高度専門人材は争奪戦 採用力格差がさらに拡大【主要人材コンサルティング会社アンケート「2025年 人材需要と採用の課題」】

2025年の人材需要と採用の課題を、企業の人材採用を支援する主要コンサルティング会社の事業責任者を対象にアンケート調査で聞いた。(編集:日本人材ニュース編集部

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目次

中途採用は引き続き増加 新卒採用は売り手市場

企業の人材採用を支援する主要コンサルティング会社の事業責任者を対象に本誌が実施したアンケート調査では、2025年の日本の雇用情勢は「良くなる・やや良くなる」との回答が66%となった。企業の人材採用数は、新卒、中途、アルバイト・パート、派遣のいずれも「増加・やや増加」が大きな割合を占めている。

特に中途採用は「増加・やや増加」が88%となった。パーソルキャリア桜井貴史doda編集長は「2040年問題に代表される労働力不足を見据えた採用に加え、引き続きニーズが高まるDX人材、新規事業創出や既存事業拡大のための人材需要」の継続を見込む。

人材紹介各社からは、事業拡大や組織変革、新たな課題の解決に貢献できる高度専門人材のニーズが挙げられており、「多言語対応や異文化理解に優れた経営層」(イーストウエストコンサルティング室松信子代表)、「サプライチェーン管理や国際法、貿易交渉に精通した人材」(キーンバウム ジャパン鈴木悦司社長)、「デジタル時代の事業変革を主導する部長以上」( 照沼貴大代表)、「AIや自動化技術を現場に取り入れるエンジニア」(キャリアビリティ雨宮佑揮社長)、「複雑化する健康課題に関する対応を担える人材」(プライマリー・アシスト石山知良社長)、「専門スキルに特化したスペシャリスト人材」(よきあす野呂田義尚代表)など、引き続き争奪戦だ。

新卒採用では「進学率の上昇で補完されてきた少子化の影響がいよいよ表面化し、売り手市場化が加速」(ジェイック古庄拓執行役員)する。ワークス・ジャパン清水信一郎社長は「個を大事にする組織が好まれているが、俗に『ゆるい職場』は敬遠される」と説明し、成長できる職場であることを学生に伝えられない企業は採用が難しくなる。

「企業の年功序列主義が薄れ、若手社員が転職に対して抵抗感を持たなくなっている」(エイクエント杉本隆一郎ジャパンカントリーマネージャー)、「新卒入社1~3年目の候補者の増加」(コンコードエグゼクティブグループ糸永隆介主席エグゼクティブコンサルタント)、「転職へのハードルが下がっており、転職回数の多い求職者が増加」(RUFT武田友和取締役)など、転職が当たり前になっていることを反映するコメントも多く見られる。

●2025年 日本の雇用情勢・人材採用の増減(回答集計)

2025年 日本の雇用情勢・人材採用の増減(回答集計)

これまでの考え方では採用が困難、発想の転換が必要

転職市場では「スキル・経験をもつ人材の数が少ないため、需給がバランスしていない状況が続いている」(アクシスコンサルティング伊藤文隆社長)、「求職者は企業の文化や環境、自身が求める技術での成長可能性を重視する傾向が強まっているため、企業とのギャップが採用難を引き起こしている」(アイムファクトリー平山穰一郎取締役)ため、これまでと同じ考え方では採用が困難だ。

そのため、「外国人や50代以上のシニア層の採用、派遣・契約社員の登用」(ロバート・ウォルターズ・ジャパン ジェレミー・サンプソン代表)、「テレワークなどの働き方の柔軟性向上、報酬制度の改定、入社後リスキリングの充実」(リクルート藤井薫HR統括編集長)、「オンボーディングの充実」(THRILLクリスチャンセン洋助代表)などに取り組む企業が増えている。

一方、全社的な採用体制の構築や能力開発施策が一体となった人材確保の動きがなかなか進まない企業もあり、「人事のみではなく経営層や現場も含めた変化が必要となってくるが、就業環境の変化や求める人材の条件緩和がなかなか認めてもらえず人材獲得に苦戦」(キャリア・デベロプメント・アソシエイツ田辺晃社長)、「社内に人は余っているが、その人たちのリスキリングが進まないため、必要な人材は外部より調達するしかないという矛盾」(みらいワークス岡本祥治社長)など、採用力の格差がさらに拡大する。

これまでの採用手法について、ジェイ エイ シー リクルートメント田崎ひろみ会長兼社長は「通常の手法では採用も難しいため、発想の転換が必要だ。例えば、退職した人材を再び雇い入れる「アルムナイ採用」、役職定年をきっかけとする退職を防ぐために役職定年の廃止や退職年齢の引き上げは、自社をよく理解した人材を育成コストなしに確保
できるメリットがあり、注目されている」と紹介する。

また、転職サイトの登録者に対して「大量のスカウトメールを送る戦略は限界を迎える」(リネアコンサルティング大森崇社長)との意見もあり、「多種多様な採用媒体が存在する中で、採用戦略の設計や採用コストの最適な配分」unlock.ly武田颯太取締役副社長)も求められている。

さらに「AIにより消滅していく職種などが徐々に顕著になってくる年になる可能性」(CPAキャリアサポート中園隼人代表)があるならば、今後の事業運営において人材を優先的に採用・配置すべき職務内容を見極めていくことも必要になる。

人的資本経営の推進が重要な経営課題となり、人材投資こそが持続的な企業成長の源泉であることが改めて認識される中、人材を確保できずに倒産する企業も出てきている。今後の労働力減少に備える人事戦略への転換が急務となっている。

主要人材コンサルティング会社アンケート「2025年 企業の人材需要と採用の課題」

回答1.企業の人材需要
回答2.企業の人材採用の課題
回答3.人材業界の展望、自社の事業・サービス展開

キャリタス 綿井伸 常務執行役員

キャリタス 
綿井伸 常務執行役員

  1. 企業の採用は、コロナ禍によって急激な縮小を余儀なくされたのち、ほどなく回復基調に転じ、ここ数年は新卒、中途採用市場の双方で旺盛な状態が続いている。人手不足解消のための量的な需要だけでなく質的にも、より高い能力や専門性が求められる傾向が読み取れる。
  2. 新卒・中途採用において、高度な専門性を持つ人材は不足しており、今後、採用競争は激化すると予測される。すべての企業にとって、ターゲット人材を明確にし、適切な採用戦略や媒体選定、自社の魅力をわかりやすく表現する工夫が必要となるのと同時に、求職者から選ばれる企業となるための社内的な取り組みが求められている。
KMF PARTNERS 吉田亜紀子 Sales&Marketing division Director

