市場の雇用環境が続くと思われる。ただし、人材需要の高まりというより少子高齢化による労働人口の縮小による“人手不足”が実態だろう。
- 主にDXの進展を背景にリスキリングによる社員の再教育が人事課題になっている。社内の人的資源の最適化には必要な手立てではあるが、それと共に社外の人的資源の活用も積極的に取り組むべきではないか。特に大手企業では今以上に社会流動性を容認(あるいは奨励)する人事戦略が求められる。報酬制度に関しても固定化された給与テーブルではなく、労働市場の市場原理を受け入れ、必要とされる人材を獲得するべきではないだろうか。
- 社内での人材のミスマッチ、絶対的な人材不足がこれほど経営課題として取り上げられてきた時はないように思える。政府、企業はリスキリングという切り口で問題解決に取り組んでいるが、人材業界としては人材の流動性(転職)を通じ企業の適材適所の人材を配置、また個人にとっては個人の自己実現に貢献することがその社会的な意義であろうが、当社としてもこのことを目的にしたい。
キャリア・デベロプメント・アソシエイツ
田辺晃 代表取締役社長
- コロナ禍の反動で積極採用していた企業も人材不足で採用しきれていない企業が多く、DX、AIなどでコンサル・ITエンジニアの争奪戦が続き、EV関連、半導体、制御系のエンジニアなどは埋まっていないポジションを継続して募集。GX(グリーントランスフォーメーション)に伴うESG戦略や素材開発のニーズも見られる。ただし、金融引き締めによる景気後退リスクがあり、影響規模によっては現場の人手不足があっても採用を絞らなければいけない状況になる可能性もある。
- 多くの企業が同じポジションで同じようなターゲット人材を求めるため、自社が比較検討で優位になる明確ポイントが求められる。特にコロナ禍で変化したリモートワーク・副業希望など新たな環境準備も他社比較で大きな要因となっている。また、景気後退リスクがあるため、余裕があるうちに優先度の高いポジションから“早く”良い人材を獲得しないと、現場ニーズに反して採用人数に制限がかかることも想定されるため、スピードも求められ難しい立場になってしまうかもしれない。
- 企業によるダイレクトスカウト、人材の情報収集リテラシーの向上によって人材獲得は難しくなっている。また、景気後退によって求められる人材のターゲットが狭くなる可能性がある。当社は大手企業で経営層やエンジニアとして就業経験していたコンサルタントが揃っているため、顧客企業に適した人材戦略提案から、CxOなどエグゼクティブや、ニッチな技術のハイクラスエンジニア等、企業のコアとなる人材紹介によって顧客企業の成長を支えていきたい。
キャリア インキュベーション
赤池辰介 マネージングディレクター
- 採用の二極化はますます激しくなると予想している。マーケットニーズの高い人材(経営人材、コンサル、DX、など)の争奪戦がより激しくなる一方で、それ以外は横ばいで落ち着くと思う。
- 優秀な人材の獲得を魔法の杖として、採用さえできればという考えは単眼的だ。目指すべき経営目標や経営戦略が適切にアップデートできているか、人事制度や評価制度が成果を適切に反映するものになっているかなど、今いる社員が前向きに働ける環境をまず作ることが、優秀な人材を獲得する近道であると考えられる。
- キャンディデイトに選ばれるエージェントとして、当社では目先だけではなく中長期的なキャリアサポートを意識しています。例えば、経営のエキスパートである「プロ経営者」のキャリアに向けた道筋や情報の提供を行っている。多くのプロ経営者インタビューを行い、様々なケーススタディを紹介できるのも当社の強みだ。
エリメントHRC
清水潤次 取締役
- 2022年は業界全体は比較的堅調な動きであった。GAFAなど米ITは以前の状況とは一変、今年も注視が必要(企業サイド・人材サイドの動き)。2023年は経済動向はマイナスと予測はあるものの悲観的になるほどでもないか。一部の企業は2022年後半から採用抑制はでていたが、12月あたりから2023年採用に向け、抑制も解除しつつある。社会全体を見ると、コロナ経口薬も日系メーカーから出たことにより、多少の安心感、人流も戻りつつある。企業としては、経済情勢・自社状況を鑑みながら勝機を見出すのならば(今後十年をみても)、今年採用ドライブをかけたほうが事業成長を見いだせる。
- 働き方の多様性に対してどのように向き合っていくのかが問われる時代に本格突入。フル出社・フルリモート・ハイブリッド。特に若年層においては、年収にプライオリティを置く傾向は薄くなりつつあり、幸福度の考え方・捉え方は様々。企業としては、次世代の人材をどう育成していくか、どう成長曲線を高めていくかが大事であろう。世界にフォーカスすると、生産性・成果報酬・円安の兼ね合いなどから、同じ労働に対してもサラリーが日本と比べ1.5~2倍近く違う国もあり、それを抜きにしても日本のサラリー水準は諸外国と比べても、ここ20年近くにわたり平均年収はおおよそ横ばい。優秀層であればあるほど引き合いは強く、付加価値を提供できなければ優秀人材は海外へ流れてしまう。次世代を担う人材・次世代を担う企業の創出(スタートアップ)支援、大手企業の変革を担う人材支援へ、我々コンサルタントも本気で向き合う必要がある。