KMF PARTNERS 
吉田亜紀子 Sales&Marketing division Director

  1. 全体としては、堅調な推移が続くものと思われる。業界で見れば一般消費財、サービス全般、IT、製造などの需要は高い傾向が見られる。しかしながら中国の景気減退の影響を受ける業界や企業に関しては、2024年ほどの人材需要が期待できない見通しと思われる。
  2. 業界を問わず、どの企業も採用には苦戦をしている。要因としては人材データベースへの登録が広がってきた若い世代の意識変化(終身雇用意識の衰退)、優秀な人材のキャリアアップ志向などが挙げられる。採用競争が激しくなってくる中で、企業としては、質の高いエージェントの活用、リファラル採用、ダイレクトスカウトなど、複数の手法の組み合わせと、柔軟性を持った採用基準や手法の活用が重要と思われる。
  3. ここ数年で、人材紹介事業者は増加傾向となっており、紹介会社間の競争は激化していると思われる。転職市場がより拡大するということの裏付けになるだろう。当社は今後も変わらず、質の高いサービスの提供を第一に考え、マッチングの高い提案、難易度の高い採用の手伝いなどを、高いサービスレベルで提供することを約束する。
メイテックネクスト 山田英二 代表取締役社長

メイテックネクスト 
山田英二 代表取締役社長

  1. 構造的な人手不足から製造業における人材ニーズは引き続き旺盛な状態が続くと予想される。ただし、一部では同業種間でも業績面での優劣がついており、個社別には跛行色が強まる可能性もある。また、米国の政策など、外部環境の変化次第では大きな影響を受ける企業があるかもしれず、国内のみでなくグローバルの動向を注視することが重要になってくると思われる。
  2. 転職希望者も増加はしているが、引き続き優秀な即戦力人材は取り合いになることが予想され、待遇面のみでなく、いかに自社の魅力を候補者へ訴求できるかが、より大事になる。また、入社がゴールではなく、入社後の社員エンゲージメントを高める仕掛けづくりが重要視されると思われる。
  3. 転職市場全体は活況が続くと予想されるが、採用手法やチャネルの多様化で人材業界内の競争はますます激化することが想定される。また、テクノロジーの進展で人材紹介を経由しない転職も増えるだろう。そのような中、採用企業、転職希望者の双方に高いクオリティのサービスを提供し、選ばれ続けることが重要になってくると思われる。
イーストウエストコンサルティング 室松信子 代表取締役

イーストウエストコンサルティング 
室松信子 代表取締役

  1. 2025年において、エグゼクティブ層の人材需要は引き続き堅調に推移すると見込まれる。特に、AIやDXの進展に伴い、テクノロジーを活用した経営革新を推進できるリーダーが求められる傾向が強まっている。グローバル市場での競争力を強化するため、多言語対応や異文化理解に優れた経営層へのニーズも拡大している。
  2. AIの進展により、採用活動の効率化を図る一方で、課題も浮き彫りになってきた。特に、AIを活用したスカウト等で企業は採用手法の多様化を進めているが、現時点ではまだ個別事例が中心であり、業界全体としてのベストプラクティスが確立されていないのが現状だ。エグゼクティブ層の採用においては、適任者の発掘とアプローチが大きな課題だ。特に、優秀な候補者は既に現職で活躍しているケースが多く、転職市場に出てこない「潜在層」にどうアプローチするかを考える必要がある。精度の高い採用を実行するために採用プロセスの質を高め、候補者との信頼関係を構築することが、今後の鍵となるだろう。
  3. 当社はエグゼクティブサーチを中核事業として展開している。企業の経営課題を深く理解し、それに最適な人材を提案している。企業が求めるリーダー像の多様化が進む中、より精度の高いサーチとコンサルティングが求められる時代に突入している。当社では、業界特化型の専門知識を活かし、企業の経営課題を深く理解した上で、最適なリーダーを提案、紹介することを目指している。今後は採用に関するノウハウや新たな需要に応えるため、事業の幅を広げ、企業の多様な人材ニーズに応えるサービス展開を図っている。変化する市場環境に柔軟に対応しながら、企業の持続的な成長を支えるパートナーとして進化を続けていきたいと思う。
プロフェッショナルネットワーク 松島剛 代表取締役社長

プロフェッショナルネットワーク 
松島剛 代表取締役社長

  1. 多くの企業で人材不足感があり、条件を上げたり必要資格・経験等を緩和する動きがみられる。そのように需要が過熱している一方で、そもそも人が転職市場に限らずいないので、人材の供給はどうしても制限されてしまう。タイミーなどの手軽な求人手法が市民権を得つつあるお陰でアルバイト・パートの調達だけは増加が考えられるが、その他はほぼ横ばいが続くものと考えている。
  2. 人事課員自体がコストとみなされがちな昨今、最低限の人数で回している企業の人事課員をよく見るようになった。おおっぴらに募集をかけても、その応募に耐えられる体制が無いため細々とした募集になり、だからさらに人も集まらず…と悪循環が生まれている。場合によっては選考等のコアの部分は社内で握っておき、それ以外の採用業務を外部に委託することも視野に入れるべきと考える。
  3. ここ最近で各種人材DBサイトが一斉にダイレクトに舵を切りつつある。業界自体で言えばまだまだ成長余地のある市場だと思うが、有料人材紹介を行う会社にとっては厳しい時代が到来しつつあるように感じている。ビッグデータを持つ大手サイト運営事業者の土俵で戦うことは無理であるため、特に小規模な事業者は求職者様一人一人、一つ一つの求人企業様に寄り添い、きめの細やかなフォローを行うことで信頼を勝ち得ていくしかないと考えている。
ジェイック 古庄 拓 執行役員

ジェイック 
古庄拓 執行役員

  1. 新卒・中途共に活発。新卒は進学率の上昇で補完されてきた少子化の影響がいよいよ表面化し、売り手市場化が加速する。また、中途採用もAIで代替できないスペシャリストやマネジメント人材、また、エッセンシャルワーカー等の需要は引き続き堅調だろう。一方で、人材確保の難易度や最低賃金の上昇などで、雇用形態を問わず、定型的な知識労働や事務作業、接客等は、ロボットや生成AIへの置き換えが進む。
  2. 新卒採用では幹部候補となる優秀層や希少な理系学生の採用難易度と単価が上昇し、競争に追随できない中小企業や採用難易度が高い業界は、新卒採用を断念するケースが増えている。また、中途のスペシャリストやマネジメント層を確保するには賃金・人事制度の見直しが必要なケースも見受けられる。今後はダイレクトリクルーティングやリファラル採用などの能動的な採用体制を強化しないと、継続的な人材確保は困難だろう。
  3. 業界全体は活性化している一方で、生成AIを活用したマッチングの自動化と精度アップ、またダイレクトリクルーティング等を含めた求職者と採用企業を直接結び付けるサービスの普及が進む。これによりAI活用や求職者集客への投資、新たなビジネスモデルに対応できない中小企業は淘汰され、大手企業のシェア向上が予想される。当社は大学キャリアセンターや大学生協事業連合と連携し、また中退者や既卒層などを集客する独自ルートを確立しており、新卒や若手の採用に苦戦する企業からの問い合わせが増加している。今後は、AI活用によるマッチング業務の生産性向上や精度アップに取り組んでいく。
リクルート 藤井薫 HR統括編集長

リクルート 
藤井薫 HR統括編集長

  1. 構造的な人材不足とビジネスモデル転換を背景に、社員領域では、これまで以上にキャリア採用を強化する企業が拡大している。実際、営業、販売、企画・マーケティング、IT、生産まで、ほぼ全ての職種でコロナ禍以前の水準を超えて活況だ。今後も企業によって濃淡があるが、既存事業の拡大・新規事業の推進を担う専門スキルや経験を持った人材をターゲットとした、キャリア採用は活発化すると考えられる。
  2. 各社のキャリア採用の拡大、人材争奪戦の過熱を背景に、キャリア採用の難易度は上がっている。こうした中、各社は、業界未経験者やミドル・シニアの採用に力を入れたり、テレワークなどの働き方の柔軟性向上、報酬制度の改定、入社後リスキリングの充実に取り組むなど、さまざまな採用手法を深化させている。また人事任せだった採用体制から、経営・現場・人事が一体になった採用体制を構築することも鍵となる。
  3. 構造的な人材不足が続いていく日本においては、人材会社に求められる役割は大きいと思っている。人が介在して多様なマッチングを生み出すというベースの価値提供は続けながら、求職者と仕事の結び付きをマッチングテクノロジーにも活用していくことで、求職者と企業の双方の希望を叶えるマッチングを増やすことに挑戦している。

●大卒求人倍率の推移

大卒求人倍率の推移
(出所)リクルート「第41回ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)
アイムファクトリー 平山穰一郎 取締役

アイムファクトリー 
平山穰一郎 取締役

  1. IT分野の人材需要は依然として高く、年々多様化・増加傾向にあり、引き続き「売り手市場」が続くと予測している。同時に即戦力人材、幅広い経験値を求める企業が多くなっている中、採用難易度も高くなっているため、自社のIT人材の受け入れ環境の整備をはじめ、新卒や未経験を育成する人材育成の比重を高めるなど環境整備に力を入れる企業も増えている。
  2. 慢性的な人材不足はもちろん、現在、直面する採用課題としてスキルと採用のミスマッチが挙げられる。企業が提示する求人票には高度なスキルや即戦力が求められる一方、求職者は企業の文化や環境、自身が求める技術での成長可能性を重視する傾向が強まっているため、両者のギャップが採用難を引き起こしている傾向が見られる。
  3. 引き続き生成AIやデジタルツールの活用が広まり、マッチング力や内定率上昇のための面接対策、ドキュメント添削など幅広い側面でサービス精度が高まっていくと予測している。同時に求職者ニーズも転職支援にとどまらず、副業やスポット案件の紹介といったマルチタスクの支援なども必要になってくる。当社では、求職者向けには、これまで事業として展開する人材紹介やフリーランス案件のご紹介だけでなく、副業マッチングやスポット案件の紹介など幅広い形の就労支援を行いながら、企業向けには即戦力なIT人材の紹介、採用ブランディングなどの支援を行い、双方に最適なソリューションを提供している。今後も人材業界の変革をリードし、企業と人材の持続可能な成長に寄与していく。
よきあす 野呂田義尚 代表取締役

よきあす 
野呂田義尚 代表取締役

  1. 慢性的な人材不足となっており、今後も人材不足は続くと考えられる。また、業界問わず社会環境の急速な変化から、それに対応するメンバーの採用や先読みしたスキルワーカーの採用が激化すると予想される。特に、専門スキルに特化したスペシャリスト人材は、経営インパクト的にも大きく需要の高い状態が続くと予測している。
  2. 新卒・中途採用ともに人材確保が急務となっている中で、母集団形成の確保が大きな課題となる。そのために、所得等の待遇はもちろんのことQOLを意識した制度設計や採用条件の整備が必要であり、それによって差別化を図る必要がある。リモートワークの廃止が昨今進んでいるが、ハイブリッド型のワークスタイルの検討を視野に入れる必要がある。
  3. 人材業界は、今後も求人需要が安定することが見込まれることから活況に推移すると思われる。当社としては、求職者に対して細かいフォローアップを継続して行い、親身に寄り添ったキャリア形成を含めた紹介活動を進めていく。
CPAキャリアサポート 中園隼人 代表取締役

CPAキャリアサポート 
中園隼人 代表取締役

  1. 短期間で少子高齢化に伴う労働人口の減少が改善することはないので、企業は引き続き、新卒、中途、パート・アルバイト、派遣社員に関わらず、積極的な採用活動を継続すると思うが、採用される人数は横ばい程度でおさまるのではないかと予測。一方で、AIにより消滅していく職種などが徐々に顕著になってくる年になる可能性もあるのではないか。
  2. 歴史のある名門企業であればあるほど、「自分達の会社は人材採用に困っていない」と思っている傾向が強いので、採用人材のペルソナをずっと変更してきていない企業が多いと思う。実際のところ、現実的に採用可能なペルソナを適切な形で見直さない限り採用活動はうまくいかないことが多い。理想のペルソナを求め続け「採用数ゼロ」という課題に直面している企業は、勇気を持ってペルソナの見直しをする必要がある。
  3. 公認会計士やUSCPAをはじめとした「会計ファイナンス人材」は、上場企業、スタートアップ、プロフェッショナルファーム、金融系などあらゆる組織で必要とされ続けており、希少性が著しく上昇している。日本で最も多くの公認会計士試験合格者を輩出しているCPA会計学院を母体としている当社では、オリジナルの人材プールで、引き続き、会計ファイナンス人材の採用ニーズに応えていけるものと考えている。
繋 照沼貴大 代表取締役

 
照沼貴大 代表取締役

  1. 2024年の人材市場は、構造的な人材不足を背景に高い需要が継続した。特にデジタル時代の事業変革を主導する部長以上の経営層への需要が顕著だ。企業のDX成熟度に応じて、経営企画でのDX戦略立案から事業部門でのデジタル実装まで、経営とテクノロジーの両面で豊富な経験を持つ人材の採用を強化する動きが広がっている。2025年も、この傾向は一層強まると予測される。
  2. 経営人材の獲得競争は一段と激しさを増している。デジタル戦略の構想力と実行力を兼ね備えた部長・役員クラスには複数の選択肢があり、企業には能動的な採用アプローチが求められる。報酬面での競争力に加え、DXビジョンの明確さ、経営トップのコミットメント、変革を推進できる権限など、総合的な魅力度の向上が不可欠だ。
  3. 人材獲得競争が激化する中、企業にはDX推進フェーズに応じた的確な採用戦略の構築が求められる。当社は、デジタル時代の事業変革を担う部長・役員クラスの採用に特化したコンサルティングを展開し、戦略立案から候補者アプローチまで一貫したサポートを提供する。今後も、クライアント企業のDX推進を、ハイレベルな人材採用の側面から支援していく。
  1. コロナ禍のリバウンド需要は落ち着いたものの、少子高齢化によって新卒採用で十分採用しきれない企業が中途採用で補う対応や、AI、EV関連、半導体、コンサルティングなど成長業界では貴重な経験者の争奪戦は続く見込み。また、AIやIT関連をはじめ複数のベンチャーがCxOクラスや新規事業開発のようなポジションで企業成長に大きく貢献できる人物を求めており、今後もニーズは出てくるだろう。さらに、企業は人材不足、就業環境変化などの中でも企業成長や事業拡大を実現しなければならず、組織改革や人材戦略などを担える経験者のニーズも出てくると考えられる。
  2. 多くの企業が同じようなターゲット人材を求めるため、認知度の高い企業や優位性を示せる企業から人材を獲得する中で、採用に苦戦している企業は多い。人事は自社の認知度を上げるためさまざまなメディア露出や、優位性を示すための工夫なども担うようになるが、コロナ禍で変化したリモートワーク・副業希望など新たな環境準備も他社比較で大きな要因となっており、人事制度の変化も求められている。このため、人事のみではなく経営層や現場も含めた変化が必要となってくるが、就業環境の変化や求める人材の条件緩和がなかなか認めてもらえず、人材獲得に苦戦している人事担当者の悩みは増えそうだ。
  3. 企業によるダイレクトスカウト、人材の情報収集リテラシーの向上、AIによる人材と求人のマッチングや情報提供の技術を活用する企業も増えているため、大手以外の企業がターゲット人材とコンタクトすることも難しくなるだろう。当社は経営層やエンジニアとして就業経験していたコンサルタントが揃っているため、顧客企業に適した人材戦略提案から、エグゼクティブ層や、ハイクラスエンジニア等、企業のコアとなる人材紹介によって顧客企業の成長を支えていきたい。
ジェイ エイ シー リクルートメント 田崎ひろみ 代表取締役会長兼社長