- 今年は世界動向・経済情勢を常にウォッチしながらビジネスを進めていく必要がある。コロナ終息となるよう願ってはいるが、Withコロナも引き続き見据えながら「働き方」も踏まえ、クライアント・キャンディデートのWin-Winとなるよう動いていく必要がある。当社は引き続き医療業界への人財支援は柱として行なっていくが、新たにIT事業部を発足。もとより医療×ITのニーズは高かったが、ITニーズを本気で捉えるべく、2023年度にIT事業部を立ち上げた(医療とITの2事業部制)。IT領域に関してはコンペティターも多いのは百も承知ではあるが、当社「独自のコンサルティング術」を武器に、企業・候補者支援を行っていき、IT業界を変えていく。医療のエリメント、ITのエリメントとして更なる地位確立をはかっていく。知る人ぞ知る~誰もが知るエリメント元年とすべく、全社で事業ドライブしていく。
MS-Japan
松林俊 執行役員人材紹介事業部長
- 新型コロナウイルスの感染状況は波があるものの、その影響を受けて企業活動が大きく制限されることは少なくなり、事業拡大に向けて採用に取り組む企業が増加。特に大手企業は積極的に採用活動を続けている。また今年は国際情勢の影響を受け、それまで長らく活況だったスタートアップ市場が落ち着きを見せたが、その中でも順調に成長を続ける優良ベンチャーは採用活動を止める事なく、人材需要は高まり続けている。
- 求人倍率は増加の一途をたどり、人材採用の競争環境は激しさを増している。大手企業や優良ベンチャーが積極採用を続けるため、採用競争に敗れて人員確保に苦戦する企業も増えており、二極化が進んでいる。またコロナ禍以降、働き方を重視する求職者が増加しており、「リモートワーク」や「フレックスタイム制度」を導入していないとその時点で応募候補から外れるケースが増加。採用に苦戦している企業は働き方に関する制度の見直しをする必要がある。
- 企業の社会的責任が増す中、経営管理体制はより重要度が増しており、当社が特化する管理部門・士業領域においても人材需要は高まり続けている。特に中途採用の業務経験者は引き合いが強いため、最近では業務未経験でも資格保有者、もしくは資格取得の勉強中といった未経験人材を採用する企業も増えている。
アクシスコンサルティング
伊藤文隆 常務取締役
- DXを中心としたIT人材は引き続き需要が高い。特に攻めと守りのITが一層明確に分かれて来ており役割や求められるケイパビリティも多岐にわたっている。
- IT・DX人材が圧倒的に足りておらず中期経営計画に支障をきたす懸念も出ている。大手企業のみならず中堅・中小企業もIT/DX化を推進しており、この領域の人材採用で課題を抱えている企業が多い。
- IT・DXのように圧倒的に労働力が不足している領域はスキルのシェアリングは不可避。人事の仕事も変化していくと考えている。当社グループも転職支援のみならず副業・兼業支援、独立支援の事業を強化し複合サービスでハイエンド層のシェアリングを進めていく。
AIMSインターナショナルジャパン
桑原雅彦 代表取締役社長
- 業績の好不調、上方・下方修正、上振れ・下振れ等、ポジティブとネガティブな見通しの企業の二極化がますます進み、人材需要についても採用計画を達成できる企業と採用難の企業にはっきりと分かれるのではないだろうか。当社ともお付き合いの多い、食料品、機械、輸送用機器、倉庫・運輸、卸売、小売・サービス業での人材需要の高まりを感じている。
- 経営人材やプロフェッショナル人材の採用における母集団形成そのものが難しく、採用したい人材に直接アプローチできるノウハウを持つヘッドハンティング会社の上手な活用法の確立がますます必要。採用力のある大手企業の採用ニーズの増加に伴い、中堅・ベンチャー・スタートアップ企業は採用難に。「働きがいと多様な働き方」の2軸で大手と違う魅力の醸成が必要になるのではないだろうか。
- 成熟産業から成長産業へ労働力の移動を促す仕組みとして人材業界へのますますの期待は高まる。自社の成長や変革を推進する経営人材や新たなプロフェッショナル人材の採用ニーズは高まり、当社のエグゼクティブサーチサービスが貢献できる領域も広がると期待している。人的資本経営の文脈で健康経営コンサル、人材育成、サクセッションプラン、ウェルビーイングスコアの計測等、グループの総合力を活かせるソリューションも拡充していく。
アンテロープキャリアコンサルティング
佐藤史子 シニアディレクター
- コンサルティング業界は2021年初から始まった採用拡大傾向が定着しているように見える。一過性の需要ではなく、旺盛なプロジェクトの需要、受注するプロジェクト内容の多様化により業界全体に拡張傾向が見られ、若手のポテンシャル人材も含めた人材の獲得競争は引き続き継続すると推察。特に、DX/データ系のスキルを持つ人材やESG/サステナビリティ、グリーンテックなど時流を捉えた経験を有する人材への需要は依然高く、獲得のための価格競争が激しさを増している。
- サービスラインの複雑化、自社内での複線化に伴い、候補者から見て分かりにくい組織体制になっていたり、自社内でのカニバリゼーションが発生している企業が散見される。人材獲得競争において、自社や採用ポジションのブランディングや魅力付けは非常に重要である中で、その分かりにくさゆえに、動機づけがうまくいっていないケースに遭遇することが多い。限られた人材のパイを多くの企業が争う中で、これまで以上に転職希望者の目線で見て分かりやすい採用マーケティングやブランディングが重要になってくると思われる。
- ダイレクトリクルーティングやSNSなど企業と人材をつなぐエージェント以外のチャネルが存在感を高め続ける中で、転職市場に出てくる前の潜在的な候補者の発掘や関係強化、転職希望者にとってエージェント・自社ならではの優位性を実感いただけるかどうかが、これまで以上に重要になってくると思われる。