ジェイ エイ シー リクルートメント 
田崎ひろみ 代表取締役会長兼社長

  1. 世界的には地政学リスクの高まりや米国の政権交代といった不透明感が高まっているが、日本国内では解決の難しい構造的な労働力不足という問題が続いている。また、雇用の流動化や人的資本経営の促進などには政府の政策的な後押しもあるため、企業の人材需要は引き続き強いと見込んでいる。
  2. 転職市場では、デジタル人材をはじめとする需要の高い専門職は供給不足が続いている。通常の手法では採用も難しいため、発想の転換が必要だ。例えば、退職した人材を再び雇い入れる「アルムナイ採用」、役職定年をきっかけとする退職を防ぐために役職定年の廃止や退職年齢の引き上げは、自社をよく理解した人材を育成コストなしに確保できるメリットがあり、注目されている。
  3. 当社の主要事業であるホワイトカラー職種の人材紹介では、構造的な労働力不足を背景に、年率10%以上の市場成長が続くものと見込まれている。その中でも、当社は安定して需要が高いミドル・ハイクラスを事業領域の中心として、市場成長を上回るサービスの拡大を目指している。
RUFT 武田友和 取締役

RUFT 
武田友和 取締役

  1. キャリア採用需要は拡大中で、これまで通り若手のニーズは強いことは確かだが、30代後半から40代の即戦力人材の需要も高くなっていると感じる。特に各分野におけるプロフェッショナル人材のニーズは高くなっており、採用は年々激化中。またインフレを背景に賃上げを実施する企業も増えてきている。人事制度や評価制度を職種やポジションに応じた報酬体系に変える企業も増えてきており、この流れは加速していくと考えている。
  2. 人材の採用は年々難易度が高まっており、採用と育成の両輪で進めていくことが大切だと感じている。採用の課題として企業間の給与水準に格差が生まれつつあり、働きやすい環境整備だけではなく、中長期的なキャリアにおいての魅力づけなどが必要となっている。また求職者の転職へのハードルが下がっており、転職回数の多い求職者が増加傾向にあることから企業とのギャップが生じている。
  3. 当社は、社員のエンゲージメントを高めるコンサルティングを手掛けており、人材紹介においては価値観の一致を重視するマッチングによってミスマッチを防いでいる。企業の採用においてはエージェント以外の手段が増えてきた中で、短期的な目線だけではなく中長期的に企業と求職者がWin-Winとなるよう、定着性も意識した上でサービスを展開していく。
unlock.ly(アンロックリー) 武田颯太 取締役

unlock.ly(アンロックリー) 
武田颯太 取締役副社長

  1. 全体的に、労働人口の減少に伴い、企業の人材需要は今後も継続すると予測される。一方で、米大統領選をはじめとする不透明な世界情勢が景気や経済に影響を及ぼす可能性もあり、それに対応した事業戦略や人材戦略の構築が求められる。大企業・中小企業を問わず、人材不足の解消と生産性向上を目指し、即戦力となる人材やAIを含むDX人材への需要は今後も高まり続けると考えられる。インフレや紛争などによる景気悪化の恐れはあるが、人材不足は日本の構造的な課題であり人材需要は引き続き強い状況が続くことが予想される。
  2. 即戦力性の高い人材の採用競争は特に激化しており、それを見越して多くの企業が採用だけでなく、定着率の向上やリテンション率の低下を採用課題として捉え、積極的に取り組んでいる様子が見受けられる。また、多種多様な採用媒体が存在する中で、採用戦略の設計や採用コストの最適な配分も重要な課題として浮上していると考えられる。
  3. AIを活用したサービスやマッチングが注目される一方で、現時点では精度に課題があり、人の介在による価値が依然として重要であるのが現状だ。しかし、今後AIの精度が向上していくことが期待される中、AIとの協業を視野に入れつつ、価値提供の役割分担を明確にしていくことが、生産性向上の鍵となると考える。即戦力層からハイクラス層に特化した支援を得意とする当社としては、企業の未来像や経営・事業計画を深く意識した人材紹介が可能となる体制の構築に注力していく。
ヒューマンリソシア 高橋哲雄 代表取締役

ヒューマンリソシア 
高橋哲雄 代表取締役

  1. 労働人口の縮小という構造的な人材不足を背景に、2025年も多くの産業・職種において、人材需要は高止まりすると予想している。特に、AIの進化に伴う業務の自動化拡大に向けたDX・デジタル人材や、カーボンニュートラルやグリーンエネルギー推進のための専門人材など、高度かつ即戦力層の採用ニーズは高まり続けると考えている。
  2. 労働力不足のさらなる深刻化が見込まれる中、「採用」のみでは解決できない課題も表面化・顕在化すると予想しており、潜在能力をもとにした未経験者の採用拡大や、従業員に対するリスキリングがより重要になるだろう。また、2024年の高水準の賃上げは、2025年も続くことが予想される。新卒採用における給与の見直しなども進んでいるが、量と質の両面で人材不足に直面する中においては、従業員の待遇改善、雇用や働き方の柔軟性を高めるなど、定着に向けた取り組み強化が必要になると考える。
  3. 当社の人材紹介事業では、建設技術職・専門職に特化した人材サービスを提供している。2024年は、インフラ需要の拡大や都市再開発、また時間外労働の上限規制の適用による増員などから、採用やDX活用による効率化ニーズが拡大した。転職市場が活性化する一方で、新たな課題として、建設業から他業種への転職が増えていることがあげられる。単に資格やスキル・経験、条件のみではなく、企業のビジョンや事業展望なども踏まえた細やかなマッチングに注力していく考えだ。
エイクエント 杉本隆一郎 ジャパンカントリーマネージャー

エイクエント 
杉本隆一郎 ジャパンカントリーマネージャー

  1. デジタル化の加速に伴い、クリエイティブやマーケティング、デジタル領域においては新しい職種が増加していることから、高いスキルや専門知識を持つ人材の需要が高まっている。企業の年功序列主義が薄れ、若手社員が転職に対して抵抗感を持たなくなっているため、キャリアを築く観点から、時代に合った職種への移行や独立を志向する傾向が強まり、転職がよりカジュアルな選択肢となっている。また、関西圏においては万博開催の影響を受け、人材不足に関する派遣ニーズが高まると考えられる。
  2. 企業は即戦力となる経験者を求めており、スキルの高度化が必要とされている一方で、そのニーズに応えられる人材が育成されていない現状がある。特に企業が教育に十分な投資を行っていないため、必要なスキルを持った人材の確保が難しくなっており、中途採用においては人材の争奪戦が激化している。また、人材がワークライフバランスを重視するようになってきていることから、企業には柔軟な勤務形態や競争力のある給与を提供することが求められている。
  3. サービスや人材において専門性がますます重要視されるとともに、AI活用が加速してきていることも受け、人材業界は二極化していくだろう。大手企業はマッチングの精度やスピード感においてその強さを増す一方で、ブティック型企業は専門に特化した分野でその強みとする提案力に加え、新たな価値を提供し続けられなければ存続が難しくなることが予想される。当社では、海外拠点から得られる世界のクリエイティブやマーケティングの動向を把握しながら、日本における企業と人材の潜在的なニーズに応じたソリューションを展開していく。
キーンバウム ジャパン/ K.J.コンサルタンツ 鈴木悦司 代表取締役社長

キーンバウム ジャパン/K.J.コンサルタンツ 
鈴木悦司 代表取締役社長

  1. 今後の人材需要は、デジタル技術、グリーンエネルギー分野に加え、地政学的リスクの高まりや国際政治の動向を反映した新たな専門分野にも広がる見通しだ。AIやカーボンニュートラル関連の人材が求められる一方、各国の保護主義の強化や安全保障問題を背景に、サプライチェーン管理や国際法、貿易交渉に精通した人材の需要も増加する可能性がある。さらに、グローバル化の中断やブロック化が進むことで、各国の政策に適応できる多言語スキルや現地対応能力が重視される。これらの変化に対応できる柔軟性と専門性が鍵となる。
  2. 企業の採用における課題は多岐にわたる。労働需給の面では、少子高齢化により若年労働力が減少し、特定分野での人材不足が深刻化している。政治的不安定さにより、地政学リスクや国際取引の制約が生じ、グローバル市場での競争力が影響を受ける場合がある。さらに、働き方改革に伴い、長時間労働の是正や多様な働き方の実現が求められる一方、これに適応できる採用戦略の構築が企業にとって負担となり得る。これらの課題に対応するためには、柔軟な採用基準や多様な雇用形態の導入が重要だ。
  3. ドイツに本部を持つ当社の今後の展望は、ドイツ経済の現状と国際市場の動向を踏まえ、柔軟かつ革新的な戦略が必要だ。ドイツ経済は、エネルギー危機やサプライチェーンの混乱などの影響を受ける一方、再生可能エネルギーやデジタル化の推進により新たな成長が期待されている。これに伴い、デジタル技術やグリーンエネルギー分野での人材需要が高まる見通しだ。外資系企業としての強みを活かし、ドイツ企業特有の精密性や持続可能性に基づく人材マッチングを強化する必要がある。また、労働市場の国際化が進む中、複数言語対応やリモートワーク支援など、柔軟なサービス展開が競争力の鍵となる。
ワークス・ジャパン 清水信一郎 代表取締役社長

ワークス・ジャパン 
清水信一郎 代表取締役社長

  1. 人材需要は引き続き高く推移すると思われるが、早期退職制を導入して、人員削減に向かう大企業も多く、事業の多角化、人材の働く価値観の多様化から、需要が循環しているフェーズにあるとも考えられる。コロナ禍での経済対策の後遺症から、倒産企業数も増加傾向にあり、このプラス、マイナスが一巡したときに、人材需要がどのように変化していくか注視していきたい。
  2. 個を大事にする組織が好まれているが、俗に「ゆるい職場」は敬遠される。技術、スキル、ノウハウなど働く個人の資産形成につながる職種や働き方を、採用する企業が分かりやすく伝えていく必要があるが、動画(TikTok)と短文(X)に慣れ親しんだ人材のこころに響くコミュニケーション手法をいかに作っていくかが大きな課題。
  3. 労働環境がいかに変化しようとも、新卒人材が最初に入社する企業で得るファーストキャリアでの経験は、その後の人生を左右する可能性もある大変重要なものであると考える。マッチングという言葉は一見合理的なもののように思われるが、一方で求職者側の自発的な興味、判断を抹消している可能性も否定できない。人材業界においては、認知、興味、関心、理解、納得など求職者と求人側の間にある大事な意思決定プロセスを安易に省いてしまうAIやDX化の取り組みには十分注意が必要であると考える。当社においては、対面と対話を重視し、いつの時でも人材と企業が納得性の高い相互理解につながる事業、サービスを展開していくことを目指す。
ロバート・ウォルターズ・ジャパン ジェレミー・サンプソン 代表取締役

ロバート・ウォルターズ・ジャパン 
ジェレミー・サンプソン 代表取締役

  1. 企業の人材需要は引き続き高い水準を維持すると予測される。当社のアンケートによると、特に中堅・ミドル層の社員が不足していると感じる採用担当者が多いことが明らかになった。外資系企業の中では、国際情勢による景気の不安定を受けて2024年は採用予算を抑える企業がIT・金融・デジタル業界等で見られたが、欠員補充のための採用活動は依然として活発に行われた。
  2. 当社の採用データによると、外国人や50代以上のシニア層の採用、派遣・契約社員の登用が例年に比べて増加しており、人材不足を背景に企業がより多様な人材に目を向ける必要性が高まっていることがわかる。また、求職者は企業に対してこれまで以上にキャリアアップやトレーニングの機会を求めているため、採用戦略と人材定着率の向上どちらにおいても、社内でキャリアアップの機会を充実させることがますます重要となるだろう。
  3. 当社は、日本における人材の多様性や女性社員のキャリア向上の必要性を受け、採用支援に加えて、「DEI推進ロードマップ」や「女性リーダーシップ推進プログラム」といったアドバイザリーサービスを展開している。今年は日本オフィスの設立25周年を迎え、東京・大阪の両拠点でさらに地域に根ざした人材ソリューションを提供していく。
アンテロープキャリアコンサルティング 佐藤史子 シニアディレクター

アンテロープキャリアコンサルティング 
佐藤史子 シニアディレクター

  1. コンサルティング業界においては、業界は拡大・成長基調であり、2023年に引き続き採用ニーズは活況であったと言える。全般的な傾向としては、2023年以上に即戦力性の高い人材に採用ニーズが集中し、コンサルティング業界はもちろん、M&Aや新規事業、DXや生成AI、データ利活用など、業務効率化や企業の構造改革に資する経験者に引き続き旺盛な需要が集まっている。業界の円熟とクライアントニーズの複雑化を背景に、新規採用者のバックグラウンドも従来以上に多様性を感じる1年だった。
  2. 市場全体で専門的な知識を持った即戦力人材へのニーズが高まる中で、見合ったスキル・経験を有する人材はまだまだ不足している。獲得競争が激化している中、企業も「いかに選ばれるか」を意識することが必要だが、特に新卒中心であった日系大手企業はここが希薄であるケースも見受けられる。自社の従来の人事制度にとらわれない柔軟な処遇の設計はもちろん、採用人材のリテンションに資する柔軟な働き方やキャリア形成の機会の提供など、ターゲット候補者が求めるものを早期に見極め、対応することが求められる。
  3. 未経験ポテンシャル層へニーズが反転するにはもう少し時間がかかると思慮。高度な専門性や即戦力となる経験を持った人材を中心に採用が回ることを想定し、こうした人材とのネットワークを厚くし、選ばれるエージェントとしての存在を確立していく。従来の金融コンサルティングの軸はぶらさずに、連結する領域で候補者が求める魅力的なキャリア機会を提供することでロイヤルカスタマーを増やし、企業の多様な人材ニーズに応えていく。
パーソルキャリア 桜井貴史 doda編集長

パーソルキャリア 
桜井貴史 doda編集長

  1. 2025年も採用ニーズは高い水準を継続し転職市場は活況が続くと推測される。2040年問題に代表される労働力不足を見据えた採用に加え、引き続きニーズが高まるDX人材、新規事業創出や既存事業拡大のための人材需要の高まりなどが要因に挙げられる。前者においては、将来を担う若手人材の採用が活発化、後者においては即戦力として活躍が見込める経験値のある人材の採用が高まり、2024年に続き採用の二極化は継続すると考える。
  2. 採用難易度が高まる中で、企業は従来の採用手法やターゲット以外の選択肢を検討する必要性が高まると考える。具体的には、経験者採用における採用手法の拡大や短時間正社員の活用、副業・フリーランスといった“雇用以外”の受け入れも有効だ。加えて、豊富な知見・スキルを持つミドル・シニア人材の転職意向が高まっていることから採用ターゲットの見直しも課題解決の打ち手になりうるだろう。また、個人の価値観が多様化している中で、自分らしい働き方が実現できる制度や学習機会の提供など、入社後のキャリア形成がイメージできる情報の伝達が採用活動においてより重要になると考える。
  3. 労働力不足に対応するため、企業の採用ニーズが高まることに加え、個人も価値観の多様化によって、より自分にあった仕事を選ぶ傾向が強まっていることから、転職市場は今後も活況が続くと推察される。さらに、この先も採用難易度は高まることが予測されること、人的資本への投資が重要視されることから、採用だけではない分野の成長も見込まれる。当社では、主力となる転職サービスと副業・フリーランス事業の連携による強化や、リスキリングやキャリアメンタリングといったキャリア形成をサポートする事業の強化を通じて、キャリアオーナーシップが育まれる社会の実現を目指す。

●職種別doda転職求人倍率(求人倍率が高い6職種、全体)

職種別doda転職求人倍率(求人倍率が高い6職種、全体)
(出所)パーソルキャリア「doda転職求人倍率(2024年11月)
Apex(エイペックス) カーティス・ジョーダン ディレクター

Apex(エイペックス) 
カーティス・ジョーダン ディレクター

  1. 雇用は2024年を引き継いで拡大傾向と予想される。各業界で慢性的なIT人材不足が顕著であるが、要因として生成AI、サイバーセキュリティ、DX化の拡大が挙げられる。企業は自前のIT社員を増やすよりも外部にサービスを委託する傾向が強く、そのためコンサルティング会社が伸長している。テックベンダーも機会を逃すまいと大規模な営業チームを率いて需要を喚起しているが、過去の過剰雇用の教訓から新規採用には慎重な姿勢を崩していない。候補者主導だったIT市場はクライアント主導に移行しつつあり、企業はより選別的になっている。
  2. 多くの企業が採用プロセスの長期化や負担増に頭を悩ませている。優秀人材獲得のため間口を広げ面接回数を増やし時間をかけて採用を行っているが、応募者追跡システムやAI面接サービスのような自動化ツールが業務の効率化に役立つ一方、人と人とのコミュニケーションが希薄となり候補者体験(CandidateExperience)に悪影響を及ぼすことが懸念されている。IT人材についていえば外部委託が主流のため、社員の育成プログラムの不足が問題をさらに悪化させている。このような慎重でリソース集約的なアプローチは、採用市場が活況にも関わらずその非効率性を浮き彫りにしている。
  3. 特に海外本社の決定に影響される外資系企業を中心に、エージェントに履歴書提出以上の価値を求めるようになってきた。例えば採用戦略立案に役立つ市場動向の洞察や、候補者紹介時の効果的で正確な評価の提出など。業界専門のリクルーターを配置する当社のようなエージェントと密接に連携することが、課題解決に最も近づくと考える。エージェントは多くの業界情報を有しており、エージェントとディスカッションを深めることで当社もニーズの把握が容易になり、パーソナライズされた採用サポートが提供できる。信頼できるパートナーとなり得るエージェントとの付き合いが大切だ。
MS-Japan 小山英介 執行役員 キャリア事業部 東京C Division長 兼 セールスマーケティングDivision長

MS-Japan 
小山英介 執行役員 キャリア事業部 東京C Division長 兼 セールスマーケティングDivision長

  1. 構造的な人手不足は解決されておらず、企業の採用ニーズは2025年も高い水準で継続していくと予想している。ジュニア層・ミドル層の労働人口が減少しているが、依然として企業はジュニア層・ミドル層の採用意欲は旺盛で各社での争奪戦が顕著。競争が激化していることで採用活動期間が長期化している傾向もあることから、ターゲットをシニア層へ広げていく企業も少なくない。組織課題を円滑に計画的に解消し、事業拡大に取り組むためにシニア層の採用に取り組む企業は増えると考える。
  2. 転職希望者が複数の企業を選べる市況の中、労働環境の整備や賃金のベースアップを進めている企業が採用巧者となっている。それらを進められていない企業はより一層採用難が待ち受けており、採用競争の中からはじき出されてしまうだろう。短期的な人事制度改定が難しくとも、それらの導入を検討していくこと、また取り組んでいくという企業姿勢を発信していくことが必要不可欠だと考えられる。また、別の解決策として、従業員のエンゲージメントを総合的に高める取り組みをする企業も出てきている。
  3. 急激な情勢の変化がない限りは企業からの求人依頼は今後も安定的に増え続けることが予想されるため、人材系企業が供給先に困ることはないだろう。一方で転職希望者の獲得は激化の一途を辿り、来年以降も登録者確保のための各社の広告費用は右肩に上がり続けていくことも予想される。転職希望者がサービスに求めるものも多様化していることから、自社サービスの利用価値・優位性を示していなかければ即座に淘汰されていくだろう。
THRILL クリスチャンセン洋助 代表取締役CEO

THRILL 
クリスチャンセン洋助 代表取締役CEO

  1. IT・DX分野の人材ニーズは年々高まり、コンサルティングファームやSIer、外資系ITベンダーが採用を強化している。人材獲得競争の激化により、優秀な人材の確保が業界全体の課題だ。一部企業は新卒採用やリスキリングを拡充し、育成重視の戦略へシフトしているが、案件組成や組織運営を担う経験豊富な人材不足が続いている。即戦力性と育成面の両立が求められる中、競争は一層熾烈さを増している。
  2. 厳しい採用環境の中、企業は待遇や職位の提示だけでなく、オンボーディングの充実に注力している。特に候補者に寄り添ったフォロー体制が内定承諾率向上に直結している。また、きめ細かな対応による満足度向上が採用成功の鍵となり、採用後の環境整備やキャリア支援を通じて長期的な組織成長を目指す動きも広がっている。一方で新規事業戦略、M&A、グローバル案件、コスト削減などのテーマは引き続きニーズが見込まれるため、2024年はポテンシャル採用が激減し、専門性の高い即戦力人材の採用ニーズが増えることが予想される。
  3. 採用競争が一層激化する中で、「採用プロセスの最適化」と「候補者満足度の向上」が不可欠だ。具体的には、採用リードタイムの短縮や選考プロセスを通じた候補者との意向醸成が成功の鍵となる。当社は、候補者に「なぜその企業を選ぶべきか」を明確に示し、ミッションベースで訴求することで納得感を高め、企業と候補者を結びつける支援を行っている。この取り組みこそが、競争市場における差別化要因となり、企業の採用成功を後押しする最大の価値であると確信している。
みらいワークス 岡本祥治 代表取締役社長

みらいワークス 
岡本祥治 代表取締役社長

  1. 世界情勢の不安定さは2024年以上に不透明感を増している。しかし、国内情勢を見る限りは、インバウンドの急増などにより景気は上向きだ。人的資本経営が本格的に広がる中で、経営者が自社の人財に注目することで、本格的な労働者不足という課題に向き合う意識がますます高まった。これに伴い、メンバーシップ型の採用の限界を認識する企業も増えてきているため、よりジョブ型へのシフトが本格的になる機運が高まった。
  2. 社内に人は余っているが、その人たちのリスキリングが進まないため、必要な人材は外部より調達するしかないという矛盾が生じている。リスキリングは必要にかられないと進まないため、転職市場においても必要とされる人材が少ない。デジタル人材は年俸が高騰しているが、その他の通常の社員と同じテーブルで採用する人事制度をしている企業は、採用市場の競争力は弱く、グローバル競争に勝ち残れない状況となっている。
  3. 労働者不足がいよいよ本格的になってくる中で、雇用という働き方だけでは、必要とされるスキルフルな人材を確保するのは難しい時代となってきている。プロ人材が多様な働き方を実践しながら、同時に複数の企業や組織で活躍するスキルシェアサービスが世の中でますます求められている。また、時代に合ったスキルを持つ人材を育てるために、実践の場を伴なったリスキリングのサービスが求められている。この状況は、当社のサービスにとって強い追い風となっている。
RYZE Consulting ウィリアム・デローム 代表取締役

RYZE Consulting 
ウィリアム・デローム 代表取締役

  1. 日本の採用市場は非常に活発であり、2025年には需要が増加する見込みだ。全ての専門職と経験豊富な人材の採用は活発だが、特に加えて英語力のある30代の人材は希少なため、かなりの高需要だ。企業では在宅ワークではなくオフィス勤務に戻りつつあるため、採用の中心は東京。多くの企業が大企業に買収される昨今、転職者は転職先の企業の将来の安定性を重視している。
  2. 日本の人材市場は売り手市場だ。特に企業が採用したい40歳以下で英語力のある人材が減少しており、専門性と実績と英語力のある人材の需要が非常に高いが人材不足のために採用競争が激しい。転職者にとっては選択肢が多いため、転職には好条件(給与、ストックオプション、RSUなど)を期待する傾向がある。優秀人材の採用は競争率が高く、採用の決定プロセスが遅いと企業は採用の機会を逃しやすいので迅速な採用プロセスが求められる。
  3. 一般的な登録型の転職サイトではスカウトメールが過剰な状態なので、人材紹介会社としてはそれ以外のソースから候補者を探せることが強みになるだろうと思う。当社では求人広告などの応募型や登録型ではなく本来のヘッドハンティング型で優秀人材を探すことを得意としている。また採用条件と深くマッチした厳選されたベストな人材を紹介することで、企業にとって時間的な効率を最重視したサービスに好評を得ており、今後もミドル〜エグゼクティブ層×技術×英語力の希少人材の採用に尽力していく。
レックスアドバイザーズ 岡村康男 代表取締役

レックスアドバイザーズ 
岡村康男 代表取締役

  1. 世代交代が進み、若手優秀層の希少性と専門人材の需要が増すとともに、どの業界でも採用と定着の課題が顕著だ。成長を目指す企業の人材需要は依然として旺盛であると実感している。
  2. 企業は厳しい採用環境に負けない体制作りが課題だ。母集団作りのため自社に適した媒体・ツールを使いこなす採用体制も大事だが、採用時と採用後のギャップが生まれないよう新戦力をいかに定着させるかの組織環境作りが求められている。
  3. 人の働き方と雇用形態が多様化するなか、人材ビジネスへの新規参入が増えている。HR領域のサービスも細分化され、自社の強みと専門性を発揮し、さらに発信する必要がある。選択と集中が重要である一方、既存の更なる深耕と周辺領域へのチャレンジをして成長を目指したいと考えている。

●採用力強化のための企業の取り組み

採用力強化のための企業の取り組み

アクシスコンサルティング 伊藤文隆 代表取締役社長COO

アクシスコンサルティング 
伊藤文隆 代表取締役社長COO

  1. テクノロジーの進化や少子高齢化による労働力人口減などにより市場変化が加速している中、企業は事業承継、事業再編、新規事業立上げ・事業のピボット、売上ポートフォリオの調整などが必要となっており、過去に経験したことのないチャレンジングな環境にある。このような企業を取り巻く環境から、特に経営課題に対して変革、改善、解決の推進ができる人材のニーズは特に高まっている。
  2. DX、AI領域の人材ニーズは高まる一方だが、採用に成功している企業は多くない。もともとこの領域のスキル・経験をもつ人材の数が少ないため、需給がバランスしていない状況が続いている。
  3. 人手不足の労働市場の中で人材確保の方法として、企業は正社員採用だけではなく副業・兼業・フリーランスなど、外部の人材もスポットで活用する必要性が増すと考えている。当社はハイエンド・エグゼクティブ領域において正社員採用と外部人材活用を組み合わせたサービスを展開しており、組織人事課題の状況に応じて最適なソリューションを提案する。
コンコードエグゼクティブグループ 糸永隆介 主席エグゼクティブコンサルタント

コンコードエグゼクティブグループ 
糸永隆介 主席エグゼクティブコンサルタント

  1. 労働人口の減少、グローバル化による競争激化、技術革新スピードの増加、新興企業の台頭などを背景に、企業の人材需要は引き続き旺盛な状況が継続すると予想される。特に、生成AIの進化により、企業の変革や新しい取り組みを主導・管理できるエグゼクティブや中間管理層、それらを支えるDX人材への需要は一層強まるだろう。
  2. 新卒入社1~3年目の候補者の増加や、実際は転職をしないまでも将来のライフプランやキャリアプランを見据えた相談に来られる若手候補者の増加からも、「自己実現」がキャリアの重要な軸になっていると感じる。引き続き売り手市場が続くと予想されるなか、企業は候補者の多様な自己実現のニーズを満たせる魅力的な機会をいかに提供するかが重要になると考えられる。報酬や業務内容のみならず、柔軟な働き方、理念、風土、構成メンバーといった要素も欠かせない。候補者との接点において、それらの魅力を伝達していくことが採用の成功の鍵となるだろう。
  3. 生成AIの進化により、さまざまな業界で企業の革新が迫られている。人材業界においても例外ではなく、AI活用によって一層の効率化とサービスの質向上を図っていくことが求められるだろう。一方で、AIの定着により、各企業での業務効率が上がる中で、長く続いている人手不足、人材の逼迫も落ち着いてくる可能性もあると想定される。
プライマリー・アシスト 石山知良 代表取締役社長

プライマリー・アシスト 
石山知良 代表取締役社長

  1. 雇用情勢、人材採用の見通しは、少子高齢化による若年労働者不足の影響が大きく、需要拡大という側面よりも、人口減少、DX推進などにおける分野の不足が大きく影響していると感じる。企業内医療職の需要については、健康経営に取り組む企業が年々増加し、複雑化する健康課題に関する対応を担える人材への期待など、こちらも年々変化してきている。
  2. 企業内医療職(主に産業医・保健師/看護師・心理職)を採用する際は、エージェント利用率が年々高まってきている。そもそもマーケット人口が限られていることと、経験者やリーダーシップを発揮する層の対象者数はさらに限られていく。採用後の育成に時間がかけられる企業も限られ、育成マニュアルも限られている。採用後の評価についてもまだまだ整備課題が多く残っているのが現状だ。
  3. 日本の雇用環境における背景から人材業界の活況はまだまだ続くが、事業規模の大きさや専門性により淘汰されるケースも出てきている。当社は企業内医療職に特化したサービスを継続し、大企業から中小企業へ販路が拡大していく。中小企業における「我が社の健康管理室」を担えるようなサービス展開をすすめていく。
フォルトナ 荒井良介 マーケティングマネージャ

フォルトナ 
荒井良介 マーケティングマネージャ

  1. コンサルティング業界の人材需要は、2024年よりも慎重な傾向にある。DX人材は依然として需要が高いことに加えて、生成AIの登場により、AIに精通した人材のニーズが高まっている。データ分析力、課題解決力、プロジェクト推進力を持つ人材も引き続き求められている。優秀な人材の獲得競争は激化しており、企業は魅力的な待遇や柔軟な働き方を提供することで人材確保に努めている。
  2. 人材獲得競争の激化に対し、企業は待遇や働き方の改善に加え、従業員エンゲージメントを高める施策が求められている。多様なワークスタイルに対応できる制度、社内キャリアパス支援、スキルアップ研修などが重要だ。また、自社の魅力を効果的に発信し、企業理念への共感を深める必要がある。従業員一人一人の能力を最大限に引き出し、活躍を促進するための包括的な人材戦略の策定が重要となる。
  3. キャリアが多様化するなかで、相談を受ける転職エージェント自身も、多様な生き方を体現し、より詳細なキャリアニーズに対応できるよう専門性を磨く必要があると考える。当社では、社員幸福度No.1を掲げ、海外移住や起業など社員自身がありたい姿を実現できる制度を強化していくとともに、ベンチャー、エグゼクティブ、ヘルスケアといったより専門性の高い転職支援サービスを展開することで、さまざまな転職ニーズに応える体制を構築していく。
リネアコンサルティング 大森崇 代表取締役社長

リネアコンサルティング 
大森崇 代表取締役社長

  1. 2025年も人材獲得競争が激化し、ITなどデジタル領域の専門スキルを持つ人材の枯渇が続く。コンサルティング業界においては生成AIを活用した新規事業開発などのニーズが増え、優秀なエンジニアを抱え、コスト優位性が高いAI/DXベンチャーが大きく躍進する。一方で、日常業務を支援しつつ、大型案件の獲得を目指す伴走型コンサルティングなども増えており、大手ファームを中心に事業会社の業務に精通した人材の採用も進む。企業においてはDXバブルで大量に採用されたポテンシャル人材の整理やリスキリングが進み、即戦力中心だった採用から若手やポテンシャルの採用に裾野が広がる。またダイバーシティや人的資本経営の観点から女性の採用はさらに活発化する。
  2. 優秀な人材を採用するため、採用RPOの活用やダイレクトリクルーティングのニーズは引き続き高いが、大量のスカウトメールを送る戦略は限界を迎える。企業が個人を選ぶのではなく、個人が企業を選ぶという認識を持てるかどうかが採用の成否を分ける。AIを活用したマッチングシステムも増えていくが、効率化だけではなく納得感の醸成など一人一人に寄り添った対応が求められる。
  3. 昨年立ち上げたRPO事業を拡大させ、大手企業だけではなくベンチャー企業の採用支援も強化していく。また、情報過多の時代において、必要な情報を必要な人に提供していく仕組みや大量のスカウトメールに依存しない新たな転職プラットフォームを構築していく。
キャリアビリティ 雨宮佑揮 代表取締役社長

キャリアビリティ 
雨宮佑揮 代表取締役社長

  1. 2025年度の製造業における人材需要は、地方や中小企業の動きが注目される。都市部で進んでいる技術革新が地方にも広がり、AIや自動化技術を現場に取り入れるエンジニアの需要が増えている。中小企業では、効率的な運営や次世代リーダーの育成が求められており、これが業界全体の成長を後押しするだろう。また、地方の企業が独自の技術や製品開発に取り組む機会が増え、日本全体の製造業の競争力を底上げする期待が高まっている。
  2. 製造業の人材採用は、幅広いスキルが求められる中で競争が激化している。大手企業では即戦力となる技術者を確保する一方、変化する市場ニーズに対応できる柔軟な人材が必要とされている。また、中小企業では、地域特性に応じた採用や、現場でのスキル育成に力を入れる必要性が高まっている。一方で、製造業特有の現場での成長実感や安定したキャリアパスを武器に、より魅力的な職場としてアピールする動きも進んでおり、採用力の強化が業界全体の重要課題となっている。
  3. 当社は、創業からの3年間で、製造業企業の多様な採用ニーズに対応し、即戦力人材の採用支援において確かな実績を築いてきた。ミドルからシニア層を中心に、柔軟で精度の高い対応力を強みとし、クライアントの信頼を得ている。2025年に向けては、これまでの高度専門職採用支援をさらに深化させ、半導体分野を含む外資系やベンチャー企業の採用にも注力。変化する製造業界のニーズに応え続けるパートナーを目指す。

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